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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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3戦連続クリーンシートのリヴァプール。スロット戦術による変化と恩恵を受けた選手を探る!

「開幕から3試合で、何かを語るのは早すぎる」と声が挙がる一方で、「3戦連続のクリーンシートは、簡単にできることじゃない」という反論も聞こえてきます。ユルゲン・クロップの後を継いだアルネ・スロットは、昨季プレミアリーグを3位で終えたチームの課題を解決するのでしょうか。まだ始まったばかりですが、リヴァプールの序盤の3試合から変化の種を探ってみましょう。

最初に押さえておきたいのは、Optaのパワーランキングです。今季プレミアリーグの開幕から10試合の対戦相手の難易度を見ると、リヴァプールは6番めにイージーだそうです。イプスウィッチ、ブレントフォード、マンチェスター・ユナイテッドという顔ぶれは、チェルシーとウェストハムを下したペップよりラクではあったと考えたほうがいいでしょう。

それでも彼らのスタッツをチェックしてみると、クロップ時代の弱点が改善に向かっているのが見て取れます。昨季の悩みを物語る象徴的な数字を、いくつか挙げましょう。アーセナルの29失点に対して、41失点。クリーンシートはアーセナルが18回、マン・シティが13回、リヴァプールは10回です。38試合のうち16試合で先制されており、ポイントロストの原因になっていました。

クロップ監督の看板だったゲーゲンプレスは、ワイナルドゥム、ファビーニョ、ヘンダーソンら守備力に長けたタレントたちを失うなかで、諸刃の剣と化していたのです。「アスレティック」のマーク・ケアリー記者が、興味深い数字を2つ提示しています。ひとつは、守備においてトランジションに費やした時間の比率。リヴァプールの34%は、スパーズに次ぐリーグ2位でした。これは、「リーグで2番めにパワーが必要」と言い換えてもいいでしょう。

もうひとつは、「Footovision」が算出した陣形のコンパクトネス。簡単にいうと、ボールを奪われた瞬間の10人の距離で、わかりやすくいえば「密集度」です。リヴァプールは、縦幅の平均が9.9mでリーグ18位。首位バーンリーと2位ルートンは、自陣にこもっている時間が長いからこその密集状態ですが、3位マン・シティは9.0m、4位アーセナルは9.1mです。

間延びした状態で奪われ、カウンタープレスが空振りするシーンが目立つようになったチームは、最終ラインの負担が増大していました。さて、ここからがスロット戦術のお話です。フェイエノールトからやってきた指揮官は、何を変えたのでしょうか。3戦連続のクリーンシートをもたらした最大の変化は、4-2-4の守備ラインです。

ショボスライが前線に加わり、4人でパスコースを切ることで縦の速いパスを防ぎ、マック・アリスターとフラーフェンベルフがCBの前で並んでスペースを消しています。アンカーとインサイドMFで形成する守備陣形は、お互いの距離を意識しないと縦に長くなる傾向がありますが、4-2-4はコンパクトなラインをキープしやすく、相手のアタックを遅らせることができます。

「スカイスポーツ」のリチャード・モーガン記者は、「ヘヴィーメタルからパーカッションフットボールへ」という表現で、チーム全体のエネルギー消費量が減ったと指摘。「シュートもオンターゲットも速攻も少なくなったが、パスの成功率が上がり、ターンオーバーが減ってビッグチャンスを与えなくなった」と評価しています。

スロットの新戦術によって、恩恵を受けたのは誰でしょうか。最初に挙げるべきは、遠藤航からポジションを奪取したフラーフェンベルフでしょう。CBの近くにいる時間が長く、安全につなごうとする日本代表より、マック・アリスターと上下を入れ替えながら前に出ていくオランダ代表のほうが、新監督の戦い方に適しているようです。

もうひとりは、前に張って守るシーンが増えたルイス・ディアス。長距離のスプリントの後、ゴール前で集中力を欠く姿が目立っていたウインガーは、上下動が減ったために冷静にプレイできる機会が増え、打てるエリアを選べるようになっています。開幕から3戦3ゴール1アシストと絶好調で、昨シーズンよりゴールに絡むシーンが増えそうです。

ラインがコンパクトになり、MFがスペースを埋めてくれれば、ファン・ダイクとコナテのストレスも減るでしょう。インターナショナルブレイク明けの相手は、今季プレミアリーグで最多となる53本のシュートを記録しているノッティンガム・フォレストです。4-2-4の真ん中の2人が、最も危険なギブス=ホワイトにどう対処するのかに注目しましょう。


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