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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Chelsea×Stoke】2点強奪のストークが暴いた「プレミアリーグ13連勝のチェルシーの弱点」

プレミアリーグの最多連勝記録は、2001-02シーズンの後半から翌シーズンの開幕戦にまたいでアーセナルが積み上げた14。1シーズンに限れば13ですが、ストークを4-2で下したチェルシーが14年ぶりに偉大な記録に並びました。6節のアーセナル戦に3-0で敗れた後、2失点だったチェルシーは、シャキリ、ジョー・アレン、アフェライ、ディウフ、クラウチと攻撃的なタレントを揃えたストークに苦戦。ウィリアンを右のウイングに入れ、セスクをスタメンに起用したコンテ監督のチームは、立ち上がりからアウェイチームのテンポのいいパスワークに自陣に下げられ、イニシアティブを取れません。

ホームチームがようやく決定機を創ったのは18分でした。右にいたセスクがファーサイドのジエゴ・コスタにクロスを入れると、胸でトラップしてマークをかわしたエースが渾身のボレー。バトランドの留守を預かるリー・グラントが素晴らしい反応で左に弾くと、マルティンス・インディに当たったボールはGKの懐に収まりました。21分のCKは、ケーヒルのヘッドをリー・グラントが左に飛んでセーブ。26分にシャキリのCKを頭で合わせたチャーリー・アダムは、わずかに左に外れた弾道を見て頭を抱えています。チェルシーがボールを持つとMFまでボックスの手前に下がり、サイドの選手を厳しくチェックするストークは、プレミアリーグ首位チームに簡単にシュートを許しません。

アザールとウィリアンが中に入り過ぎるのも、チェルシーの攻撃がうまくいかない理由のひとつでしょう。縦への突破を図るヴィクター・モーゼスとマルコス・アロンソに、ピーテルスとグレン・ジョンソンはうまく対応しています。33分、リー・グラントが2度めのビッグセーブでピンチをしのぎました。ダヴィド・ルイスが最後方からロングフィードをラインの裏に入れると。ショークロスに競り勝ってシュート態勢に入ったジエゴ・コスタをGKがブロック。こぼれ球を叩いたアザールのボレーは決まりかと思われましたが、至近距離からのボールをよく見ていたリー・グラントが右手を出してCKに逃れます。しかし大当たりの守護神は、このCKに飛び込んだケーヒルのヘッドまでは止められませんでした。12連勝中に2点しか奪われていないチェルシーに先制されたストークは、リスクをとって前に出なければなりません。

41分、セスクのFKに対してシャキリとジョー・アレンという低い壁は不安でしたが、ファーのダヴィド・ルイスに合わせたボールにディウフが体を張って対応しました。前半は1-0で終わりましたが、ストークの気迫のこもった戦いぶりが印象に残る45分でした。セカンドハーフが始まると、1分もしないうちにマーク・ヒューズ監督のチームが同点に追いつきます。左からのFK。チャーリー・アダムが長いボールを逆サイドにいたクラウチに入れると、ヘディングの折り返しに左足で合わせたのはマルティンス・インディ。この人がプレミアリーグになじんでから、ストークは不振から立ち直りました。すかさず攻勢に転じたチェルシー。48分、右から強引に放ったウィリアンのシュートは枠の外。52分のCKからヴィクター・モーゼスがドリブルを止められると、フォローしたウィリアンの一撃は惜しくも右に外れます。

勝ち越しを狙うホームチームが2点めを獲ったのは、57分でした。ボックス右でピーテルスを翻弄したヴィクター・モーゼスがグラウンダーを入れると、アザールのインサイドの落としはウィリアンの足元へ。迷わず左足を振り抜いた鋭いボレーが、DFの間を抜けて守護神の手の先を抜けていきました。マーク・ヒューズ監督はシャキリをボージャン・クルキッチ、アフェライをインビュラにチェンジ。粘るストークは64分、3-4-3の首位チームから誰も奪えなかった2点めをもぎ取ります。チャーリー・アダムのロングフィードをクラウチが何とかキープし、後ろにいたボージャンに渡すと、セスクやカンテがドリブルをカットできず、マルコス・アロンソは外にいたディウフを空けてしまいます。ディウフが入れたグラウンダーを、アスピリクエタの前でタッチしたのはクラウチ。35歳のベテランストライカーは、今季プレミアリーグ初ゴールです。

同点ゴールの立役者となったボージャンは、1分もしないうちに敗因となってしまいました。自陣での持ちすぎを咎めたのはセスク。バイタルエリアでインターセプトされ、スルーパスまで通されてはひとたまりもありません。右から文句なしのシュートを決めたのは、2点めと同じくウィリアン。3-2となり、ストークは疲労の色が目立ち始めます。72分、セスクが下がってマティッチ登場。クラウチのミスパスを拾ったウィリアンが仕掛けた76分のカウンターは、サイドチェンジをもらったアザールの落としは完璧でしたが、ジエゴ・コスタがシュートを打ち上げてしまいます。

しかし85分、とどめはエースのプレミアリーグ14ゴールめでした。左からのスローインをクリアしようとしたチャーリー・アダムがヘディングを後ろに逸らしてしまい、ジエゴ・コスタに着いていたマルティンス・インディはあっけなく振り向かせてしまいました。強引にCBをかわしたプレミアリーグ得点王が角度のないところから左足で突き刺し、4-2。健闘したストークは、チェルシーに勝つには自陣でのミスが多すぎましたが、「3バックはハイボールへの対応に難がある」ことを暴いたのは彼らの功績でしょう。ハリー・ケインがいる次節のトッテナムと、イスラム・スリマニが前線に張る21節のレスターは、トップにロングフィードを当てて、エリクセン、デル・アリ、マフレズが落としを狙うといった攻め方を徹底するのもおもしろいと思います。

とはいえ、最終ラインが3トップを止められなければ、ストークの辿った足跡をなぞるだけですが…。13戦全勝の3-4-3に「こうすれば勝てる」などとは恐れ多くていえません。

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“【Chelsea×Stoke】2点強奪のストークが暴いた「プレミアリーグ13連勝のチェルシーの弱点」” への2件のフィードバック

  1. 雨好 より:

    更新お疲れ様です。
    明けましておめでとう御座います。
    本年もよろしくお願いします。

    しかし、なんとか勝てた試合でした。クラウチが凄く良かった事は確かですが、それにしてもロングボールに対しての対応が悪過ぎました。脇を固めるメンバーも嫌らしかったです。
    しかし、ブロックが出来る前に素早く攻められるのはどのチームも難しいとは思うので誰が対応するかをしっかり決めて欲しいですね。

  2. makoto より:

    あけましておめでとうございます。今年も素晴らしい記事を楽しみにしています。

    セスクがマティッチだったら最初の失点を防げたのか、アロンソサイドを崩され引き出されなければマークがずれなかったのかわかりませんが、3バックの宿命ともいえる弱点を突かれたと思います。次節、好調のスパーズはどう攻めてきますかね。コンテの修正に期待してます。
    コスタのダメ押しゴールにはジルーのスコーピオン以上にゾワッとさせられました。

    —–
    雨好さん>
    遅ればせながら、おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
    2点めのシーンは小さなミスが重なりましたね。ハイボール対策でいえば、CBズマという選択肢もあると思います。

    noriさん>
    おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
    ジエゴ・コスタ、強烈でしたね。今季ここまでは、MVP候補の最右翼だと思います。

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