2024.12.07 アーセナルの話題
ジョヴァー戦術が話題になりがちなアーセナルのセットピースで、見落としてはいけない決定要因とは?
「強くならないと。監督はピッチサイドで状況を見守りながら、『ウチのゴールキーパーはどうしたんだ?』と思っていただろう。そこは改善しなければならない。これはジョークだけど、アーセナルは新たなストーク・シティだ。セットピースに頼って勝利を手にしている。今日もそうだったね」
かつてマンチェスター・ユナイテッドでプレイしていたディミタール・ベルバトフは、10年前にアーセン・ヴェンゲルがトニー・ピューリスのロングスロー戦術を嫌がっていたのを覚えていたのでしょう。「アマゾンプライム」での解説は物議を醸しており、トロイ・ディーニ―は「いい加減な比喩」「古巣を守るための言い訳」と非難しています。
ワトフォードの元キャプテンが気色ばんでいるのは、アーセナルの戦い方をリスペクトしているからのようです。気持ちはわかりますが、ここは穏便に「彼はウーデゴーアやサカのプレイを見てなかったのね」と笑ってスルーしていただければと思います。2-0で決着した一戦のCKは13対0で、われわれにはゴール前に放り込むチャンスすらなかったのです。
シュート数14対5、ビッグチャンスは5対0の完敗。彼らはストークではなく、アーセナルです。静かに耐えているわれわれになり代わって、捨て台詞を残してくれたベルバトフにこっそり感謝しつつ、「アーセナルはストーク」という表現は、ほめ言葉にもなりえると思ったりします。彼らがゴール前でGKやDFを押さえつけて決められる大前提は、キックの質の高さです。
言い換えるとこうなります。「ブカヨ・サカとデクラン・ライスのプレースキックは、ロリー・デラップの高速ロングスローに匹敵する精度である」。人間の体は、足よりも手のほうが器用で、キックの正確性はスローに劣るのが常識です。しかしミッドウイークのアーセナルが繰り出した13本のうち、12本は長身の選手たちとトーマス、ティンバーが勝負できるボールでした。
「今夜はとてもいいプレイができた。CKを蹴るたびに、いいボールになるだろうと思っていた。頭の中では、同じ場所にボールを入れることだけを考えていた。繰り返しやってたら、最終的にゴールを決められるようになる。今年は、年間を通じてゴールとアシストの数が過去最高だったので、とても満足している」
「長期間の開催だったユーロの影響で、シーズンの序盤はスロースタートだったけど、ここ数週間は調子が上がり、ベストの状態に戻りつつあると思う。今夜は、いつもと違うエネルギーを感じていた。チームが勝つために、何でもしたかった。後半は、3ポイントをゲットするためにあらゆることをやりきった。とても興奮している」(デクラン・ライス)
2024-25シーズンの記録を見ると、左からのキックを担当する41番のボールは、96%がインスイングでニアが24%、ゴール前が41%。ティンバーの先制ゴールのようにニアに合うか、直接ゴールに飛び込むかのような危険なコースばかりです。対して右からのサカは、ファーに落ちてくる正確なキックが34%で、26%のニアを上回っています。
2023-24シーズンの開幕以降、セットピースからの25ゴールはエヴァートンより2つ多いリーグTOP。CKで勝ち越した13試合は、12勝1分です。幾何学と時間軸を掛け合わせたニコラス・ジョヴァーの戦術が話題になりがちですが、キッカーも相当トレーニングを積んでいるはず。マンチェスター・ユナイテッド戦は、ロングスローにも劣らない2人のキックを称えるべき一戦でした。
アーセナルのCKが注目されるようになってから、「他のクラブもマネすればいいじゃん」という声が聞かれるようになりましたが、ジョヴァー戦術、クオリティの高いボール、長身かつ屈強な選手という3つの要素を揃えるのは難易度が高いのだと思います。2021年のジョヴァー入団からのCKをチェックしてみると、アーセナルのインスイング610本は、ぶっちぎりのTOPです。
2位はヴィラの424本、3位はマン・シティの402本。緻密な設計図と精緻なキックの効果を高めるべく、サリバ、ガブリエウ、カイ・ハヴェルツ、ミケル・メリノの4枚で強力ヘッダーシステムを構築しています。13本のCKから6本のシュートと2回のビッグチャンスを生み出した水曜日のゲームは、もうひとつ画期的なトピックスがあります。
2020年に入団したガブリエウは、今季を含む5シーズンでCBとして最多のリーグ戦17ゴールですが、彼が不在のプレミアリーグでCKから決めたのは初めてだそうです。というわけで、繰り返します。アーセナルはストークではありません。キッカー、ヘッダー、戦術だけでも決められるのに、ピューリスのチームのようにゴリゴリ体をぶつけてくる「スーパーストーク」です!
