2024.10.17 プレミアリーグ観戦記
プレミアリーグの負傷者による損失は2億6800万ポンド!元凶といわれる過密日程は改善されるのか?
テン・ハフの嘆きもロドリの指摘も、耳を傾ける必要があるようです。イギリスの世界的な保険仲介グループ「ハウデン」が、「Men’s European Football Injury Index(男子欧州サッカー負傷指数)」を発表。公式サイトのレポートを見ると、2023-2024シーズンの欧州5大リーグの負傷総数は4123件で、クラブに総額6億1500万ポンド(約1194億円)の損害が発生しています。
2022-23シーズンから4%の増加で、過去最多件数。リーグ別に見ると、最も多いのはブンデスリーガで、1255人は2年連続のレコードです。プレミアリーグは、2022-23シーズンの944人から915人に減少。しかし選手の負傷欠場による損失は、2億4200万ポンドから2億6800万ポンド(約520億円)と増加しており、全体の44%を占めています。
プレミアリーグのクラブ別件数は、1位がニューカッスルの76件で、2位はマンチェスター・ユナイテッドの75件。損失額は、1位のマン・ユナイテッドが3981万ポンド、2位のチェルシーは3022万ポンドです。2020-21シーズン以降、毎年平均以下はウルブスとクリスタルパレスのみ。ニューカッスル、マン・ユナイテッド、チェルシー、リヴァプールは4年連続で平均を上回っています。
アーセナルは過去4年間で1度も増加しておらず、46件はリーグの平均とイーブン。トッテナムは、4年前の54件から41件に減らしています。「1試合あたりの損失は14万5300ポンド(約2818万円)」「1分あたり3106ポンド(約60万3000円)が、何の価値も生まずに飛んでいく」というと、ダメージの大きさがより伝わるのではないでしょうか。
レポートが訴える最大の懸念は、U-21の負傷の激増です。プレミアリーグの21歳以下の選手は、1件あたりの欠場の平均日数が大幅に増えています。2022-23シーズンは26.5日、2023-24シーズンは43.9日。負傷者数も前年の34人から51人に急増し、負傷日数は901日から2240日に伸びています。これらの指標は、他の4リーグでも同じ傾向を示しています。
欧州リーグ機構と国際プロサッカー選手会(FIFPRO)は、過密日程を深刻な問題と捉えており、クラブワールドカップの参加を7チームから32チームに増やしたFIFAに対して、EUの競争法違反として訴訟を起こしています。開催まで8ヵ月となってもスポンサーも放映権も決まっておらず、クラブに支払われる賞金の財源も不明な大会は、何らかの改変がなされる可能性があります。
クラブワールドカップの規模やチャンピオンズリーグのレギュレーションが見直しとなれば、ワールドカップやネーションズリーグも槍玉に上がる機運が高まりそうです。しかしこの問題は、もう1歩踏み込んで考えるべきでしょう。過密日程の問題は「選手たちの健康を守れ」という正義が通りそうですが、クラブ経営の立場からは「選手たちの時給を上げろ」とも聞こえる話です。
FIFA、UEFA、各国リーグ、クラブがそれぞれの収益増加をめざしてぶつかる構図にメスを入れるとともに、選手の移籍金やサラリー、代理人のマージンの抑制も検討すべきでしょう。2022-23シーズンにトレブルを達成し、過去最高益を記録したマンチェスター・シティの人件費の比率は59%でした。10%~30%の業界もあるなかで、サステナブルな状態とはいえません。
本件のポイントのひとつはクラブのスタンスで、彼らには「商売のツールである選手を傷つけたくない」「何とかして収益を増やしたい」の両面があります。ネーションズリーグが莫大に儲かる(そんなことはありませんが)となれば、諸手を挙げて拡大OKとなりそうです。関係者が全員納得する着地はあるのか。裁判の結果次第ですが、うやむやのまま既得権OKで進む可能性も…?
2022-23シーズンから4%の増加で、過去最多件数。リーグ別に見ると、最も多いのはブンデスリーガで、1255人は2年連続のレコードです。プレミアリーグは、2022-23シーズンの944人から915人に減少。しかし選手の負傷欠場による損失は、2億4200万ポンドから2億6800万ポンド(約520億円)と増加しており、全体の44%を占めています。
プレミアリーグのクラブ別件数は、1位がニューカッスルの76件で、2位はマンチェスター・ユナイテッドの75件。損失額は、1位のマン・ユナイテッドが3981万ポンド、2位のチェルシーは3022万ポンドです。2020-21シーズン以降、毎年平均以下はウルブスとクリスタルパレスのみ。ニューカッスル、マン・ユナイテッド、チェルシー、リヴァプールは4年連続で平均を上回っています。
アーセナルは過去4年間で1度も増加しておらず、46件はリーグの平均とイーブン。トッテナムは、4年前の54件から41件に減らしています。「1試合あたりの損失は14万5300ポンド(約2818万円)」「1分あたり3106ポンド(約60万3000円)が、何の価値も生まずに飛んでいく」というと、ダメージの大きさがより伝わるのではないでしょうか。
レポートが訴える最大の懸念は、U-21の負傷の激増です。プレミアリーグの21歳以下の選手は、1件あたりの欠場の平均日数が大幅に増えています。2022-23シーズンは26.5日、2023-24シーズンは43.9日。負傷者数も前年の34人から51人に急増し、負傷日数は901日から2240日に伸びています。これらの指標は、他の4リーグでも同じ傾向を示しています。
欧州リーグ機構と国際プロサッカー選手会(FIFPRO)は、過密日程を深刻な問題と捉えており、クラブワールドカップの参加を7チームから32チームに増やしたFIFAに対して、EUの競争法違反として訴訟を起こしています。開催まで8ヵ月となってもスポンサーも放映権も決まっておらず、クラブに支払われる賞金の財源も不明な大会は、何らかの改変がなされる可能性があります。
クラブワールドカップの規模やチャンピオンズリーグのレギュレーションが見直しとなれば、ワールドカップやネーションズリーグも槍玉に上がる機運が高まりそうです。しかしこの問題は、もう1歩踏み込んで考えるべきでしょう。過密日程の問題は「選手たちの健康を守れ」という正義が通りそうですが、クラブ経営の立場からは「選手たちの時給を上げろ」とも聞こえる話です。
FIFA、UEFA、各国リーグ、クラブがそれぞれの収益増加をめざしてぶつかる構図にメスを入れるとともに、選手の移籍金やサラリー、代理人のマージンの抑制も検討すべきでしょう。2022-23シーズンにトレブルを達成し、過去最高益を記録したマンチェスター・シティの人件費の比率は59%でした。10%~30%の業界もあるなかで、サステナブルな状態とはいえません。
本件のポイントのひとつはクラブのスタンスで、彼らには「商売のツールである選手を傷つけたくない」「何とかして収益を増やしたい」の両面があります。ネーションズリーグが莫大に儲かる(そんなことはありませんが)となれば、諸手を挙げて拡大OKとなりそうです。関係者が全員納得する着地はあるのか。裁判の結果次第ですが、うやむやのまま既得権OKで進む可能性も…?
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