偏愛的プレミアリーグ見聞録

カイル・ウォーカーはミラン、アントニーはレアル・ベティス。マンチェスターで2つのローン移籍が決まったというニュースが流れた後、レナト・ヴェイガはユヴェントス、エミ・ブレンディアはレヴァークーゼンに向かうと報じられました。チェルシーのDFはシンプルなローンですが、ヴィラのアタッカーには買取オプションが付いています。

プレミアリーグの冬のトランスファーマーケットは、残り6日となりました。アブドゥコディル・フサノフ、ヴィトール・レイス、オマル・マルムシュの3人に、総額1億2200万ポンドを投じたマンチェスター・シティばかりが目立っていますが、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アストン・ヴィラ、ウェストハムはさらなる補強を目論んでいるようです。

レッチェの左SBパトリック・ドルグを追いかけていたマンチェスター・ユナイテッドは、クラブ間合意に到達と報じられています。「スカイスポーツ」のトランスファーLIVEによると、移籍金は2500万ポンドでアドオンが590万ポンド。本人はマンチェスターに行きたがっており、支払い条件の詳細が決まれば、ほどなく「DONE DEAL」となります。

財政難に陥っているマン・ユナイテッドは、アレハンドロ・ガルナチョの獲得をめざすナポリと交渉を続けており、出場機会が激減しているカゼミーロはローマからのオファーに前向きと伝えられています。マーカス・ラシュフォードに関する新たなニュースはなし。イタリア関連のディール以外では、アーセナルの18歳のDFエイデン・ヘブンを獲得するだけで終わりそうです。

ピッチの外でも速攻が得意なチェルシーですが、エンクンクとガルナチョを売却し合うプランは成立しそうにありません。より可能性が高いのは、バイエルンから出たがっているマティス・テル。昨季ブンデスリーガで30試合7ゴールという数字を残した19歳の逸材が、ロンドン行きを承諾すれば、エンクンクのバイエルン移籍はリアルなディールになるといわれています。

ポール・ウィンスタンリーとローレンス・スチュワートは余剰戦力の移籍も粛々と進めており、ディサシはヴィラ、チェーザレ・カサディにはトリノという話があります。両者ともに冬はローンになりそうですが、新天地で活躍すれば片道切符になるかもしれません。チェーザレ・カサデイは、チェルシーのゴーサインが出ればメディカルチェックという段階まで来ているようです。

一方、ディサシをほしがっているヴィラは、夏に手離すことになりそうなジョン・デュランの後釜としてジョアン・フェリックスの獲得も検討中と報じられています。ドルトムントから2000万ポンドで引き入れたドニエル・マレンが右サイド、新進気鋭のモーガン・ロジャースが左で、オリー・ワトキンスの後ろにジョアン・フェリックスという布陣を想定しているのでしょうか。

さらにもうひとり、完全移籍の可能性ありと注目されているストライカーがいます。ブライトンで居場所を失いつつあるエヴァン・ファーガソン。18歳だった2022‐23シーズンに、プレミアリーグ19試合6ゴールというスタッツを刻んで注目されたヤングスターは、度重なる負傷がきっかけで序列が下がってしまいました。

現在のトップランナーはレヴァークーゼン、追走しているのはウェストハム。グレアム・ポッターを招聘して攻撃力を高めようとしているハマーズにとって、ストライカーの補強は喫緊の課題です。34歳のマイケル・アントニオはシーズンアウト、フルクルクも長期離脱。ボーウェンとサマーヴィルも負傷しており、最前線はクドゥス頼みとなっています。

エヴァン・ファーガソンを発掘したポッターなら、色褪せていた原石をもう一度輝かせることができるかもしれません。ブライトンと本人の決断に注目しましょう。最後に取り上げるのは、アルテタ戦術にはまらなかった27歳のレフトバックの最新ニュースです。「スカイスポーツ」によると、キーラン・ティアニーは古巣セルティックに復帰するようです。

夏の完全移籍に向けて合意に近づいていると報じられたティアニーについて、1月のローン移籍の可能性を問われたブレンダン・ロジャース監督は、「それが理想だけど、今はまだアーセナルの選手だ。夏の獲得は、関係者全員が同意していると思う。その前に獲得できれば、素晴らしいことだ」と答えています。

アーセナルの左サイドは、カラフィオーリ、ジンチェンコ、ルイス＝スケリーと頭数は揃っていますが、負傷が多いカラフィオーリが懸念材料です。もう一度爪痕を残してノースロンドンを去るのか、10人になったウルヴス戦が最後のステージとなるのか。現状は、どちらも可能性充分としかいえません。

昨年に続いて静かなトランスファーマーケットですが、ガルナチョ、エンクンク、ジョアン・フェリックス、エヴァン・ファーガソンとサプライズの種は仕込まれています。ラシュフォードは、マジメにトレーニングに励んでルーベン・アモリムの評価を得るしかなさそうですね…。引き続き、マーケットの動向に注目してまいります。