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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【Aston Villa×Chelsea】エンクンク、コール・パルマー、ヨルゲンセン…敗因はマレスカの人員配置?

立ち上がりから攻めているチェルシーは、エンクンクを左サイドに配しているようです。ワントップはペドロ・ネト、その後ろにエンソ・フェルナンデス、コール・パルマーは右サイド。ただでさえ、サイドアタックへの対応が課題となっているアストン・ヴィラの守備陣は、「試合に入れていない」という表現がぴったりです。

エンソ・フェルナンデスが2分に仕掛けたカウンターは、縦パスを受けたペドロ・ネトのシュートをタイロン・ミングスがブロック。4分に右に展開したのも、トップ下の8番です。コール・パルマーが縦に出してマロ・グストを走らせ、グラウンダーが中央に入ると、ペドロ・ネトはトラップが大きくなり、打てませんでした。

6分にトレヴォ・チャロバーが腰を痛め、トシン・アダラビオヨに交代というアクシデントがありましたが、その直後にすんなり先制。カイセドのフィードを右サイドで受けたのは、センターから流れたペドロ・ネトでした。マートセンをあっさり抜き去って速いボールを入れると、エミ・マルティネスは触れず、ゴール前に入ったエンソ・フェルナンデスが難なくプッシュしました。

11分にも、後方からのフィードで8番が左から抜け出し、鋭いクロスがペドロ・ネトの足元に入っています。必死に着いたタイロン・ミングスがクリアしたものの、いつ追加点が入ってもおかしくない展開です。ヴィラの最終ラインは足元に確実につないで、ゲームをスローに落とそうとしています。前線のプレスの人数を増やしたのは、ウナイ・エメリの指示でしょうか。

18分に右から入れたコール・パルマーの素晴らしいクロスは、フリーのエンソ・フェルナンデスを捉えましたが、左隅を狙ったヘッダーは薄く当たってしまいました。ヴィラの反撃は18分、中央からドリブルで上がったのはアセンシオ。ボックス右でラストパスをもらったオリー・ワトキンスが迷わずニアを狙うと、読んでいたヨルゲンセンは足でセーブしました。

21分に左からクロスを入れたのはマートセン。ファーでトラップしたオリー・ワトキンスの強烈なシュートは、ククレジャがコースに入って体に当てています。26分、マティ・キャッシュのドリブルのミスを突いたのはエンクンク。ボックス左からニアに転がすと、エンソ・フェルナンデスのコントロールショットは、惜しくもバーを越えていきました。

ヴィラが押し返せるようになったのは、ラインをコンパクトに保ち、チェルシーの中盤のパスコースを切る動きを徹底したからでしょう。29分にマッギンが敵陣で奪い、右にいたティーレマンスにつなぐと、ニアに出たボールに走り込んだオリー・ワトキンスはぎりぎりでタッチしました。ヨルゲンセンが右足を出さなければ、ボールは左のサイドネットに収まっていたはずです。

リース・ジェームズのミスパスがオリー・ワトキンスに渡ったのは36分。縦にスプリントして放った左足のシュートは、ニアに外れています。1分後、カットインからのエンクンクのミドルは、エミ・マルティネスが左に飛んでセーブしました。43分のCKのクリアを叩いたリース・ジェームズのボレーは、左にアウト。あっという間に感じられた前半は、0‐1のままで終わっています。

ポゼッションは52%対48%でほぼイーブン。シュートは5対9で、オンターゲットは2対3。次のゴールが勝負に直結しそうです。エメリ監督は、ハーフタイムにジェイコブ・ラムジーを下げてラシュフォードを投入。タイロン・ミングスが足を痛めたのは、後半開始から間もない48分でした。CLのノックアウトフェーズを控えた今、CBの離脱は何としても避けたいところです。

