2024.10.25 アーセナルの話題
「10人では勝てない」といわないでほしい…アルテタが参考にすべき昨年のリヴァプールを振り返る。
デクラン・ライスがタッチしたとき、ボールは静止しておらず、無理やりFKを蹴ろうとしたフェルトマンは、カードがなければやり直しだったはずです。高くボールを蹴り上げたトロサールは、マイケル・オリヴァーの笛が聞こえていなかったのでしょう。エヴァニウソンと交錯して倒してしまったサリバは、右にまわり込んで奪おうとしていただけだったのかもしれません。
プレミアリーグの開幕から8戦でレッド3枚。それぞれ厳しいジャッジでしたが、デクラン・ライスとトロサールは既にイエローをもらっていました。「テレグラフ」のサム・ディーン記者は、「PGMOL(プロ審判協会)は、遅延行為の取り締まりを強化するという通達を繰り返していた。アーセナルの選手たちはメモを受け取らなかったか、注意深く耳を傾けていなかったようだ」と批判しています。
サリバの1発レッドも、当初はイエローが出される微妙なシーンでした。しかし、「疑問がある」という声はあっても、誤審といい切る記者や評論家はいないようです。いずれにしても、アーセナルはレッドカードの頻発をチーム全体の問題として捉え、撲滅しなければなりません。一連の事件のなかで気になるのは、指揮官の発言です。
「このレベルでは、10人でプレイし続けるわけにはいかない。フットボールの試合で勝利を収めることが、どれほど大変かはご存じの通りだ。65分もの間、10人で戦おうとすれば、それは不可能になる。われわれは、この問題を根絶しなければならない」(ミケル・アルテタ/ボーンマス戦の試合後会見にて)
ボスが「10人では勝てない」と繰り返せば、選手たちの意識は「負けない戦い方」にシフトしていきます。アーセナルほどのチームなら、「10人でいかにして勝つか」を考えるべきでしょう。彼らは1年前に、もっとひどい状況に陥っていた「お手本」を目撃しています。クロップのリヴァプールは、2023-24シーズンの開幕からの7試合で4枚を突き付けられました。
2節のボーンマス戦は、2-1の58分にマック・アリスターが危険なタックルを取られて1発レッド。独立規制委員会は、異議申し立てを認めて3試合の出場停止処分を取り消しています。ニューカッスル戦では、28分という早い時間にイサクを倒したファン・ダイクが決定機阻止と見做されました。レフェリーに暴言を吐いたキャプテンは、ヴィラ戦とウルヴス戦を欠場しています。
さらに7節のスパーズ戦では、26分にカーティス・ジョーンズに1発レッド、68分にジョッタが2枚めのイエロー。MFのファールは、スパイクの裏がボールに乗ってスリップしてイヴ・ビスマの脛に入ってしまった不可抗力で、ジョッタの最初のイエローは相手に触れていません。ルイス・ディアスのゴール取り消しという大誤審も重なる苦しいゲームでした。
当時のレッズを「お手本」と表現したのは、この3試合を2勝1敗で切り抜けたからです。特筆すべきは、3試合とも10人になってからゴールを決めていること。ボーンマス戦はジョッタのゴールで3-1にしており、「1-0の劣勢、10人、セント・ジェームズパーク」の三重苦を抱えたニューカッスル戦は、最終盤のダルウィン・ヌニェスの連発で1-2の逆転勝利に漕ぎ着けています。
ソン・フンミンに先制されたスパーズ戦は、後半の立ち上がりにガクポが同点ゴール。9人になってからはゴール前で粘り、決勝ゴールは追加タイム終了間際のマティプのオウンゴールでした。今季のアーセナルは、1-2でリードしていたマン・シティ戦の専守防衛は適切といえるでしょう。しかしブライトン戦とボーンマス戦は、勝てるチャンスは充分にありました。
アメックススタジアムでは、GKと1対1になったカイ・ハヴェルツと、サカのスライディングシュートのどちらかが決まっていれば逃げ切れたはずです。2-0で敗れたボーンマス戦も、失点の直前にマルティネッリがケパの脇を抜いていれば、結果は逆になっていたかもしれません。レッドカードの撲滅より、サカへの依存度が高い前線の得点力不足に目を向けるべきでしょう。
今季初の敗戦を喫した前節は、サリバ退場の後、右サイドのスターリングを下げてしまいました。あの状況では、スピードで勝負できるウインガーを残し、低調だったトロサールを諦めるという手もありました。サブの選手のレベルが上がり、以前よりターンオーバーが増えたチームは、サカの穴を埋めるジェズスとスターリングの活性化が喫緊の課題となっています。
