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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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渦中の契約延長決定、早期の発表…ペップ語録から「マン・シティに残ると決断した理由」を探る。

「契約を延長したから、素晴らしいクラブだといっているわけではない。6ヵ月前、1年前にもいっている。降格となったらどうするのか?私は、ここにいる。カンファレンスリーグに所属することになっても、どんどん上がっていけばいい。経営ボードとの契約交渉は2時間だった。人生を賭けた決断は、そこで感じたことに基づいている」

ペップ・グアルディオラがサインしたのは、2027年までの2年契約。115件の財務規則違反を問われた「世紀の裁判」が進むなかでのアナウンスに、強い意志が感じられます。プレミアリーグのライバルたちは、もうしばらく息苦しい日々を過ごすことになりそうです。彼さえいなければ、ユルゲン・クロップとミケル・アルテタは、少なく見積もっても2人合わせて3回はトロフィーを手にしていたはずです。

今季のマンチェスター・シティは、優勝争いの本命であるとともに、降格予想でも一番人気という奇妙な日々を過ごしています。公聴会が話題になっている最中に発表したのは、雑音を封じてピッチに集中したかったからでしょう。首位を独走していれば、あるいはリーグを追放される可能性があるといった報道がなければ、自らの去就について急いで伝える理由はありません。

「何度もいってきたけど、私は監督が望むものをすべて持っている。そのことにとても感謝している。これまで獲得してきたトロフィーをさらに加えられればと思う」「今さら去るわけにはいかないと感じた。4連敗したからかもしれない。われわれには、この状況を変えようと奮闘する価値がある。傲慢ないい方かもしれないが、これは真実だ」

早期に未来を明らかにした理由は推測できるのですが、「そもそもなぜ、彼は降格するかもしれないクラブに留まると決めたのか」という根本的な疑問は残されたままです。この問いについて、「アスレティック」のロリー・スミス記者は、「世界のクラブの大半は、彼のサラリーを支払う余裕はない。支払えたとしても、彼が要求する選手とは契約できない。どこにも行き場などなかったはず」と喝破しています。

「グアルディオラが直面した選択は、見た目ほど単純なものではなかった。彼の決断は、シティを去って別の職に就くかどうかではなく、クラブサッカーから完全に身を引くかどうかだったのだろう。代表チームの監督を引き受けるのか、引退する覚悟があるのか。彼は明確に、答えはすべてノーとした。そして唯一の納得できる場所に、2年留まると決めたのだ」

2年前、マン・シティの公式サイトで「なぜこれほど強いのか」と聞かれた彼は、「秘密を教えよう」と気をもたせ、こんなことをいっています。「一番大事なのは選手の質だ。いろいろ考えてみたけど、結局は選手。われわれが成功したのは、トップクラスの選手がいたからだ」。いくばくかの謙遜と、場を盛り上げようとするサービスマインドとともに、必要なタレントを手に入れられないクラブでは成功できないという本音も混じっていたはずです。

財政危機のバルセロナは、彼がいた頃とは違うクラブ。レアル・マドリードはありえません。バイエルンは過去の思い出。資金力がないクラブばかりのイタリアについては、「監督としてではなく、旅行で訪ねたい」といっています。彼にとってパリは、「マン・シティでの成果をラクに再現できる退屈な場」なのではないでしょうか。

トーマス・トゥヘルのイングランド代表監督就任は、ペップの意思決定とセットだったのかもしれません。来年、契約が切れる名将には当然声がかかったはずです。カナダ・アメリカ・メキシコの共催となる2026年のワールドカップ終了直後ではなく、2027年までの契約としたのは、少なくとも今は代表の監督をやるつもりはないという決意の表れか…。

「他にどこに行くというのか?」という「アスレティック」の記者の表現は、いささかネガティブですが、ペップにとってマン・シティは最高の出会いであり、プレミアリーグは離れがたいステージなのでしょう。下部リーグに降格となって、思うように選手を獲得できなくなっても、このクラブを立て直すという仕事なら情熱を傾けられるという強い思いがあるのかもしれません。

「前回の契約の際に、これが最後だといった。いつもそう思っている。そうでなければ、6年延長しているはずだ。この先がどうなるかわからないといったのは、本音だった。子どもたちと離れていたり、疲れていたりするときは、続けられるのだろうかと疑っている」

「最大の目的は、数字や何者かになることではなく、ハッピーでいられること。朝起きて、仕事するために出かけて、好きだと思える。それだけだ。数字はここにある。これまでの10年は、何かが起こった結果でしかない。時には、自分自身のなかに何かを見つける必要がある。それが、決断の理由になるのだと思う。私たちはたった2時間で、そこに辿り着いた」


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