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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

118分、ファン・ダイク!ラストイヤーのクロップ率いるリヴァプールが総力戦で激闘を制す!

2023-24シーズンのカラバオカップ決勝は、2年前に22人のPK戦でトロフィーを争った2チームの再戦です。プレミアリーグで首位のリヴァプールと、11位チェルシーの対決ですが、スタメンを見てブルーズ勝利と予想する人は少なくないでしょう。レッズの前線はサラー、ダルウィン・ヌニェス、ジョッタを欠いています

GKケレハー、DFブラッドリー、コナテ、ファン・ダイク、ロバートソン、MF遠藤航、マック・アリスター、フラーフェンベルフ、FWエリオット、ガクポ、ルイス・ディアス。アリソンもアーノルドもショボスライも不在のチームは、先制されると苦しくなりそうです。対するチェルシーは、ドローで終えたマンチェスター・シティ戦と同じ顔ぶれです。

GKペトロヴィッチ、DFマロ・グスト、ディサシ、コルウィル、チルウェル。2センターはカイセドとエンソ・フェルナンデス、2列めにコール・パルマー、コナー・ギャラガー、スターリング、ワントップはニコラス・ジャクソン。クロップがラストイヤーをトロフィーで飾るのか、ポチェッティーノが混乱のスタートからイングランド初戴冠を遂げるのか…!

キックオフからしばらくは、中盤のせめぎ合いが続く互角の展開。5分からリヴァプールが得た2つのFKは、いずれも味方に届きません。9分にロバートソンがハイクロスを入れると、ルイス・ディアスのヘッドは浮いてしまい、ペトロヴィッチが難なくキャッチ。11分に右からスプリントしたコール・パルマーは外のマロ・グストを使わず、クロスをカットされました。

マロ・グストとマック・アリスターのミドルの応酬は、両チームの守護神が落ち着いてさばき、14分に左からカットインしたルイス・デイアスがニアを狙うと、ペトロヴィッチがビッグセーブ。決勝の緊張感からか、赤も青もドリブル主体の直線的な攻撃が目立っています。チェルシーの決定機は20分。カイセドが右に展開し、グラウンダーを入れたのはコナー・ギャラガーです。

中央で空いていたスターリングがプッシュすると、こぼれ球がコール・パルマーの前へ。決定的な左足ボレーは、ケレハーが左腕に当てるビッグセーブでしのぎ、詰めたニコラス・ジャクソンのシュートは遠藤航が体を張ってブロックしました。25分、レッズにアクシデント発生。カイセドに踏まれたフラーフェンデルフは足を捻っており、担架で運ばれていきました。

28分に入ったのはジョー・ゴメス。クロップ監督が起用できる主力は、クアンサーとツィミカスだけになっています。37分に左サイドから仕掛けたスターリングは無理をせず、ゴールライン際に斜めのパス。コナー・ギャラガーがニアに折り返すと、コール・パルマーのシュートはコナテに当たってケレハーが懐に収めています。

ボックス左に入ったルイス・ディアスが突破を諦め、外のロバートソンに預けたのは40分。ピンポイントのクロスがガクポに届き、ヘディングが決まったかと思いきや、ボールは右のポストを叩いて外に転がっていきました。ルイス・ディアスは44分にも左サイドをドリブルで突破し、外からボックスに入ったエリオットに預けました。

クロスのクリアが再び7番へ。逆サイドにいたブラッドリーに低いパスが通り、フリーで右足を振り抜くと、コルウィルが必死のブロックで先制を許しませんでした。ハーフタイムは0-0。後半開始直後、遠藤航の美しいフィードがルイス・ディアスに通り、きわどいグラウンダーがニアに入るも、ディサシが落ち着いてカットしています。

CKの二次攻撃で、ボックス右手前の遠藤航が迷わず叩いたボレーはファーポストの外。51分、左から仕掛けたニコラス・ジャクソンが内にいたコナー・ギャラガーにパスを通すと、折り返しに先着したエンソ・フェルナンデスはヒールキックがうまく当たりません。56分に右から中央に持ち込んだコール・パルマーのミドルは、ニアポストの脇を抜けていきました。

