2024.03.09 チームの話題(全体・他クラブ)
主力の離脱でELはローマに完敗…誤算だらけだった2年め、デ・ゼルビの苦悩とブライトンの限界。
「ブライトンのヨーロッパリーグは終わった」といい切っていいでしょう。ラウンド16のファーストレグで、ローマに4-0の完敗。スタディオ・オリンピコでキックオフを迎えた11人のなかで、プレミアリーグで6位に食い込んだ昨シーズンも主軸だったのは、パスカル・グロス、ルイス・ダンク、ウェルベックだけでした。
グレアム・ポッターをチェルシーに引き抜かれたクラブが、ロベルト・デ・ゼルビを招聘したのは2022年9月。最初の5試合は2分3敗と低調だったものの、ショートパスを多用するビルドアップから、一気にスピードを上げるハイテンポなスタイルを定着させた後は、プレミアリーグ27試合で14勝5分8敗という素晴らしい戦績を残し、クラブ史上初のEL出場権を獲得しました。
相手を誘い込むリスキーなビルドアップを成立させていたのは、視野が広いルイス・ダンクとキープ力が高いモイセス・カイセド。パスカル・グロスとマック・アリスターがスペースを見つけてパスをもらい、左右のサイドで待ち構える三笘薫とソリー・マーチに展開するスピーディーなアタックは、目の肥えたプレミアリーグファンを魅了しました。
2023-24シーズンは、勝負の1年となるはずでした。しかしそのスタートは、不穏な空気に包まれていました。マック・アリスターがリヴァプールに移籍し、カイセドはプレミアリーグレコードの1億1500万ポンドでチェルシーへ。ビッグマネーを得たブライトンは、プレミアリーグとELを両立すべく層を厚くしたものの、中盤センターの不安は解消されたとはいえませんでした。
前線にジョアン・ペドロとアンス・ファティ、中盤はミルナー、ダフード、バレバ。最終ラインにイゴールを加え、チェルシーに売却したロベルト・サンチェスの後釜としてフェルブルッヘンを迎えています。開幕からの6試合は5勝1敗。カイセドとマック・アリスターを失ったチームは、今でもベストメンバーが揃えば、欧州行きのチケットに手が届くレベルといえるでしょう。
ところが現在は、10勝9分8敗で9位と苦しんでおり、ELチャレンジを終えようとしています。誤算だらけだった2023-24シーズン。最初に火の手が上がったのは、レフトバックでした。9月にエストゥピニャンとランプティがダブルでリタイア。逆サイドの後方にまわされたソリー・マーチは、9節のマン・シティ戦で膝を痛め、シーズンアウトとなってしまいました。
中盤を落ち着かせてくれるはずだったミルナーは、左右のSBの穴を埋める起用が多く、主軸になってほしかったダフードはうまくはまらず。20歳のバレバはじっくり育てるべきで、ララナには多くを期待できないでしょう。ミドルサードでのパスワークが得点源だったブライトンは、32歳のパスカル・グロスのコンディションに左右されるチームと化しています。
エンシーソとソリー・マーチを失っていた攻撃陣も、19歳のエヴァン・ファーガソンの伸び悩み、アンス・ファティの空回りなど問題が山積しています。2月には、ELグループステージで6戦6発という数字を残して得点王だったジョアン・ペドロと、アジアカップで無理をした三笘薫が相次いでリタイア。日本代表FWの腰痛は深刻で、復帰はシーズン終了後のようです。
キーマンが入れ替わりで離脱していくなかで、選手のやりくりに追われたデ・ゼルビは、よくやっているといえるでしょう。最大のお手柄は、ブオナノッテ、ヒンシェルウッド、アディングラ、ビリー・ギルモア、バレバといった若手を着実に成長させていること。ティーンエイジャーがプレミアリーグで12ゴールも決めているのは、もちろんブライトンだけです。
グレアム・ポッターが礎を築き、デ・ゼルビによって果実を得たサウスコーストのクラブは、眩い季節を終えようとしているのかもしれません。ペップをうならせるコレクティブなフットボールで、イングランドを魅了した指揮官は、ビッグクラブの注目の的になっています。選手層が薄いと嘆き続けた2年め。彼のなかに残留という選択肢はないでしょう。
「テレグラフ」によると、1200万ポンドの違約金を払えば、ブライトンはデ・ゼルビの退団を許可するとのこと。的確なリクルーティングと、若手の育成に長けたマネージャーの下で急激に強くなった中小クラブは、将来性があるタレントと有能なスタッフをビッグクラブに奪われ、しがみつくのを諦めたかのように沈んでいくのが常です。
