2024.05.26 選手トピックスマンチェスター・ユナイテッドの話題
「これこそが僕の究極の夢」決戦前夜、ブルーノ・フェルナンデスがサポーターに伝えた言葉。
「FAカップ決勝を前に、心からの言葉を伝えたいと思います。みなさんにとって、簡単なシーズンではなかった。われわれは、みなさんにふさわしい水準に達していなかった。いつもサポートしてもらっているのに、応えられなかった。キャプテンとして、誰よりもその責任を感じています。当然のこととは思っていません」
「このクラブは、ソーシャルメディアできれいな言葉を並べ立てるような場ではありません。私が深く大切にしているものなのです。4年前、ここに来る機会を与えられたとき、どこにいたかを決して忘れないでしょう。リスボンの寝室のクローゼット。夜の10時頃、エージェントから電話がかかってきたのです。当時、娘はまだ3歳で、もう寝る時間でした」
「私は小さなクローゼットで静かにしていました。移籍の話は、100%現実になるまで聞きたくなかった。オファーがあるまで、気を抜きたくなかった。だからこそ、彼がそんな時間に電話をかけてくるということは、何かが起こっているのだと思いました。私はドアを閉め、『ミゲル?』と呼びかけました。彼は 、ニュースを聞く準備はできているかといいました」
「何の話?」
「行くんだよ」
「どこ?スパーズ?」
「ユナイテッド」
「ジョークだろ?」
「いやいや、本気だ。ユナイテッド。もう終わった。あとは君次第だ。どうする?」
「私は返事をせず、涙をこらえていました。泣いているのを気づかないようにして、うまく話せなくなっているときの気持ちがわかりますか? 『ブルーノ?ブルーノ?もしもし?』。そのとき、妻のアナが寝室に私を探しに来ました。 『ブルーノ???ブルーノ???』。彼女はドアを開けます。『ミゲルから電話があった。ユナイテッドが僕をほしがってるって』」
マンチェスターダービーとなったFAカップ決勝を前に、「プレイヤーズ・トリビューン」に掲載された彼の言葉に触れて、心を揺さぶられました。29歳になったキャプテン、ブルーノ・フェルナンデス。「Dear United」と題された記事からは、「マンチェスター・ユナイテッドで活躍することが子どもの頃からの夢だった」という人物の真摯な思いが伝わってきます。
「世界じゅうのファンのみなさまへ」という書き出しで、不甲斐ないシーズンを詫びたキャプテンは、移籍が決まったときのエピソードを昨日のことのように綴っています。ポルトガルの少年の多くが、イングランドのビッググラウンドでプレイすることを夢見ており、マンチェスター・ユナイテッドは妻のアナさんとともに追いかけた目標だったそうです。
「ユナイテッドに行くよ」といって、泣きながらアナさんを抱きしめた夜のこと。初めてのオールド・トラフォードで聞いた想像以上の歓声。パブで観戦していたサポーターが、最初の試合のハーフタイムに自分のチャントを叫んでいる映像を見たときの驚き。「ここに来てから4日しか経ってないのに、どうやって歌詞を作ったのだろう」と思ったといいます。
キャプテンに指名されたときも、「凄いことが起こった。うまくいえないけど」「夢にも思わなかったことが、現実になった」とアナさんに伝えたブルーノ・フェルナンデスは、悔しさをかみしめながら、継続性がないシーズンを過ごしていました。サポーターに対して感謝の意を伝えながら、謝罪を繰り返したエースは、こんなひとことでメッセージを結んでいます。
「But we’re on our way to Wembley. Get behind us one more time」
それでも、われわれはウェンブリーに向かっている。もう一度、支えてほしい…。これ以上、サポーターを裏切りたくなかったからか、「必ず勝つ」とはいえなかったようです。彼の思いが伝わったかのように、フットボールの聖地には赤いフラッグが乱舞し、ラシュフォードがカイル・ウォーカーと競るたびに大歓声が沸き起こりました。
30分にグヴァルディオルのバックパスミスを突いたガルナチョが決めて、0-1。キャプテンが輝いたのは、39分でした。ラシュフォードのサイドチェンジが右にいたガルナチョに入り、グラウンダーが8番へ。誰もが打つと思った瞬間、美しいスルーパスが左のメイヌーに通り、ダイレクトショットがGKオルテガの右脇を抜きました。
