イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

とにかくおもろい!ズラタン・イブラヒモヴィッチのプレミアリーグ発言録2016

最初に申し上げたいのは、ミシェル・プラティニとブライアン・ロブソンに惹かれてサッカーを見るようになった私の好きなタイプは、今のプレミアリーグでいえばエジルやエリクセンのような天才肌で繊細なプレーメイカーか、デブライネやパイェのようにピンポイントのパスを出せるテクニシャンなのであるということです。マンチェスター・ユナイテッドサポーターとして過去最高の選手を挙げれば、「エリック・ザ・キング」カントナ。この対極にいるのがフィジカルモンスターで、2002年の日韓ワールドカップの決勝を横浜で観戦したとき、2ゴールを決めたロナウドを素晴らしいとは思ったものの、心は躍りませんでした。ゆえに、ズラタン・イブラヒモヴィッチのマンチェスター・ユナイテッド入りの噂を聞いた瞬間は、「おお!」よりも「ん?」でした。エジルに好意を抱く人間が、「王のように来て、レジェンドとして去る」などといってパリを退団した俺様キャラにテンションが上がるわけがありません。ところが…。

完全に洗脳されました。ズラタン・イブラヒモヴィッチ、最高です!おもしろい!

入団して3週間もしないうちに、最初の症状「しびれる」がきました。私のプレミアリーグ流行語大賞2016は、これです。エリック・カントナが「マンチェスターのキングは1人しかいない」と、ズラタンを挑発したときの切り返しが最高でした。「カントナには感心するね。マンチェスターのキングになるつもりはないよ。俺はマンチェスターの神になる」。きました。プレミアリーグが始まる前から、いきなり、神宣言ですか!?いや、思い出せば、ズラタンは以前から神でした。1年半ほど前に「テレグラフ」が紹介していたズラタン名言集から、神の発言を引用しましょう。

レポーター「ワールドカップの欧州プレーオフを勝ち抜くのはどこ?」
ズラタン「神だけが知ってるよ」
レポーター「神に聞くのは難しそうね」
ズラタン「なぜ?あなたは今、その神を見つめているじゃないか」

…次にいきましょう。ここまでは、ズラタンのパブリックイメージそのものなのですが、やられたと思ったのは、モウリーニョ監督のこの言葉です。「彼(=イブラヒモヴィッチ)は、いつもまわりを楽しませようと思っている。キットマン(用具係)とも仲がよくて、『神の汗を拭うタオルをくれ』といったときは、その場は爆笑の嵐だった」。数々の発言は、マスコミ受けを狙っていたのだとばかり思っていたのですが、まさかボケるとは!?おもしろいです、ズラタン。ポグバが入団を発表したとき、インスタグラムで「俺のユニフォームがヤツを連れ戻した」とやって、ポグバに「この男は有名になりたいんだろう。俺と写真を撮ってね」と返されると、すかさず「俺がお前を有名にしてやってるんだよ」。このあたりから、稀代の神キャラは奥が深そうと興味津々だったのですが、期待に違わずやってくれます。

しかも神は、ちょっと目を離した隙に、別なキャラになっていたりします。10月には、「超ナポレオン」でした。

「アメリカでプレイすることは、大きな選択肢のひとつだ。自分がアメリカも征服するシーンが見えるよ。ヨーロッパでやってきたみたいにね。俺はナポレオンのように旅をしてきた。新しい国に足を踏み入れるたびに、その地を征服してきた。ナポレオンもできなかったことをするべきなんだろうね。大西洋を横断し、征服するんだ」

そして直近は、ワインです。最初は、プレミアリーグは難しいリーグだからしっかり準備してきたとマジメに語っていたのですが…。

「50歳までプレイできるね。赤ワインのように年を重ねるごとにうまくなる。みんな、ワインが好きだろ?俺がそのいい例だよ。年を重ねるごとにプレイがよくなる」

今まで、チャンピオンズリーグ以外で彼のプレイをしっかりチェックしたことがなかったのですが、マンチェスター・ユナイテッドに来てから毎週観るようになり、「若い頃の彼は、決してうまくはなかった」といわれていたことを思い出しました。ポストプレーは、ときどき雑です。オリヴィエ・ジルーのほうが明らかに上でしょう。トラップがアバウトなのは、フィジカルが強いがゆえに何とかなってきたからだと思われます。ただし、キックの破壊力とボールをミートする技術はワールドクラス。予測不能のズドン!とヘディングの強さでプレミアリーグ16戦11発、直近10試合10ゴールは並みの選手では残せない数字です。しかし…。

素晴らしい選手ではあるのですが、私の好みからはかけ離れていました。当初は、プレイを観ながらイライラしたこともあったのですが、何しろ凄いシュートを決めてマンチェスター・ユナイテッドを勝たせてくれるものですから、神キャラの痛快さに取り込まれつつ徐々に好きになってしまいました。今では、素晴らしいポストプレーを見ると「今日は調子が悪いのかな?」などと思ってしまいます。勝利にこだわるメンタリティが若い選手たちにいい影響を与えていると紹介されることがありますが、ポグバやルーク・ショーからすれば、「おもろいアニキ」でもあるのでしょう。

そんなズラタンですが、この言葉には感動しました。チームメイトの泥酔事件がメディアを賑わせていることに対して、ジョークを一切交えず語ったコメントです。

「ウェイン・ルーニーのようなキャリアを積んできたイングランド人選手がどれほどいるというのか。(メディアは)冷静になるべきだ。彼のような選手がこのような状況に置かれていることを、とても残念に思う」

いや、素晴らしい。これからも、驚愕のシュートと神キャラで、われわれを楽しませていただけるものと期待しております。

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“とにかくおもろい!ズラタン・イブラヒモヴィッチのプレミアリーグ発言録2016” への4件のフィードバック

  1. アイク より:

    俺様キャラのイブラが時折示す他者へのリスペクトには意外性があり、私もぐっと惹き込まれました。モウ監督について話す時の彼は、純粋な印象がしてとても好きです。

  2. ガナユ より:

    イブラは何処か愛嬌があるんですよねぇ。

  3. のこ より:

    プレミアでみてみたかった選手なので、神の言葉を含めて楽しませてもらってます。
    単に慕われてるだけではなく、若手のシュート練習に付き合ったりもしているそうですね。あの強烈なシュートは、是非ラッシュフォード辺りに伝授していただきたいです。

  4. makoto より:

    アイクさん>
    ピュアな人ですよね。嫌いな人に対してもまっすぐですが。

    ガナユさん>
    そうですね。「征服」、結構好きです。荒唐無稽な感じがいいですね。

    のこさん>
    ですね。若手にいい影響を与えてくれているようで、来ていただいてよかったなと思います。

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