前線を動かすカイセドの縦パス、ウインガーに勝負させるルイス・ダンクやファン・ダイクのフィード…サカの足元に短いパスを出すことに慣れたチームには、ジェズスのポジショニングやスターリングのスピードを活かすためのアイデアが必要なのではないでしょうか。2点のビハインドでも、10人の劣勢でも、主力不在でも、相手がレアル・マドリードでも勝つために。
プレミアリーグの開幕から8戦でレッド3枚。それぞれ厳しいジャッジでしたが、デクラン・ライスとトロサールは既にイエローをもらっていました。「テレグラフ」のサム・ディーン記者は、「PGMOL(プロ審判協会)は、遅延行為の取り締まりを強化するという通達を繰り返していた。アーセナルの選手たちはメモを受け取らなかったか、注意深く耳を傾けていなかったようだ」と批判しています。
サリバの1発レッドも、当初はイエローが出される微妙なシーンでした。しかし、「疑問がある」という声はあっても、誤審といい切る記者や評論家はいないようです。いずれにしても、アーセナルはレッドカードの頻発をチーム全体の問題として捉え、撲滅しなければなりません。一連の事件のなかで気になるのは、指揮官の発言です。
「このレベルでは、10人でプレイし続けるわけにはいかない。フットボールの試合で勝利を収めることが、どれほど大変かはご存じの通りだ。65分もの間、10人で戦おうとすれば、それは不可能になる。われわれは、この問題を根絶しなければならない」(ミケル・アルテタ/ボーンマス戦の試合後会見にて)
ボスが「10人では勝てない」と繰り返せば、選手たちの意識は「負けない戦い方」にシフトしていきます。アーセナルほどのチームなら、「10人でいかにして勝つか」を考えるべきでしょう。彼らは1年前に、もっとひどい状況に陥っていた「お手本」を目撃しています。クロップのリヴァプールは、2023-24シーズンの開幕からの7試合で4枚を突き付けられました。
2節のボーンマス戦は、2-1の58分にマック・アリスターが危険なタックルを取られて1発レッド。独立規制委員会は、異議申し立てを認めて3試合の出場停止処分を取り消しています。ニューカッスル戦では、28分という早い時間にイサクを倒したファン・ダイクが決定機阻止と見做されました。レフェリーに暴言を吐いたキャプテンは、ヴィラ戦とウルヴス戦を欠場しています。
さらに7節のスパーズ戦では、26分にカーティス・ジョーンズに1発レッド、68分にジョッタが2枚めのイエロー。MFのファールは、スパイクの裏がボールに乗ってスリップしてイヴ・ビスマの脛に入ってしまった不可抗力で、ジョッタの最初のイエローは相手に触れていません。ルイス・ディアスのゴール取り消しという大誤審も重なる苦しいゲームでした。
当時のレッズを「お手本」と表現したのは、この3試合を2勝1敗で切り抜けたからです。特筆すべきは、3試合とも10人になってからゴールを決めていること。ボーンマス戦はジョッタのゴールで3-1にしており、「1-0の劣勢、10人、セント・ジェームズパーク」の三重苦を抱えたニューカッスル戦は、最終盤のダルウィン・ヌニェスの連発で1-2の逆転勝利に漕ぎ着けています。
ソン・フンミンに先制されたスパーズ戦は、後半の立ち上がりにガクポが同点ゴール。9人になってからはゴール前で粘り、決勝ゴールは追加タイム終了間際のマティプのオウンゴールでした。今季のアーセナルは、1-2でリードしていたマン・シティ戦の専守防衛は適切といえるでしょう。しかしブライトン戦とボーンマス戦は、勝てるチャンスは充分にありました。
アメックススタジアムでは、GKと1対1になったカイ・ハヴェルツと、サカのスライディングシュートのどちらかが決まっていれば逃げ切れたはずです。2-0で敗れたボーンマス戦も、失点の直前にマルティネッリがケパの脇を抜いていれば、結果は逆になっていたかもしれません。レッドカードの撲滅より、サカへの依存度が高い前線の得点力不足に目を向けるべきでしょう。
今季初の敗戦を喫した前節は、サリバ退場の後、右サイドのスターリングを下げてしまいました。あの状況では、スピードで勝負できるウインガーを残し、低調だったトロサールを諦めるという手もありました。サブの選手のレベルが上がり、以前よりターンオーバーが増えたチームは、サカの穴を埋めるジェズスとスターリングの活性化が喫緊の課題となっています。
前線を動かすカイセドの縦パス、ウインガーに勝負させるルイス・ダンクやファン・ダイクのフィード…サカの足元に短いパスを出すことに慣れたチームには、ジェズスのポジショニングやスターリングのスピードを活かすためのアイデアが必要なのではないでしょうか。2点のビハインドでも、10人の劣勢でも、主力不在でも、相手がレアル・マドリードでも勝つために。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
コメントを残す