偏愛的プレミアリーグ見聞録

「ディフェンダーが退団する可能性はある。デ・リフトもマンチェスター・ユナイテッドの監督もオランダ人だ。残留しても構わない。個人的には、ウパメカノを売るつもりはない。売れないディフェンダーはいないけど、（エリック・）ダイアーとキム（ミンジェ）はプランのなかにしっかり組み込まれている」

バイエルン・ミュンヘンのウリ・ヘーネス会長がドイツメディアのインタビューに応じ、マタイス・デ・リフトは移籍する可能性があると明言しました。既に個人条件は合意済みと報じられているマンチェスター・ユナイテッドは、ジャラッド・ブランスウェイトにはビッグマネーを投じないと伝えられており、いずれバイエルンにオファーを提示するはずです。

ただし当面は、動かないと見られています。レニー・ヨロに総額5870万ポンドで押さえてからは、パリのマヌエル・ウガルテの獲得が最優先。パリの要求額は5900万ポンドといわれており、ディール成立のためには資金調達が必要と報じるメディアもあります。マン・ユナイテッドの主力の売却に関するゴシップが増えたのは、さらなる強化の前提条件となっているからでしょう。

メイソン・マウント、ワン＝ビサカ、マクトミネイ、カゼミーロ、エリクセン、ブルーノ・フェルナンデス、ジェイドン・サンチョ、リンデロフ。売却の話が取り沙汰されている主力のなかで、「絶対にない」といえる選手がひとりだけいます。メイソン・マウントは、マンチェスター・ユナイテッドを離れたくないといっており、指揮官も巻き返しを期待しています。

中盤では、マクトミネイとブルーノ・フェルナンデスも残留濃厚です。昨季プレミアリーグで7ゴールのスコットランド代表MFについて、テン・ハフ監督は「われわれにとって非常に重要な選手なので、引き留めたい。昨シーズン、彼がチームにどれだけ貢献できるかを見てきた」とコメント。クラブは、39番に付けたタグを4000万ポンドに吊り上げていると報じられています。

サウジやパリという噂があったブルーノ・フェルナンデスに、具体的な話はないようです。マン・ユナイテッドに対するロイヤリティが高いキャプテンは、延長オプションを含めると契約が3年残っており、その後を見据えた新たな条件の交渉が始まる可能性のほうが高そうです。微妙なのはカゼミーロ。「スカイスポーツ」が「サウジの関心が冷めている」と伝えています。

ソフィアン・アムラバトを1680万ポンドで手に入れる買取オプションを行使しなかったマン・ユナイテッドは、新たな交渉で移籍金下げて獲得する余地を残しているといわれていますが、カゼミーロが残留となれば、中盤はウガルテを引き入れるのみとなるでしょう。出場機会が増えそうにないエリクセンは、オファーがあれば前向きに検討されるはずです。

ワン＝ビサカ、リンデロフ、サンチョも売却候補。「CaughtOffside」で編集長を務めるマーク・ブルズ氏は、テン・ハフ監督との関係を修復したサンチョについて「パリがほしがっており、3400万ポンド程度のオファーが来るのではないかと思われる」と伝えています。ウガルテとサンチョは、実質的にスワップという着地になるかもしれません。

現状をまとめると、こうなります。獲得決定はザークツィーとレニー・ヨロ、次なるターゲットはウガルテ、デ・リフト、アーセナルを退団した神童チド・オビ＝マルティン。メイソン・マウント、ブルーノ・フェルナンデス、マクトミネイは残る見通しで、カゼミーロは8月になってからのサウジの動向次第です。

サンチョとリンデロフは売られる可能性が高く、ワン＝ビサカも適切なオファーがあればアウト。エリクセンは、退団に傾いていると見るべきでしょう。サラリーを出してもらえるならローン移籍OKと報じられたアントニーは残留希望だそうですが、ガルナチョ、アマド・ディアロに次ぐ3番手になるのではないでしょうか。

新たな経営ボードの方針は明確で、心強いですね。目下の懸念は、資金調達のための売却が思うように進まず、意中のタレントを獲り逃すことです。少なくともプレミアリーグ2024-25シーズンの開幕までは、トランスファーマーケットの主役となりそうですが、玉石混交の記事を楽しみながら朗報を待ちたいと思います。