偏愛的プレミアリーグ見聞録

昨日お伝えしたストライカー争奪戦に、続報が殺到。最終的な着地が読めない状況になっています。ひとついえるのは、アーセナルの本命がオリー・ワトキンスだったのなら、ヴィラへのオファーは最悪のタイミングだったということです。ジェズスの前十字靭帯損傷が発表されたのは1月14日。直後にアプローチしていれば、チャンスはあったのかもしれません。

ウナイ・エメリのアストン・ヴィラで、スーパーサブというポジションをよしとしなかったジョン・デュランは、アル・ナスルへの移籍を決断。6400万ポンドとアドオンという好条件のオファーをヴィラは承諾し、21歳のストライカーはロンドンでメディカルチェックを終えています。この状況で、オリー・ワトキンスがほしいといわれても、交渉の場は成立しないでしょう。

絶対的エースがアーセナルに行くと決まっていれば、出場機会が増えるジョン・デュランはプレミアリーグに残ろうと思えたのではないでしょうか。ノースロンドンからのオファーは、CLのセルティック戦の数時間前。指揮官とスタッフ、選手たちを大事な一戦に集中させたかったヴィラの経営ボードは、激怒したと伝えられています。

「テレグラフ」のマット・ロー記者は、当初は6000万ポンドと報じられていたアーセナルの提示額について、「実際は4500万ポンドに近かった」といっています。この額もバーミンガムの苛立ちにつながったようで、「アーセナルでプレイするのが夢」と語っていたストライカーがリクエストしたとしても、残り4日をやり過ごされて終わりそうです。

「スカイスポーツ」によると、ストライカーがひとりになったエメリのチームは、チェルシーのジョアン・フェリックスとディサシのダブル獲得を目論んでいるとのこと。アーセナルのさらなるチャレンジは、徒労に終わるでしょう。一方、退団志願と報じられたバイエルンのマティス・テルは、トッテナムが5000万ポンドを提示して交渉がスタートしたようです。

テーブルのアジェンダが完全移籍になった瞬間、お金がないマンチェスター・ユナイテッドはギブアップ。買取オプション付きのローン希望と伝えられていたアーセナルは、オリー・ワトキンスのために用意していた資金を逆サイドにフィードするのでしょうか。チェルシーが得意のハイジャックを成功させたければ、アレハンドロ・ガルナチョを諦めなければなりません。

29歳のベテランストライカーより、最前線も左ウイングもこなせる19歳のヤングスターのほうが、アーセナルらしい補強に見えます。一方、スパーズが一気に獲得に漕ぎ着けられれば天晴れですが、「最終ラインはこのままでいいの？」とツッコミを入れたくなります。出場機会を求めているストライカーは、将来について慎重に検討しているようで、結末は予測不能です。

負傷離脱中のソランケの穴を埋めたいスパーズは、バイエルンとの交渉が不調に終わったら、ミランのノア・オカフォーに矛先を変えると伝えられています。24歳のスイス人ストライカーは、今季公式戦で17試合1ゴール。1700万ポンド程度で獲れるとはいえ、ライプツィヒへの移籍がメディカルチェックでアウトになったばかりで、ロケットスタートは望めないでしょう。

アタッカーといえば、つい先ほど、とんでもないニュースが舞い込んできました。「スカイスポーツ」のエリオット・クック記者が「三笘薫を獲得したいアル・ナスルが5400万ポンドでオファー」と報じています。今季プレミアリーグの全試合に出場し、5ゴール3アシストのウインガーは「Not for sale」。ブライトンは即座に拒否したようです。

問題はサウスコーストの本音で、必要な主力だから断ったのか、評価額に納得できなかったのか。「CBSスポーツ」のジェームズ・ベンジ記者は、「アル・ナスルは最大9000万ポンドのセカンド＆ラストオファーを準備中」といっています。サウジプロリーグのマーケットのデッドラインは、日本時間で2月1日6時。次の王手に対して、ブライトンと三笘薫は1分将棋です。

クラブにとっては、これ以上は考えられない最高のオファー。本人にしてみれば、世界最高峰のリーグを離れるというリスクと、クリスティアーノ・ロナウドとともにプレイできる得難い経験の天秤です。こちらもどう転ぶかわからず、都合のいい言葉で逃げるしかありません。「どうなるか、見てみましょう」。