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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

現地メディアの評価は「奇妙な交代」…絶好調のラシュフォードを、なぜハーフタイムで代えたのか?

ヨーロッパリーグのリーグフェイズ2節、ポルトVSマンチェスター・ユナイテッドの前に行われたフェレンツヴァーロシュVSトッテナムを見て、テンションが上がりました。前線にウィル・ランクシャーとマイキー・ムーア、中盤にルーカス・ベリヴァル、CBにアーチー・グレイとティーンエイジャーが4人もいるスパーズが、押しまくっています

23分の先制ゴールは、ヤングスターたちが体を張った泥くさいアタックでした。右サイドからカットインしたマイキー・ムーアが、ゴール前のランクシャーに縦パスを通すと、競り合いから混戦となり、突っ込んできたベリヴァルが触ったこぼれ球が右に流れました。ボールを見失ったガーテンマンの背後で拾ったのはパペ・マタル・サール。右足の一撃がGKの足元を抜きました。

リードしてから攻め続けているスパーズを見て、アンジェ・ポステコグルーは素晴らしいとあらためて思いました。自らのコンセプトを貫く。育てながら、勝ちにいく。撃ち合いとなったゲームの勝負が決したのは、86分でした。左サイドでキープしたマイキー・ムーアが、途中出場のソランケをラインの裏に走らせるスルーパスを通しました。

クロスがクリアされると、コース上にいたジェームズ・マディソンがダイレクトで右のブレナン・ジョンソンへ。切り返しから放った左足のシュートが、ファーポストの内側を叩いてネットに届きました。0-2となった90分に、アーリークロスをニアで合わせたバルナバーシュに1点差に詰め寄られたものの、逃げ切ったスパーズは連勝で3位にジャンプアップしています。

さて、次はマンチェスター・ユナイテッド。トゥエンテとのホームゲームをドローで終えたチームに、若手を抜擢する余裕はないようです。GKオナナ、DFマズラウィ、デ・リフト、リサンドロ・マルティネス、ダロト。2センターにカゼミーロとエリクセン、2列めはアマド・ディアロ、ブルーノ・フェルナンデス、ラシュフォード、最前線にホイルンドという布陣です。

立ち上がりはポルトのペース。5分過ぎからポゼッションを取ったマンチェスター・ユナイテッドは、7分にいきなり先制しました。エリクセンが左サイドのラシュフォードに預けると、カットインから2人をかわした10番がボックス左で右足を振り抜き、GKジエゴ・コスタが弾き切れなかったボールがゴールラインを越えていきました。

追加点は20分、オナナのフィードはセンターサークルでカットされるも、奪い返したエリクセンがドリブルで上がって左のラシュフォードへ。左に流れたホイルンドに出した縦のラストパスは絶妙で、復帰して間もないストライカーは迷わず左足を振り抜きました。ニアに入ったボールに触ったジエゴ・コスタは、またしても後ろに逸らしてしまいました

ハムストリングを痛めて出遅れたホイルンドは、今季の公式戦初先発で初ゴールです。0-2ならいけると思ったのですが…。27分、右からクロスを上げたのはジョアン・マリオ。サム・オモロディオンと競ったマズラウィのヘッドが枠にいってしまい、オナナが必死に弾いたボールをペペに頭で押し込まれました。

さらに34分、ジョアン・マリオの最初のクロスは、エウスタキオとニコ・ゴンザレスが打てず、右に戻されますが、2度めのボールはサム・オモロディオンにぴったりでした。デ・リフトに競り勝った20歳のストライカーのヘッダーで、あっさり同点。昨季のチャンピオンズリーグで、ガラタサライとコペンハーゲンに逆転負けを喫したチームは、同じ失敗を繰り返しそうです。

42分にブルーノがボックス右に浮かしたボールを、ホイルンドが決めていれば…。胸トラップしたストライカーは打てず、こぼれ球に先着したカゼミーロの一撃はGKに阻まれました。2-2のハーフタイムに、左サイドを制圧していたラシュフォードを下げた理由は、ターンオーバーだったようです。現地メディアは、「奇妙な交代」「衝撃の理由」と報じています。

左サイドはガルナチョ、ホームチームの逆転ゴールは50分。最終ラインから縦2本でハイラインの裏を突かれ、リサンドロ・マルティネスをかわしたペペのグラウンダーがニアに転がりました。サム・オモロディオンに着いていたデ・リフトは、簡単に前に入られてしまい、右足のワンタッチがゴールの右上に突き刺さりました。

62分、クロスのクリアを足元に収めたマズラウィのシュートは、右に反応したジエゴ・コスタがセーブし、こぼれ球を叩いたガルナチョは枠に打てません。68分、ホイルンドとアマド・ディアロに代えてザークツィーとアントニー。戦術的な意図が見えない交代策は空回りするだろうという予想は、的中しました。

78分、リサンドロ・マルティネスをマグワイア。最終盤の放り込みの準備でしょうか。同時に行ったデ・リフトとジョニー・エヴァンスの交代は意図が見えません。81分、ガルナチョのクロスが中央に入ると、足で合わせようとしたブルーノのつま先がネウエン・ペレスの頭に入り、2枚めのイエロー。スパーズ戦では1発でピッチを去ったキャプテンは、2戦連続のレッドカードです。

83分、右から抜け出したデニス・ギュルがオナナと1対1。足で止めるビッグセーブがなければ、勝負は決していたでしょう。88分のガルナチョのミドルは、ジエゴ・コスタがセーブ。91分に、エリクセンのCKをヘッドで左隅に決めたのはマグワイアでした。マズラウィ、エリクセン、ジョニー・エヴァンスが殊勲のCBに駆け寄ったのは、逆転できると思っていなかったからでしょう。

0-0、3-3で2戦連続ドローのマンチェスター・ユナイテッドは、敗退ラインすれすれの21位。1ゴール1アシストでドリブル成功3回、デュエル4戦全勝のラシュフォードを代える理由は、やはり見当たりません。マズラウィ、デ・リフト、リサンドロ・マルティネスが振り回されて3失点。オナナの3つのビッグセーブがなければ、指揮官への風当たりはより激しくなっていたはずです。

週末のプレミアリーグはアストン・ヴィラ。レギュラーの負傷はルーク・ショーのみのチームは、惨敗となれば改善策が見えなくなります。改革を進めてきた経営ボードは、5戦連続勝利なしとなっても指揮官を信頼し続けるのか。あの交代策はターンオーバーではなく、ジョアン・マリオのクロスからの2失点で、「アイツの守備!」とパニックに陥ったように見えるのですが…。


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