いつもの、出ました!プレミアリーグ初対決・ペップVSモウリーニョのキャラ立ちすぎ発言録!
「前半は、われわれより相手のほうがはるかによかった。立ち上がりが悪く、何人かの選手は集中力を欠き、いつものレベルを大きく下回るパフォーマンスだった。ビッグマッチでは、早い判断や鋭いアクションが必要とされるが、そのレベルに達していない選手が3~4人いれば、ツケを払わされることになる」
おっしゃるとおり、前半のマンチェスター・ユナイテッドは、プレミアリーグ最少失点のクラブとは思えないぐらい守備がぎこちなく、ナーバスでした。監督、わかります。その後は?
「35分まではシティがコントロールしていた。しかし前半のうちに1点を返し、直後にもう1点獲れる決定機があった。後半は違うゲームとなり、相手がフェルナンドを入れてからは、われわれが主導権を握った。同点にしていれば、結果はどうなっていたかわからない。45分の間、ハードに戦った。大きなリスクを伴う戦いだったが、別の着地がふさわしかったとさえいえる」
相変わらず、負けず嫌いなお方です。…さあ、みなさん、モウリーニョ節が炸裂したのはこの後のクダリです。いつもながら、FAからお咎めをいただくのではないかとハラハラします。
「マーク(・クラッテンバーグ)のジャッジもわれわれが不利になるものだった。最高のレフェリーにも過ちはある。彼は、2度のミスを犯した。1つめはブラボのルーニーへのファール。あれはレッドカードとPKが与えられるべきだ。しかし審判は、ジャッジが結果におよぼす影響を考慮し、まったく違うゲームになるのを望まなかったのだろう。もう1つもPKだ。オタメンディは、前でクロスを処理しようとしたが後ろに来たため、肘を使った。あれは明らかにPKで、われわれに不利なジャッジだった」
レフェリーのミスが2つということは、「別の着地=3-2」ということでしょうか?ブラボはともかく、オタメンディのほうはモウリーニョさんがこだわるのではないかという予感があったのですが、いいのか悪いのか的中しました。もはやプレミアリーグ名物といってもいい敗戦後の光景に、テンションが上がってしまいます。シティズンのみなさん、気を悪くなさらないでください。モウリーニョさんは、残り15分のギャンブルに手ごたえを感じ、追いつけたはずと悔しさを滲ませながらも、自ら選んだ布陣が敗戦につながったと失敗を認めておりますので。「ときに選手は監督をがっかりさせ、またあるときは大きなサプライズをくれるものだ。私がチョイスしたのだから、落ち度は選手にはなく、私にある」。狙いがあったとはいえ、負傷明けのリンガードとプレミアリーグ初先発となるムヒタリアンのスタメン起用が、このビッグマッチにおいてはリスキーだったのは間違いありません。
さて、次は勝者のペップに話を聞いてみましょう。こちらも、入団したばかりのGKクラウディオ・ブラボを、全勝対決という緊張感の高いゲームでプレミアリーグデビューさせました。落ち着いていたとはいえなかった守護神は、自らのファンブルからズラタンにボレーを叩き込まれ、後半はしばしば危険なフェイントを狙われました。そんな試合の後のペップのコメントには、クロップ監督のようなナチュラルな情熱ではなく、人工的な明るさが感じられるます。
「とてもハッピーだ。試合はオープンで、ファンは楽しんでくれただろう。前半は非常によかった。でもズラタン・イブラヒモヴィッチのゴールはファンタスティックだったね。後半は相手がポグバとフェライニをより前に出し、強くなった。オープンな展開になり、カウンターアタックが増えたね。われわれは常にボールをキープし、奪われたらすぐに奪い返した」
前半のパフォーマンスを続けるのは難しいと語ったペップは、後半にモウリーニョ監督のチームが前がかりになってからは、意図的にカウンター狙いにスイッチしたのでしょう。狭いスペースでのパスワークと、相手ボールの囲み方はこの指揮官のチームならではでした。総論はおっしゃるとおりなのですが、ブラボに対する言葉は意固地になったのかテンションが上がりすぎていたのが、いずれにしてもご本人がこの最高級のリスペクトを聞いたら、深く首を垂れてしまうのではないでしょうか。
「クラウディオのプレイは、私が見たなかでも、最高のパフォーマンスのひとつだった。前でプレイするGKが好きだ。前半がよかったのは、クラウディオのおかげだ。私は、GKには攻撃的なボールを出してほしいんだ。奪われれば失点するリスクがあるけれど、試合をコントロールできる。私はイングランドで過ごす最後の日まで、ボールを保持して戦うサッカーを続けるつもりだ」
ペップは加えて、「ゴールを奪われた後も変わらずビルドアップして、前でロングボールを拾っていた。サッカーとは、ミスにどう対処するかだ。彼がずっと同じプレイを続けてくれたことには大きな意味がある」と語っており、素直に受け取れば「ひるまず続けてくれよ」というメッセージなのでしょう。しかし外野は、GKの度重なるリスキーなプレイと激しすぎるほめ方の落差に耳がキーンとなっており、敵ながら思わず「ブラボがんばれ!」と口走ってしまいそうな衝動にかられるのでした。いやいや、ときどきある耳キーン現象もまたペップの醍醐味です。
ともあれ、ペップとモウリーニョがプレミアリーグに舞台を変えて戦った初めてのマンチェスターダービーは、サッカーもコメントもそれぞれ彼ららしく、歌舞伎の大見得を愉しむような安心感と高揚感に包まれつつ幕を閉じたわけであります。エティハドでのリターンマッチも、もちろんコメントもセットで楽しみにしております。主審がどなたになるのかはわかりませんが、マンチェスター・ユナイテッドが僅差で負けた際には、無傷ではいられない可能性が極めて高いと思われますので、覚悟していただければと存じます。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
ペップのブラボに関するコメントは、パスを何度にも渡って成功させた攻撃の起点としての評価だと思います。彼のサッカーは超攻撃的ですのでDFもキーパーも攻撃の起点としてのスタートアップをかなり重視しています。実際、この試合のブラボのパス成功数、成功率はかなり高いものでした!
監督のサッカー感が異なったもの同士の戦いは試合後も個性が出ていて面白いですね!
ヤンガナ大好き!さん>
マンチェスター・ユナイテッドの9人の選手よりもパス本数が多かったブラボがビルドアップで多大な役割を果たしたのは確かですが、「最高のパフォーマンス」などという言葉は使わず、「ミスはあったけど攻撃の組み立てに貢献してくれた」というリアルな表現だけにとどめたほうが本人は呑みこみやすかったのではないかと思いました。ピッチの上の状況をあれだけコントロールできる人が、言葉のコントロールは前向きに雑なのがおもしろく、書かせていただきました。私は秘かに、「明るいファン・ハール」と呼んでおります。