最高だった前半、猛攻を耐えた後半。最前線で王者のビルドアップをチェックし続けた彼は、チャンスクリエイト5回、ドリブル成功3回、インターセプト2回、デュエル9勝4敗という素晴らしいスタッツを刻んで、愛するクラブを勝利に導いてくれました。ウェンブリーでトロフィーを掲げ、絶叫する姿を見て、言葉を失ってしまいました。
「オールド・トラフォードで歩を進めるのが何よりも好きだ。離れたくない。これは僕の究極の夢なんだ。クラブの期待と自分の希望をフィットさせたい。どのファンに聞いても、同じことをいうだろう。リーグで戦いたい。チャンピオンズリーグでプレイしたい。カップファイナルに進出したい。それがスタンダード。自分の望みであり、ファンが期待するところでもある」(Dear United/ブルーノ・フェルナンデス)
2020年1月の入団から、公式戦233試合79ゴール66アシスト。苦しかった今季も、プレミアリーグ35試合10ゴール8アシストという納得の数字を残しています。ビッグチャンスクリエイト21回は、サラーに1差の2位。キーパス114本はリーグTOPで、ロドリを上回る390.39kmの走行距離は9位にランクインしています。
前線で攻撃の主軸となってゴールを生み出し、泥くさい守備を厭わないプレーメイカーがチームを去るシーンは想像できません。いつまでも、マンチェスター・ユナイテッドにいてほしい。5月上旬に退団を検討中というゴシップが流れましたが、ニューカッスル戦を制した後、「スカイスポーツ」のインタビューで即座に否定しています。
「クラブが僕を必要としてくれるうちは、ここにいる。今は、僕を将来の一部にしたいと望んでくれているように感じられる。さっきもいったけど、クラブが望まない選手にはなりたくない。いつか不要だといわれたら、出ていくだろうね」
ブルーノ・フェルナンデス、誰よりもマンチェスター・ユナイテッドを深く愛した忘れえぬキャプテン。ともに悔しい思いをし続けたシーズンの終わりに、最高の瞬間を迎えることができました。2024-25シーズンも彼とともに、頂点に立つ喜びを味わいたいと思います。願わくば、もっと大きなタイトルを。
「このクラブは、ソーシャルメディアできれいな言葉を並べ立てるような場ではありません。私が深く大切にしているものなのです。4年前、ここに来る機会を与えられたとき、どこにいたかを決して忘れないでしょう。リスボンの寝室のクローゼット。夜の10時頃、エージェントから電話がかかってきたのです。当時、娘はまだ3歳で、もう寝る時間でした」
「私は小さなクローゼットで静かにしていました。移籍の話は、100%現実になるまで聞きたくなかった。オファーがあるまで、気を抜きたくなかった。だからこそ、彼がそんな時間に電話をかけてくるということは、何かが起こっているのだと思いました。私はドアを閉め、『ミゲル?』と呼びかけました。彼は 、ニュースを聞く準備はできているかといいました」
「何の話?」
「行くんだよ」
「どこ?スパーズ?」
「ユナイテッド」
「ジョークだろ?」
「いやいや、本気だ。ユナイテッド。もう終わった。あとは君次第だ。どうする?」
「私は返事をせず、涙をこらえていました。泣いているのを気づかないようにして、うまく話せなくなっているときの気持ちがわかりますか? 『ブルーノ?ブルーノ?もしもし?』。そのとき、妻のアナが寝室に私を探しに来ました。 『ブルーノ???ブルーノ???』。彼女はドアを開けます。『ミゲルから電話があった。ユナイテッドが僕をほしがってるって』」
マンチェスターダービーとなったFAカップ決勝を前に、「プレイヤーズ・トリビューン」に掲載された彼の言葉に触れて、心を揺さぶられました。29歳になったキャプテン、ブルーノ・フェルナンデス。「Dear United」と題された記事からは、「マンチェスター・ユナイテッドで活躍することが子どもの頃からの夢だった」という人物の真摯な思いが伝わってきます。