56分、ボックス左でサイドチェンジを受けたガクポがファーに浮かすと、待ち構えていたエリオットのボレーは、ペトロヴィッチが右に飛んでセーブ。ファン・ダイクがFKをヘッドで決めた60分のゴールは、オフサイドポジションの遠藤が関与したと見做され、取り消しとなりました。66分にスターリングが下がり、エンクンク。ニコラス・ジャクソンは左にまわるのでしょうか。

70分にドリブルで中央に入ったルイス・ディアスは、脇にいたガクポにラストパス。右足のミドルは、ペトロヴィッチの頭上を越えていきました。72分、ブラッドリーに代わってクラーク。75分にコール・パルマーのグラウンダーがコナー・ギャラガ―に通り、巧みなワンタッチが左隅に転がりますが、こちらもポストに阻まれ、0-0続行です。

コナテを釣り出した85分の速攻は、右にいたコール・パルマーの長いスルーパスでコナー・ギャラガーがケレハーと1対1。GKに当ててしまった23番は、ニコラス・ジャクソンとコナテが競り合った直後のチャンスでも、フリーのミドルを右に外しています。87分にガクポ、ロバートソン、マック・アリスターが下がり、ダンズ、マコーネル、ツィミカス…!

ポチェッティーノ監督の2枚めは、90分にニコラス・ジャクソンをムドリク。92分の混戦からのエンクンク、コール・パルマー、エンクンクの連打は、コナテ、ジョー・ゴメス、ケレハーが信じられない冷静な対応で跳ね返し、2年前のカラバオカップ、FAカップに続くスコアレスの延長戦となりました。

ポゼッションはチェルシーが48%、リヴァプールは52%。シュート数は14対17、オンターゲットは6対6です。ここまでは互角の戦いですが、若手だらけのレッズが不利に見えます。93分のCKからの波状攻撃で、エリオットが左に上げたボールをファン・ダイクが頭で折り返すと、ダンズのヘッダーはペトロヴィッチが指先で上に弾き出しました。

96分にコナー・ギャラガーが下がり、ノニ・マドゥエケ。99分にルイス・ディアスがボックス右に浮かすと、エリオットのボレーはニアに逸れていきます。両者ともに、サイドで勝ってもクロスが通らず、延長戦は後半に突入。チェルシーのほうがより疲れているようです。クロップ監督はコナテを下げ、クアンサーを投入しています。

残り15分、両者ともスローに落とし、1発で決められるシーンを創ろうとしています。111分のノニ・マドゥエケのミドルはケレハーがキャッチ。113分にチルウェルが下がり、トレヴォ・チャロバーがピッチへ。115分にツィミカスのクロスがファーに上がり、エリオットのヘッドがニアポスト際を襲いますが、ペトロヴィッチが足で遮るスーパーセーブでゴールを許しませんでした。

118分、右からのCKはツィミカス。ファン・ダイクの決勝ゴールは、VARの介在を許さないきれいなヘディングでした。追加タイムは3分。チェルシーの放り込みは、ことごとく跳ね返されています。死闘を制したのはユルゲン・クロップのリヴァプール。勝負の分かれ目をスタッツで表現すると、ビッグチャンスミス5対1。2月25日はコナー・ギャラガーの日ではなかったようです。

まずはクロップ監督と選手、スタッフ、サポーターのみなさん、優勝おめでとうございます!完璧な守備でチームを鼓舞し、決勝ゴールを叩き込んだファン・ダイク、類まれなる運動量で攻撃のキーマンとなったルイス・ディアス、アグレッシブなプレイを貫いたエリオット、冷静に中盤を仕切った遠藤航は、それぞれ素晴らしいパフォーマンスでした。

最後までトロフィーを視界に捉えていたチェルシーも、心から称えたいと思います。持ち前の創造力を存分に発揮したコール・パルマー、後方で守備を統率したディサシ、フィニッシュの精度だけが足りなかったコナー・ギャラガー。ディフェンシブアクション17回、リカバリー12回、デュエル11勝と鬼神のような守備を見せたカイセドも、チームに不可欠な存在でした。

そして最後に、9セーブのケレハーと10セーブのペトロヴィッチにも惜しみない拍手を。アリソンとロベルト・サンチェスの不在を、勝ち負けの原因に加える人はいないでしょう。攻守ともにエキサイティングだった極上のファイナル。誇らしげにトロフィーを掲げるクロップ監督とファン・ダイクを見てから、1時間経った今も、到底眠れそうにありません。


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