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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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前例なき9年半、バイアウト条項は消滅!ハーランドはなぜ、マン・シティと長期契約を結んだのか?

ペップ・グアルディオラがその話を聞いたとき、最初のリアクションは「Can you repeat?」。同じ言葉が繰り返されても、にわかに信じられず、「Sure?」と確認したそうです。稀代の名称を「え?何て?」「マジ?」と困惑させたひとことは、「ナインハーフ」。アーリング・ブラウト・ハーランドがマンチェスター・シティと結んだ新たな契約の期間です。

入団発表は2022年5月、ドルトムントに支払った移籍金は5100万ポンド。2022‐23シーズンに公式戦53試合52ゴール9アシストという異次元の数字を叩き出し、トレブルの原動力となった9番は、2年めの昨シーズンも45戦38発5アシストと量産体制を継続しています。今季は28戦21発1アシストとペースダウン。それでも、もの足りないと非難される数字ではありません。

3年トータルで126試合111ゴール。今、振り返れば、5100万はバーゲン価格です。当初の契約は2027年6月30日までの5年で、昨年の夏から1億7550万ポンドのバイアウト条項が発動しています。これは契約満了に近づくにつれて減額される仕組みになっており、来年の夏までに新たな契約を結べなければ、マン・シティは手離さざるを得ないと見られていました。

ハーランドにとっては憧れのレアル・マドリードに近づける契約であり、マンチェスター・シティにとっては投資を回収できる条件です。世界一をめざすストライカーにしてみれば、プレミアリーグはラ・リーガというゴールに向かうステップだったはずですが、なぜ契約を延長したのでしょうか。今回は「ナインハーフ」、つまり2034年までの9年半となる前例なき契約です。

「テレグラフ」のジェームズ・ダッカー記者は、新たな条件について「2600万ポンドの年俸とさまざなボーナス」と伝え、「今まで存在していたバイアウト条項は削除された」と付け加えています。ペップ・グアルディオラやカルドゥーン・アル・ムバラク会長との絆は、レアル・マドリードへのルートを断ち切ってもいいと考えるほどに強くなっていたのでしょう。

「アスレティック」のマーティン・ロジャース記者は、父親のアルフ・インゲ・ハーランドがプレイしていたクラブであることも、特別な愛着を抱く理由と指摘しています。双方のメリットとリスクを考慮した最初の契約は、リスクを振り切って永遠を誓い合うエモーショナルな契約に刷新されたようです。朗報に触れて、驚きを隠さなかった指揮官は「信頼」を強調しています。

「クラブは彼に対する信頼を示した。来年は何が起こるかわからないけどね。このクラブは、彼がどれだけプロフェッショナルか、自らの才能を発揮するために毎日、毎試合、どれほど全力を傾けているかをすべて知っている。10年後がどうなっているかなんて、誰にもわからない。長い長い時間だ」

「ひとりの選手が今までになかった契約にサインすると決めたのは、ずっとここにいたいと願っていることを示したいからだ。そうでなければ、代理人も選手もみんな『1年、2年、3年で契約を結んで、はい次は、その次は』というものだ。これは、クラブに対する信頼の証明といえるだろう」(ペップ・グアルディオラ)

マンチェスター・シティは、2023年2月に告発された115件のFFP違反容疑で有罪となれば、大量のポイント剥奪などのペナルティを受ける見通しで、チャンピオンシップ降格の可能性もあります。公聴会が終わり、判決を待つタイミングでの契約締結は、ワトフォードやストークと戦うリーグでも全力でゴールをめざすと宣言しているかのようです。

「これから長い間ここにいるから、もっとよくなることに集中できる。ファンのみんなが望んでいるものを提供するために、パフォーマンスの発揮と改善に全力を注ぐ。超ハッピーだ。誇りに思う。あまりにも大きな出来事で、言葉にするのは難しい。今まで話をしてきた人たちの存在、ハングリー精神、経営ボードやボスのサポートを考えれば、簡単な決断だった。うれしいね」

コール・パルマーもチェルシーと9年契約。プレミアリーグを代表するヤングスターたちの長期契約は、巨額契約が当たり前になったアメリカのプロスポーツのような新時代到来のきっかけとなるのでしょうか。「アスレティック」の記事には、年俸の大半を引退後に受け取る大谷翔平が事例として紹介されていました。フットボールの記事で彼の名前を見るとは…。


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