2025.02.24 プレミアリーグ観戦記
【MAN.CITY×Liverpool】ルベン・ディアスとフサノフに見る「マン・シティ凋落の理由と今後の課題」
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先発のリストは、既にレッズ有利と宣言しているかのようです。ハーランドを欠いたペップは、ベルナルド・シウヴァとルベン・ディアスをベンチに置いています。エデルソン、リコ・ルイス、フサノフ、ナタン・アケ、グヴァルディオル、ニコ・ゴンザレス、デブライネ、サヴィーニョ、フォーデン、ドク、マルムシュ。リコ・ルイスが中盤をフォローする3‐2-4-1でしょう。
一方、アウェイチームは、ガクポのベンチスタートが気にならない布陣です。アリソン、アレクサンダー=アーノルド、コナテ、ファン・ダイク、ロバートソン、フラーフェンベルフ、マック・アリスター、カーティス・ジョーンズ、ショボスライ、サラー、ルイス・ディアス。4-4-2か、あるいは4-3-1‐2か。開始70秒、グヴァルディオルが自陣でミスパスをカットされました。
拾ったカーティス・ジョーンズが右のサラーに預け、ボックスの右手前に走り込んだショボスライがダイレクトでシュート。リコ・ルイスがブロックして事なきを得ますが、今季の不振を象徴するようなシーンでした。2分の右からのCKをアリソンがパンチし、逆サイドのマルムシュがデブライネにつなぐと、浮き球に反応したナタン・アケのヘッドは右に逸れていきました。
4分のジェレミー・ドクとアレクサンダー=アーノルドのマッチアップは、右にかわしたウインガーの勝ち。左サイドの攻略は、マン・シティが勝つための最大のテーマといえるのかもしれません。8分のフォーデンのミドルは、GKの正面。リヴァプールが引いているのは、狙い通りではないでしょう。10分のフォーデンのロングフィードは、アーノルドがドクの前でクリアしました。
デブライネの縦のフィードが、右サイドのサヴィーニョに通ったのは11分。左足アウトの浮き球がコナテに引っかからなければ、フリーのマルムシュに届いていたはずです。1分後、ナタン・アケを抜き去ったサラーがカットイン。シュートを打つ寸前に止めたのは、冬のトランスファーマーケットで加わった20歳のフサノフです。
14分にリヴァプールが得た左からのCKは、意表を突くサインプレー。マック・アリスターがニアに転がし、ゴールエリアから出てきたショボスライがコースを変えると、中央のサラーが左足で合わせました。ナタン・アケの足に当たって浮いたボールにエデルソンは触れず、0‐1。この瞬間、「マン・シティの勝利はないだろうな…」と思いました。
カラバオカップ4回戦でスパーズに敗れてから、序盤の15分で先制された9試合は1勝1分7敗。2点のビハインドとなった6試合は全敗です。リヴァプールの逆転負けは、消化試合だったCLのPSV戦のみ。「先に2点めを奪われたら勝負は終わり」といっても、大げさではないでしょう。23分のマルムシュのミドルシュートは、アリソンが落ち着いてキャッチしています。
30分のフォーデンのFKも、アリソンの守備範囲に飛んでしまいました。直後、右から抜け出したマルムシュのゴールには、オフサイドを示すフラッグが揚がっています。ルイス・ディアスのサイドチェンジがサラーに届いたのは34分。外から追い越したアレクサンダー=アーノルドの高速グラウンダーは、ナタン・アケが足に当ててCKです。
ここまでドクを抑えていたアレクサンダー=アーノルドは、サラーがグヴァルディオルの裏に出ようとしていたのが見えていました。絶妙なロングフィードが通ったのは37分。SBに追いつかれたサラーは切り返しを2回入れ、中央のショボスライに託しました。トラップした8番は、フサノフの股間と決めていたのでしょう。打つ瞬間が見えなかったエデルソンは、動けませんでした。
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前半が終わる直前のデブライネのミドルは、明らかにミスキック。シュート数8対3、オンターゲット3対2と数字は優勢のマンチェスター・シティは決定機ゼロで、後半の立ち上がりもシュートをことごとくブロックされています。55分にサラーのスルーパスでルイス・ディアスがラインの裏を取ると、必死に戻ったフサノフがドリブルを止めました。
58分、左サイドのドクが斜めのパスをボックス左へ。ワントラップで右隅を狙ったマルムシュは、枠に収められませんでした。66分にデブライネが下がり、ジェームズ・マカティー。シーズン21アシストというプレミアリーグレコードを保持するプレーメイカーは、マンチェスターで過ごす最後の春に近づいているのでしょうか。
72分にロバートソンをかわしたサヴィーニョがファーにクロスを入れると、コナテの股間を通したドクのシュートはアリソンがキャッチ。74分に役割を終えたのはカーティス・ジョーンズとロバートソンで、遠藤航とツィミカスの投入は、クリーンシートで終えるというメッセージです。残り15分を切ってから、マン・シティはシュートゼロでタイムアップを迎えました。
「Let’s call it now – the title race is over」。リヴァプールのダブル達成を伝えた「BBC」のフィル・マクナルティ記者は、「今こそ、いうべきだ。タイトルレースは終わった」と煽っています。プレミアリーグで23試合連続無敗、残り11試合を8勝3敗でOK。アーセナルとの差が5ポイント以内に詰まるまでは、彼の見解への反論は無意味でしょう。
「ノッティンガム・フォレスト、ニューカッスル、アストン・ヴィラなど、4~5チームが非常に強い。簡単ではないだろうけど、われわれはトライする」。試合後のプレスルームで、リヴァプールとアーセナルのギャップを確認したペップは、今後の目標はTOP4と明言しました。大勢が決した後、84分のシーンに彼らの凋落の理由と今後の課題が凝縮していました。
ルベン・ディアスがコヴァチッチの背中にぶつけるミスパスを出し、拾ったサラーがドリブルスタートという最悪の展開。MFとCBがサラーとの間合いを詰めなかったのは、背後にいたショボスライを警戒していたからでしょう。ルベン・ディアスは、コヴァチッチにサラーをケアするよう指示を出したのですが…。
自分がショボスライに裏を取られたら、サラーに持たせて時間を稼いだ意味がありません。連携ミスと判断ミス、集中力の欠如が重なって招いたGKと1対1のシーンで、ショボスライのシュートをスライディングでブロックしたのは、逆サイドから猛然とスプリントしてきたフサノフです。ボールがゴールラインを越えた後に見せた2人の表情が印象的でした。
天を仰いで悔しがった8番は、ピッチに仰向けに倒れ込んで顔をしかめた若きCBを見て笑っています。「よく間に合ったな」と思ったのでしょう。マン・シティが世代交代とともに取り組むべきは、ミスをゼロにすることだけでなく、ミスの影響をゼロにすべく全力でプレイすることでしょう。彼らの復権は、ロドリが復帰すればOKという簡単な話ではないはずです。(アブドゥコディル・フサノフ 写真著作者/Paté kroute)
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