偏愛的プレミアリーグ見聞録

「状況はよくない。彼は数週間、離脱することになるだろう。今シーズンは、既に多くの困難を乗り越えてきている。新たな試練を克服する方法を考えるのは、私たち全員にとって、とてもいいエクササイズになるだろう」。月曜日のプレス・カンファレンスで、ブカヨ・サカの状態について聞かれたミケル・アルテタ監督は、絶対的エースをしばらく失うと明言しました。

「many weeks」…数週間は、あくまでも現状の見立てであり、春になるまで戻ってこない可能性もあります。今季の公式戦でサカを欠いた2試合は、シャフタール・ドネツクに1-0の辛勝、ボーンマス戦は2-0の敗戦。オプションのプランがうまくはまらなければ、得点力不足によるポイントのロストが増えそうです。アルテタ監督は、どんな策を講じるのでしょうか。

最初に思い浮かぶのは、ボーンマス戦で代役に指名されたスターリングですが、サカと歩調を合わせるように膝の負傷で数週間のリタイアとなっています。千載一遇のチャンスを逃した不運なアタッカーは、シーズンが終わればチェルシーに戻ることになりそうな雲行きです。そうなると、マルティネッリか、トロサールか、ジェズスか。ヌワネリ抜擢という大胆な策もあります。

このなかで、あっさり外れそうなのは、ガブリエウ・ジェズスです。クリスタル・パレスとの連戦で5ゴールと確変に突入したストライカーは、自身が望むポジションでプレイできるでしょう。1-5で圧勝したセルハースト・パークのゲームは、もうひとつの答えも出したといえるのかもしれません。サカがピッチから去った後、マルティネッリが右サイドを活性化しています。

11番が右サイドにまわり、とにかく試合に出たいトロサールが左で起用されるのが、最も円満な策になりそうです。この布陣の難点は、サイドの2人を休ませたいときに、同じタイプのバックアッパーがいないこと。さらなるオプションとして、ヌワネリやカイ・ハヴェルツが2列めの左右に入る4-2-3-1も用意しておいたほうがいいのではないでしょうか。

もうひとつの選択肢として、サイドで働ける新戦力の獲得があります。トランスファーマーケットに目を移すと、バイエルンとの契約を延長していないレロイ・サネ、マンチェスター・ユナイテッドでくすぶっているマーカス・ラシュフォード、チェルシーでの未来に疑念を抱いているエンクンク、夏に退団必至と伝えられているニコ・ウィリアムズが視界に入ってきます。

4人とも移籍金はさほど高くならず、エンクンクやニコ・ウィリアムズも5000万ポンド程度で押さえられるでしょう。このまま夏になればフリーエージェントのレロイ・サネは、お買い得な価格で妥結できそうです。高額サラリーのラシュフォードは、アルテタ戦術にはまれるかどうかがポイントで、「ローンでお試し」なら検討してもいいのではないでしょうか。

負傷でベンチに退いても、2試合連続で休むことはなかったタフなウインガーの離脱は、優勝を争うようになったアーセナルにとって未体験ゾーンです。復活気配のジェズスは救世主となるのか。マルティネッリは逆サイドでゴール量産モードに突入するのか。ヌワネリはチャンスを増やせるのか。アルテタ監督の采配とクラブの決断に注目しましょう。