「世界じゅうのファンのみなさまへ」という書き出しで、不甲斐ないシーズンを詫びたキャプテンは、移籍が決まったときのエピソードを昨日のことのように綴っています。ポルトガルの少年の多くが、イングランドのビッググラウンドでプレイすることを夢見ており、マンチェスター・ユナイテッドは妻のアナさんとともに追いかけた目標だったそうです。
「ユナイテッドに行くよ」といって、泣きながらアナさんを抱きしめた夜のこと。初めてのオールド・トラフォードで聞いた想像以上の歓声。パブで観戦していたサポーターが、最初の試合のハーフタイムに自分のチャントを叫んでいる映像を見たときの驚き。「ここに来てから4日しか経ってないのに、どうやって歌詞を作ったのだろう」と思ったといいます。
キャプテンに指名されたときも、「凄いことが起こった。うまくいえないけど」「夢にも思わなかったことが、現実になった」とアナさんに伝えたブルーノ・フェルナンデスは、悔しさをかみしめながら、継続性がないシーズンを過ごしていました。サポーターに対して感謝の意を伝えながら、謝罪を繰り返したエースは、こんなひとことでメッセージを結んでいます。
「But we’re on our way to Wembley. Get behind us one more time」
それでも、われわれはウェンブリーに向かっている。もう一度、支えてほしい…。これ以上、サポーターを裏切りたくなかったからか、「必ず勝つ」とはいえなかったようです。彼の思いが伝わったかのように、フットボールの聖地には赤いフラッグが乱舞し、ラシュフォードがカイル・ウォーカーと競るたびに大歓声が沸き起こりました。
30分にグヴァルディオルのバックパスミスを突いたガルナチョが決めて、0-1。キャプテンが輝いたのは、39分でした。ラシュフォードのサイドチェンジが右にいたガルナチョに入り、グラウンダーが8番へ。誰もが打つと思った瞬間、美しいスルーパスが左のメイヌーに通り、ダイレクトショットがGKオルテガの右脇を抜きました。
最高だった前半、猛攻を耐えた後半。最前線で王者のビルドアップをチェックし続けた彼は、チャンスクリエイト5回、ドリブル成功3回、インターセプト2回、デュエル9勝4敗という素晴らしいスタッツを刻んで、愛するクラブを勝利に導いてくれました。ウェンブリーでトロフィーを掲げ、絶叫する姿を見て、言葉を失ってしまいました。
「オールド・トラフォードで歩を進めるのが何よりも好きだ。離れたくない。これは僕の究極の夢なんだ。クラブの期待と自分の希望をフィットさせたい。どのファンに聞いても、同じことをいうだろう。リーグで戦いたい。チャンピオンズリーグでプレイしたい。カップファイナルに進出したい。それがスタンダード。自分の望みであり、ファンが期待するところでもある」(Dear United/ブルーノ・フェルナンデス)
2020年1月の入団から、公式戦233試合79ゴール66アシスト。苦しかった今季も、プレミアリーグ35試合10ゴール8アシストという納得の数字を残しています。ビッグチャンスクリエイト21回は、サラーに1差の2位。キーパス114本はリーグTOPで、ロドリを上回る390.39kmの走行距離は9位にランクインしています。
前線で攻撃の主軸となってゴールを生み出し、泥くさい守備を厭わないプレーメイカーがチームを去るシーンは想像できません。いつまでも、マンチェスター・ユナイテッドにいてほしい。5月上旬に退団を検討中というゴシップが流れましたが、ニューカッスル戦を制した後、「スカイスポーツ」のインタビューで即座に否定しています。
「クラブが僕を必要としてくれるうちは、ここにいる。今は、僕を将来の一部にしたいと望んでくれているように感じられる。さっきもいったけど、クラブが望まない選手にはなりたくない。いつか不要だといわれたら、出ていくだろうね」
ブルーノ・フェルナンデス、誰よりもマンチェスター・ユナイテッドを深く愛した忘れえぬキャプテン。ともに悔しい思いをし続けたシーズンの終わりに、最高の瞬間を迎えることができました。2024-25シーズンも彼とともに、頂点に立つ喜びを味わいたいと思います。願わくば、もっと大きなタイトルを。
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