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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

リヴァプールか、マドリードか。約束の場で自身について語ったアーノルドの未来を思う。

2016年10月のプロデビューから8年で、公式戦316試合19ゴール81アシスト。土曜日のボーンマス戦で、ルイス・ディアスの2点めをお膳立てしたトレント・アレクサンダー=アーノルドは、リヴァプールでのゴール&アシストが100に到達しました。プレミアリーグの59アシストは、チームメイトのアンディ・ロバートソンと並ぶ歴代25位で、DFとしては史上1位です。

19歳でレギュラーポジションを獲得した早熟の天才は、2018-19シーズンには、DFとしてプレミアリーグのレコードとなるシーズン12アシストに到達。翌シーズンはこの数字をひとつ伸ばし、30年ぶりとなるリーグ制覇に貢献しました。2023年5月には、自身2度めのプレミアリーグ5試合連続アシスト。この数字を2回記録した初の選手となっています。

逆サイドにいるロバートソンは既に30歳。5つ年下のアーノルドは、希少価値が高まっているワンクラブマンを志向すれば、DFとしてのアシストの記録を塗り替えていくでしょう。シーズン10アシストのハイラップを刻み続ければ、6年後にはセスク・ファブレガスの113アシストをかわして歴代3位にジャンプアップします。

彼が自らの記録を更新できなかったとすれば、最もありそうな理由は「リヴァプールに別れを告げたから」。キャリアで初めて契約の最後の年を迎えたフルバックには、33歳のカルバハルの後継者を探しているレアル・マドリードがオファーを出すという噂が付き纏っています。これまで契約に関して、頑なに口を閉ざしてきた男は、どちらに傾いているのでしょうか。

「アスレティック」のジェームズ・ピアス記者によると、本人の意向を知りたいジャーナリストたちは、サン・シーロでミランに勝った後、取材の時間を求めたそうです。空港に直行しようとしていた彼の答えは、「ボーンマスの後、アンフィールドで」。土曜日の午後、8~9分という短い時間ながら、その約束は果たされたようです。

「いいかな。僕はこのクラブに20年いる。4つか5つの契約にサインしたけど、すべて公表していない。今回もそうなるだろう。今まで常に、このクラブのキャプテンになりたいといってきた。それが目標であり、ゴールでもある。実現するかどうかは正直、わからない。いえることがあるとすれば、少なくとも今シーズンはリヴァプールの一員でありたいということ」

「最も重要なのはトロフィーだ。トロフィーを勝ち取りたい。勝ち続けること、エリートであることに強いモチベーションを感じる。おそらくそれが、何事においても重要な要素といえるだろう。エリートであり、常に勝利を望み、勝つためなら何でもするようなパーソナリティなら、それこそが自らを突き動かす原動力となる」

「昨シーズンはタイトル獲得まであと一歩まで迫り、カップ戦では優勝を果たした。しばらくは4冠達成の兆しもあった。今シーズンのわれわれは、とても好調だ。まだシーズンは始まったばかりだけど、安定したパフォーマンスを見せて、多くのチームに勝たなければならない。難しいことだけど、できる限り多くのトロフィーを獲得したい」

その言葉から伝わってくるのは、残留しても移籍となっても、それぞれ明確な理由があるということだけです。キャプテンになるためには、少なくとも2つの条件をクリアしなければなりません。ひとつは、ヴィルジル・ファン・ダイクが重責から解放されること。もうひとつは、指揮官に指名されることです。リーグ屈指のCBの仕事を見る限り、この先2年は実現しないでしょう。

トロフィーのほうは、マドリードに渡ったほうがより多くのチャンスがありそうです。親友のジュード・ベリンガムの存在も、移籍を決断する大きな理由となるかもしれません。ジュリアン・ウォードの早すぎる退任とその後の混乱によって、主力との契約延長交渉が遅れたリヴァプールは、ビッグタイトルを獲得するための野心と体制があると早期に伝えなければなりません。

リヴァプールを愛する生え抜きのSBが、自らの将来について決める重要なポイントとなるのは、クラブの姿勢と指揮官との関係でしょう。今は、後者については問題はないようです。土曜日の取材で、そのことについて問われると、「試合を精緻に分析し、ディテールに気を配る監督の姿勢に学ぶところが多い」といっています。

「僕たちは今後の目標や狙いについて話し合った。ヨーロッパのクラブに対戦したくないと思われるDFになりたいと伝えた。彼が僕に対して厳しく接することにも同意している。アタッカーが僕をかわすたびに、ミーティングで指摘され、こんなことがあってはならないといわれる。われわれはすべての試合を一緒に振り返り、改善すべきポイントを強調される」

「ミラン戦でも、もっとうまくやれたはずのプレイを20回ほど映像で確認した。同時に、いいプレイも指摘されている。 選手としてどうすればもっとよくなるかを助言し、指導してくれる監督がいると、とてもリフレッシュできる。僕は学びたいと思い、ベストでありたいと望み、史上最高の選手になるために努力する人間だ」

4-4-2の全盛期なら、背中を追うべきはデヴィッド・ベッカムだったのではないでしょうか。最強のクロスを武器とするSBとして歴史に名を残すのか、スティーヴン・ジェラードのポジションで多彩なキックを活かすのか。自身のスタイルも複数の選択肢があるアーノルドが、どこで誰と完成形を見出すのか、興味が湧きます。アンフィールドの歓喜に包まれる姿を見続けたいと願いながら。


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