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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

スペイン人監督は優勝争い…イギリス人の監督が軒並み残留争いに巻き込まれている理由。

プレミアリーグの順位テーブルを眺めていると、スペイン人監督とイギリス人監督の鮮やかなコントラストが目を引きます。昨シーズンは、マン・シティのペップ、アーセナルのアルテタ、アストン・ヴィラのエメリと3人がTOP4フィニッシュ。2024-25シーズンも、彼らはCLの出場権を争っており、ボーンマスのイラオラが8位に食い込んでいます。

ボトム10にいるのは、モイーズの後を継いで試行錯誤中のロペテギのみ。対して英国人監督でTOP10は、ニューカッスルのエディ・ハウだけです。15位以下を見ると、6チーム中5チームがイギリス人。レスターのスティーヴ・クーパーはウェールズで、サウサンプトンのラッセル・マーティンはスコットランド、イプスウィッチのキーラン・マッケンナは北アイルランド出身です。

イングランド人は、エヴァートンのショーン・ダイクとウルヴスのガリー・オニール。セインツの監督が無名だったからか、英国4協会がすべて揃っていることに気づくのが遅くなりました。残留争いに巻き込まれている5人は、全員ダメな指揮官というわけではありません。破産寸前のクラブを2年連続で残留に導いたショーン・ダイクは、経営ボードの絶大な信頼を得ています。

レスターで1年めのクーパーは、ノッティンガム・フォレストを降格させなかった手腕を評価されるべきでしょう。セインツのラッセル・マーティンはまだ38歳で、リーグ5位のポゼッション55.1%と自らのコンセプトを貫いています。昨季チャンピオンシップの22戦連続無敗は、凡庸な監督が残せる数字ではありません。キャリア6年めの若き指揮官にとって、今季のプレミアリーグはチャレンジです。

イプスウィッチを2年連続で昇格させたマッケンナも38歳で、トップチームの監督歴は3年です。厳しいプレスとパスワークをベースとした戦術は、プレミアリーグの上位クラブからも注目を集め、オフシーズンにはチェルシーとブライトンのターゲットと報じられました。ウルヴスのオニールは41歳で、「2022-23シーズンにボーンマスを残留させた」という実績しかありません。

イギリス人というと、かつて「残留請負人」といわれていたような手練れの監督をイメージするかもしれませんが、53歳のショーン・ダイク以外は全員30代~40代で、指導者として伸びしろがある人材です。軒並み苦戦しているのは、彼らが率いているのが「財政危機で思うように戦力を揃えられないクラブ」「PSR遵守で高額の選手を獲らないマジメなクラブ」のいずれかだからでしょう。

エヴァートンはPSR違反を問われ、昨季プレミアリーグで2度に渡って勝ち点剥奪。9月には、ローマのオーナーであるフリードキングループと買収合意と報じられています。同じく勝ち点剥奪とされたレスターは、チャンピオンシップに所属していた期間は処分の対象にならないはずと異議申し立てを行い、何とか回避。両者ともに、夏の補強は主力の売却とセットでした。

ウルヴスも財政悪化が囁かれており、マックス・キルマンとペドロ・ネトを放出。獲得したのは、2500万ポンド以下のベテランや無名の若手ばかりでした。一方、マジメの代表はイプスウィッチで、新戦力の大半は降格したバーンリー、ルートンと下部リーグの選手。2000万ポンド以上はリアム・デラップのみで、即戦力のカルヴァン・ウィリップスとカユステはローン移籍です。

2022-23シーズンの降格から1年で復帰したサウサンプトンも、ラムズデールの2500万ポンドとテイラー・ハーウッド=ベリスの2000万ポンド以外は、格安案件のみとなっています。昨シーズンは、昇格組のバーンリー、シェフィールド・ユナイテッド、ルートンが全員逆戻りとなりましたが、降格ゾーンに沈むイプスウィッチとセインツは同じ運命を辿ってしまうかもしれません。

PSRの導入によって、売上が少ない小規模クラブは補強の枠が限定されており、2年で総勢35人を獲得したノッティンガム・フォレストのような破天荒なクラブが出てこなくなっています。そんななかで、世代交代が進んで若返ったイギリス人監督が残留をめざして戦っているのが現在のプレミアリーグの構図です。

彼らのなかから、トロフィーを掲げる名将は出現するのでしょうか。プレミアリーグ創設以来、リーグ優勝を果たした英国人監督は、サー・アレックス・ファーガソンとケニー・ダルグリッシュのみ。過去20年のFAカップは、ハリー・レドナップとブレンダン・ロジャースだけです。最速チャレンジャーはエディ・ハウか、あるいはキーラン・マッケンナか…!


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