53分、タイロン・ミングスのパスをカットしたのはカイセド。コール・パルマーがすかさずペドロ・ネトに預け、7番が一気にボックス右に持ち込むと、右足のシュートはファーポストの外に逸れていきました。ヴィラのラインが間延びしたこの時間帯に決められれば、チェルシーは悠々と逃げ切っていたかもしれません。

57分のFKの二次攻撃から、右サイドでキープしたのはマティ・キャッシュ。ククレジャを切り返しでかわし、ファーにクロスを放り込むと、マロ・グストがつま先で触ったボールがラシュフォードの前に落ちました。倒れ込みながらグラウンダー、ゴール前に詰めていたアセンシオはフリー。オフサイドのジャッジはVARによって覆され、ゲームはイーブンに戻りました。

1-1となった直後にボハルデに後を譲ったタイロン・ミングスは、大事を取ったのか、プレー続行不可能となったのか。70分にマティ・キャッシュが下がり、アンドレス・ガルシア。チェルシーがビッグチャンスをつかんだのは、76分でした。カイセドが縦に滑らせた超絶スルーパスで抜け出したのは、最も危険なコール・パルマーです。

エミ・マルティネスと向き合った瞬間、体勢を崩したプレーメイカーは、何とか脇を抜いたのですが、GKの後ろをカバーしたコンサにクリアされました。モーガン・ロジャースも足を痛めたのか、77分にドニエル・マレンに交代。同じタイミングでオリー・ワトキンスも、レオン・ベイリーに代わりました。マレスカ監督の勝負のカードは、エンクンクをジェイドン・サンチョです。

82分に左から蹴ったラシュフォードのきわどいFKは、チェルシーの守備陣がクリアしきれず、フリーのコンサが決めるかと思いきや、ボハルデと重なってしまいました。88分、マートセンがラシュフォードにつないでカウンター発動。ボックス左への縦パスでGKと1対1になったドニエル・マレンは、ヨルゲンセンに足で止められCKです。

ショートカウンターから、高速クロスを入れたのはラシュフォード。ニアにいたアセンシオの左足ボレーは、ヨルゲンセンがセーブするべき弾道でしたが、倒れながらキャッチしようとした瞬間、脇からこぼれてしまいました。爆音のチャントが響き渡るヴィラ・パーク。7分の追加タイムに、チェルシーのシュートはありませんでした。

ラシュフォードの2アシストで、アセンシオが2ゴール。冬に獲得した2人によって、ヴィラが逆転に成功しました。チェルシーの新布陣は悪くはなかったのですが、エンクンクを活かす術は他にあったのではないでしょうか。悔やまれるのは、ヴィラの守備陣が混乱気味だった序盤に追加点を決められなかったこと、コール・パルマーが決定機を活かせなかったこと。そして最後のヨルゲンセンのセービングです。

カイセドのパスをもらい、打つ瞬間によろめいた20番は、左でエンクンクが空いているのが見えなかったのでしょうか。直近の公式戦で6試合連続ゴール&アシストゼロという状況のなかで、余裕を失っていたのかもしれません。強く打てない体勢からの無理めのシュートより、最適なポジションで待っていたアタッカーへのパスのほうが可能性は高かったはずです。

決定機を活かせなかったエースとともに、ヨルゲンセンのエラーも何度も見返しましたが、止めなければならなかったとしかいえません。ボーンマスにローン移籍したケパ・アリサバラガは、今季プレミアリーグでNo.1のセーブ率77.0%。ロベルト・サンチェス2位ですが、ゴールに直結するミスが最多の5回で、チェルシーは「keep or sell」を誤ったのかもしれません。

ニコラス・ジャクソンを失ってから、公式戦3連敗。アーセナルの9番不在ばかりが話題になっていますが、同じロンドンでもこちらのほうが影響が大きいように見受けられます。代役のエンクンクは3試合でシュート1本ながら、パス成功率は97%。コール・パルマーを偽9番、エンクンクをトップ下を試してもよさそうですが…?(マルコ・アセンシオ 写真著作者/Антон Зайцев)


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