イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

ウーデゴーアが戻ってきたのに…ベン・ホワイトが長期離脱のアーセナルは右サイドを活性化できるのか?

ベン・ホワイトが数ヵ月のリタイア。膝を痛めていたフルバックは、インターナショナルブレイクに手術に踏み切り、苦しいリハビリに突入します。ブカヨ・サカ&ウーデゴーアとの連携によって、右サイドのアタックにバリエーションをもたらしていた4番の不在は、アーセナルにとって想像以上に大きなダメージになるかもしれません。

昨季は7勝3分1敗、現在は5勝4分2敗。11節終了時点ではいずれも4位ですが、首位リヴァプールに9ポイント差の今季は、より苦しい状況に陥っています。最大の理由は、ウーデゴーアのリタイア。2023-24シーズンのアーセナルのxG(ゴール期待値)は1試合あたり2.03で、リヴァプールとマン・シティに次ぐ3位だったのですが、1.57まで落とした今は8位に沈んでいます。

攻撃力ダウンの理由は、稀代のプレーメイカーからの決定的なパスを失ったという単純な話で説明し切れるものではありません。彼の不在の影響は、逆サイドにも波及しています。鋭いカットインとラインの裏に転がす繊細なスルーパスで、サカへのマークを分散させる存在を欠いたチームは、前線のカイ・ハヴェルツやトロサールが右に流れて加勢するようになっていました。

ストライカーが右に寄ると、左サイドで数的優位を築くシーンも減り、ミケル・メリノやデクラン・ライスはセーフティーなプレイが増えてしまいます。マルティネッリとインサイドMF、SBが絡むアタックは足元へのパスの比率が高まり、ボックス脇を崩してグラウンダーで仕留める形が激減。今季のサカの3ゴールは、カウンターとクイックリスタートのみです。

厳しい戦いが続いていたガナーズに、ウーデゴーアが復帰したのはチェルシーとのロンドンダービー。左足の素晴らしいクロスで、マルティネッリの先制ゴールをお膳立てした8番を見たグーナーは、ようやく巻き返しが始まるとテンションが上がったのではないでしょうか。そんな矢先に、ベン・ホワイトがアウト。アーセナルの右サイドは、強力な武器を失ってしまいそうです。

サカが囲まれてアタックが停滞したとき、ウーデゴーアのパスワークとセットで重要だったのが、絶妙なタイミングで発動されるベン・ホワイトのオーバーラップでした。サリバ、ガブリエウとともにビルドアップのベースとなっていた右SBは、インサイドに絞って中盤をサポートするか外に出るかのジャッジが的確で、右からのクロスは重要な得点源となっていました。

彼がいない間は、トーマスとティンバーが起用されるはずですが、それぞれ懸念があります。アンカーのフォローが得意なトーマスに、縦の突破を期待するのは難しそうで、ティンバーは連携のクオリティを高めるための時間が必要でしょう。冨安健洋が戻ってくれば、右サイドの活性化にも貢献してくれそうですが、未だ復帰の目処は立っていないようです。

今季のアーセナルは、完成度が高い右サイドのトリオで戦えないまま、シーズンを終えることになる可能性があります。ティンバーに期待しつつ、逆サイドでカラフィオーリとミケル・メリノの攻め上がりを促し、サカの個人力とカイ・ハヴェルツの高さへの依存度を下げる必要があります。アルテタ監督は、現有戦力を最大限に活かすアナザープランを構築できるでしょうか。

12節のホームゲームは、やっかいなノッティンガム・フォレスト。今季プレミアリーグで10失点はリヴァプールの次に少なく、ハドソン=オドイとエランガを下げて、サカとマルティネッリを止めようとするでしょう。負傷者続出のチームは、ファインゴール連発で勝ち切り、自信を取り戻すことができるでしょうか。まずは右サイドに注目です。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す