偏愛的プレミアリーグ見聞録

みんな、どうしたんだ？そんなにペップが怖いのか？それともプレミアリーグ4連覇を見たいのか？前半戦ではあんなに強かったのに、やけにあっさり負けるじゃないか。アストン・ヴィラ、クリスタル・パレス、ルートン、ブライトン、ノッティンガム・フォレスト、ウルヴス、フラム…それぞれサプライズを期待していたのに！

リヴァプール戦とアーセナル戦の連続ドローで64ポイント。3月が終わったとき、マンチェスター・シティは首位リヴァプールに3ポイント差で、2位アーセナルも1ポイント上にいました。ペップの残り9試合を見ると、やっかいな相手ばかりでした。アストン・ヴィラにはアウェイで1-0の敗戦。クリスタル・パレスにはエティハドで2-2のドローに持ち込まれています。

ルートンはアデバヨの1発でハーフタイムまで1-0でリード。ベルナルド・シウヴァとグリーリッシュのゴールで逆転されたものの、1-2は大健闘です。前半で2点のビハインドを背負ったブライトンは、三笘薫の活躍で押し返し、アンス・ファティのゴールで1点差に詰め寄りました。後半のビッグチャンスは0対3とブライトン優勢で、アカンジは最後にレッドカードをもらっています。

ノッティンガム・フォレストとのホームゲームは、「後半開始直後にロドリが退場となった試合」といえば、思い出す人もいるでしょう。14分までに2点をゲットしたマン・シティは、絶対的なアンカーを欠いたセカンドハーフはポゼッション31％！シュート数も1対9、オンターゲットは0対3という悪夢のような45分を過ごしながら、序盤のリードを守り切りました。

この直後のウルヴス戦は、ヴィラ戦と同様にロドリを欠き、シュート数3対23と圧倒しながら2-1の敗戦。フラムは唯一、前半戦は5-1の大敗でしたが、後半戦でアーセナル、マン・ユナイテッド、トッテナムを撃破した曲者です。年明けから得点力が落ちていたマン・シティが彼らにポイントを削られ、レッズとガナーズの一騎打ちになる可能性もあると思っていたのですが…。

ヴィラ戦の4発圧勝で火が着いたかのように、怒涛のゴールラッシュで7連勝。エメリにダブルを喰らったアーセナルと、突如崩れたリヴァプールをまくって、「いつもの席」に戻ってしまいました。7試合で28ゴール5失点。チャンピオンズリーグを失い、ラクなスケジュールになったのも、好調の要因のひとつでしょう。

いや、彼らのラストスパートは、それだけでは語れません。7連勝中の相手チームの多くは、戦力や調子が落ちていました。4-1で負けたヴィラはオリー・ワトキンズ、ブバカル・カマラ、ジェイコブ・ラムジーがおらず、レオン・ベイリーとパウ・トーレスがベンチスタート。2-4のクリスタル・パレスもマイケル・オリーズは後半からで、最終ラインにグエイはいませんでした。

5-1で惨敗のルートンは、最終ラインのオショとメンギが負傷リタイアで、橋岡大樹がオウンゴールを記録しています。三笘薫、ソリー・マーチ、ビリー・ギルモア、エストゥピニャン、エヴァン・ファーガソンがいないブライトンは、ヨーロッパリーグでアヤックスやマルセイユを撃破した頃とは別なチームです。

9月のエティハドで、ロドリ退場後に押しまくったノッティンガム・フォレストは、ホームでもシュート数14対11と王者を上回るも、3回のビッグチャンスを活かせず0-2で完敗。ルベン・ディアスのオウンゴールを誘発したペドロ・ネトを起用できたら、ウルヴスは5-1のワンサイドゲームを回避したかもしれません。

もちろん、ベストメンバーを組めなかったのはペップと戦うチームだけではありません。とはいえエメリとデ・ゼルビは、キーマンを使えればもっと戦えたはずです。昨日負けたばかりのフラムは、4月以降のプレミアリーグで1勝2分3敗と調子が悪く、シュート1本のみの0-4は「ですよね」のひとこと。グヴァルディオルが素晴らしい出来で、0-7でもおかしくない一戦でした。

最後に、グーナーのみなさんをがっかりさせることをお伝えしなければなりません。ラスト2戦でペップと激突するスパーズとハマーズも不調です。ポステコグルー監督のチームは、4連敗の後、19位バーンリーに2-1の辛勝。左サイドはヴェルナー、ウドジェ、セセニョン、ベン・デイヴィスが全員負傷リタイアで、フォーデンとデブライネを止められるとは思えません。

ファン・デ・フェンを左にまわしたバーンリー戦の工夫が通用するかどうか。トッテナム・ホットスパー・スタジアムのプレミアリーグで未だ勝利がないペップにとって、今回は最大のチャンスです。モイーズ監督の退任が決まったハマーズは、2勝2分4敗という直近の戦績に加えて、リーグで17試合連続失点中という記録も懸念材料です。

「マン・シティの優勝は決まり」とまではいえませんが、「4連覇濃厚」がフラットな見方でしょう。グーナーのみなさんは、ウナイ・エメリに恨み言をぶつけるしかありません。マン・シティ戦でパウ・トーレス温存、イロエクブナム初先発など奇手を使い、11日後のアーセナル戦はベストメンバー…。罵声を浴びせるなら、SNSではなく居酒屋かカラオケ屋の個室でお願いします。