われわれは今、小さなクラブの限界と、素晴らしいチャレンジの終焉を見届けようとしているのでしょうか。ポチェッティーノのサウサンプトンとラニエリのレスターは、上位進出という野望には経済的なリスクが伴うという現実をかみしめながら、プレミアリーグから去っていきました。「ブライトンのヨーロッパリーグは終わった」。その後は…。
グレアム・ポッターをチェルシーに引き抜かれたクラブが、ロベルト・デ・ゼルビを招聘したのは2022年9月。最初の5試合は2分3敗と低調だったものの、ショートパスを多用するビルドアップから、一気にスピードを上げるハイテンポなスタイルを定着させた後は、プレミアリーグ27試合で14勝5分8敗という素晴らしい戦績を残し、クラブ史上初のEL出場権を獲得しました。
相手を誘い込むリスキーなビルドアップを成立させていたのは、視野が広いルイス・ダンクとキープ力が高いモイセス・カイセド。パスカル・グロスとマック・アリスターがスペースを見つけてパスをもらい、左右のサイドで待ち構える三笘薫とソリー・マーチに展開するスピーディーなアタックは、目の肥えたプレミアリーグファンを魅了しました。
2023-24シーズンは、勝負の1年となるはずでした。しかしそのスタートは、不穏な空気に包まれていました。マック・アリスターがリヴァプールに移籍し、カイセドはプレミアリーグレコードの1億1500万ポンドでチェルシーへ。ビッグマネーを得たブライトンは、プレミアリーグとELを両立すべく層を厚くしたものの、中盤センターの不安は解消されたとはいえませんでした。
前線にジョアン・ペドロとアンス・ファティ、中盤はミルナー、ダフード、バレバ。最終ラインにイゴールを加え、チェルシーに売却したロベルト・サンチェスの後釜としてフェルブルッヘンを迎えています。開幕からの6試合は5勝1敗。カイセドとマック・アリスターを失ったチームは、今でもベストメンバーが揃えば、欧州行きのチケットに手が届くレベルといえるでしょう。
ところが現在は、10勝9分8敗で9位と苦しんでおり、ELチャレンジを終えようとしています。誤算だらけだった2023-24シーズン。最初に火の手が上がったのは、レフトバックでした。9月にエストゥピニャンとランプティがダブルでリタイア。逆サイドの後方にまわされたソリー・マーチは、9節のマン・シティ戦で膝を痛め、シーズンアウトとなってしまいました。
中盤を落ち着かせてくれるはずだったミルナーは、左右のSBの穴を埋める起用が多く、主軸になってほしかったダフードはうまくはまらず。20歳のバレバはじっくり育てるべきで、ララナには多くを期待できないでしょう。ミドルサードでのパスワークが得点源だったブライトンは、32歳のパスカル・グロスのコンディションに左右されるチームと化しています。
エンシーソとソリー・マーチを失っていた攻撃陣も、19歳のエヴァン・ファーガソンの伸び悩み、アンス・ファティの空回りなど問題が山積しています。2月には、ELグループステージで6戦6発という数字を残して得点王だったジョアン・ペドロと、アジアカップで無理をした三笘薫が相次いでリタイア。日本代表FWの腰痛は深刻で、復帰はシーズン終了後のようです。
キーマンが入れ替わりで離脱していくなかで、選手のやりくりに追われたデ・ゼルビは、よくやっているといえるでしょう。最大のお手柄は、ブオナノッテ、ヒンシェルウッド、アディングラ、ビリー・ギルモア、バレバといった若手を着実に成長させていること。ティーンエイジャーがプレミアリーグで12ゴールも決めているのは、もちろんブライトンだけです。
グレアム・ポッターが礎を築き、デ・ゼルビによって果実を得たサウスコーストのクラブは、眩い季節を終えようとしているのかもしれません。ペップをうならせるコレクティブなフットボールで、イングランドを魅了した指揮官は、ビッグクラブの注目の的になっています。選手層が薄いと嘆き続けた2年め。彼のなかに残留という選択肢はないでしょう。
「テレグラフ」によると、1200万ポンドの違約金を払えば、ブライトンはデ・ゼルビの退団を許可するとのこと。的確なリクルーティングと、若手の育成に長けたマネージャーの下で急激に強くなった中小クラブは、将来性があるタレントと有能なスタッフをビッグクラブに奪われ、しがみつくのを諦めたかのように沈んでいくのが常です。
われわれは今、小さなクラブの限界と、素晴らしいチャレンジの終焉を見届けようとしているのでしょうか。ポチェッティーノのサウサンプトンとラニエリのレスターは、上位進出という野望には経済的なリスクが伴うという現実をかみしめながら、プレミアリーグから去っていきました。「ブライトンのヨーロッパリーグは終わった」。その後は…。
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