かつてマンチェスター・ユナイテッドでプレイしていたディミタール・ベルバトフは、10年前にアーセン・ヴェンゲルがトニー・ピューリスのロングスロー戦術を嫌がっていたのを覚えていたのでしょう。「アマゾンプライム」での解説は物議を醸しており、トロイ・ディーニ―は「いい加減な比喩」「古巣を守るための言い訳」と非難しています。
ワトフォードの元キャプテンが気色ばんでいるのは、アーセナルの戦い方をリスペクトしているからのようです。気持ちはわかりますが、ここは穏便に「彼はウーデゴーアやサカのプレイを見てなかったのね」と笑ってスルーしていただければと思います。2-0で決着した一戦のCKは13対0で、われわれにはゴール前に放り込むチャンスすらなかったのです。
シュート数14対5、ビッグチャンスは5対0の完敗。彼らはストークではなく、アーセナルです。静かに耐えているわれわれになり代わって、捨て台詞を残してくれたベルバトフにこっそり感謝しつつ、「アーセナルはストーク」という表現は、ほめ言葉にもなりえると思ったりします。彼らがゴール前でGKやDFを押さえつけて決められる大前提は、キックの質の高さです。
言い換えるとこうなります。「ブカヨ・サカとデクラン・ライスのプレースキックは、ロリー・デラップの高速ロングスローに匹敵する精度である」。人間の体は、足よりも手のほうが器用で、キックの正確性はスローに劣るのが常識です。しかしミッドウイークのアーセナルが繰り出した13本のうち、12本は長身の選手たちとトーマス、ティンバーが勝負できるボールでした。
「今夜はとてもいいプレイができた。CKを蹴るたびに、いいボールになるだろうと思っていた。頭の中では、同じ場所にボールを入れることだけを考えていた。繰り返しやってたら、最終的にゴールを決められるようになる。今年は、年間を通じてゴールとアシストの数が過去最高だったので、とても満足している」
「長期間の開催だったユーロの影響で、シーズンの序盤はスロースタートだったけど、ここ数週間は調子が上がり、ベストの状態に戻りつつあると思う。今夜は、いつもと違うエネルギーを感じていた。チームが勝つために、何でもしたかった。後半は、3ポイントをゲットするためにあらゆることをやりきった。とても興奮している」(デクラン・ライス)
2024-25シーズンの記録を見ると、左からのキックを担当する41番のボールは、96%がインスイングでニアが24%、ゴール前が41%。ティンバーの先制ゴールのようにニアに合うか、直接ゴールに飛び込むかのような危険なコースばかりです。対して右からのサカは、ファーに落ちてくる正確なキックが34%で、26%のニアを上回っています。
2023-24シーズンの開幕以降、セットピースからの25ゴールはエヴァートンより2つ多いリーグTOP。CKで勝ち越した13試合は、12勝1分です。幾何学と時間軸を掛け合わせたニコラス・ジョヴァーの戦術が話題になりがちですが、キッカーも相当トレーニングを積んでいるはず。マンチェスター・ユナイテッド戦は、ロングスローにも劣らない2人のキックを称えるべき一戦でした。
アーセナルのCKが注目されるようになってから、「他のクラブもマネすればいいじゃん」という声が聞かれるようになりましたが、ジョヴァー戦術、クオリティの高いボール、長身かつ屈強な選手という3つの要素を揃えるのは難易度が高いのだと思います。2021年のジョヴァー入団からのCKをチェックしてみると、アーセナルのインスイング610本は、ぶっちぎりのTOPです。
2位はヴィラの424本、3位はマン・シティの402本。緻密な設計図と精緻なキックの効果を高めるべく、サリバ、ガブリエウ、カイ・ハヴェルツ、ミケル・メリノの4枚で強力ヘッダーシステムを構築しています。13本のCKから6本のシュートと2回のビッグチャンスを生み出した水曜日のゲームは、もうひとつ画期的なトピックスがあります。
2020年に入団したガブリエウは、今季を含む5シーズンでCBとして最多のリーグ戦17ゴールですが、彼が不在のプレミアリーグでCKから決めたのは初めてだそうです。というわけで、繰り返します。アーセナルはストークではありません。キッカー、ヘッダー、戦術だけでも決められるのに、ピューリスのチームのようにゴリゴリ体をぶつけてくる「スーパーストーク」です!
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