2025.03.01 プレミアリーグ観戦記2024-25プレミアリーグ観戦記
祝★シーズン100ゴール達成!得点力を高めたスロットのリヴァプールは、クロップと何が違う?
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怪しい船出となったアルネ・スロットが、プレミアリーグで首位を独走するという未来は、誰も予想できなかったでしょう。2‐0完勝のニューカッスル戦で、シーズン100ゴールを達成。欧州の5大リーグで3ケタに到達したのは、バルサとレアル・マドリード、バイエルンだけです。新たなストライカーに頼らなかった指揮官は、どんなアプローチでチームを変えたのでしょうか。
昨シーズンの86発を上回るペースでゴールを積み上げているリヴァプールですが、実はリーグ戦におけるシュート数は減っています。2023‐24シーズンのプレミアリーグは90分あたりで20.8本、今季は16.6本。しかし1試合あたりのゴールは2.26から2.36に増えており、ノーゴールでタイムアップを迎えたのはノッティンガム・フォレスト戦のみです。
スロット監督の言葉に触れてから、あらためて数字をチェックしてみると、クロップから引き継いだチームにもたらした変化のポイントが見えてきます。「われわれは日々のトレーニングで、選手たちを特定の状況に置くようにして、どこで何をするかを指導している。主にファイナルサードでは、選手のクオリティと決定力が重要になる」。キーマンは、サラーとガクポです。
32歳になったレフティは、公式戦39試合30ゴール22アシスト。プレミアリーグでは、28試合25ゴール17アシストという別世界の数字を刻んでいます。ゴール&アシストは42で、32ゴールを決めた2017‐18シーズンに並んでおり、キャリアで2度めの40超えは史上初の快挙です。昨シーズンはリーグで8ゴール5アシストだったガクポも、既に8ゴール3アシストとパワーUPしています。
リヴァプールの攻撃に関する数字で特筆すべきは、欧州5大リーグでTOPのカウンターから13発と、ミドルシュートの比率です。シュート全体の25%は、リーグ19位。遠めから打たなくなったチームが、ボックス右からのシュート比率を11%から15%に高めたのは、「サラーが右から打つシーンをいかに増やすか」に腐心しているからです。
「ある瞬間は混乱を引き起こし、別の瞬間には長くボールをキープするバランスを見つけようとしている」。クロップの看板だったゲーゲンプレスを限定的にしたことで、前線の負担が軽くなり、自陣からの速攻が増えています。前からのプレス、9本以上のパスシーケンス、トランジションをすべて機能させるという難易度の高い目標は、緻密な戦術なくして達成しえないでしょう。
アーノルドの攻守のバランスが変わり、前線に残れるようになったサラーは、プレスによる疲労も減って攻撃に集中できています。クロップの下では便利屋と化していたガクポを、左サイドに固定したのもスロットの改革のひとつです。ショットMAPを見ると、昨季より左からのフィニッシュが増えており、8発のうち3つは得意のエリアからのコントロールショットでした。
トレーニングの負荷を軽くしつつ、疲労を考慮した交代策を行うなど、少数精鋭で戦うためのマネジメントによってローテンションのゲームは減っています。スケジュールがタイトになるCLとカラバオカップで、リードされてハーフタイムを迎えた試合はゼロ。これらが実現できたのも、最高の時を迎えているサラーのゴール&アシストで主導権を握れる試合が増えたからでしょう。
それにしてもサラーは…。ビッグ6との7試合のうち5試合でゴール&アシストを記録しており、ゴールに関与しなかった試合はひとつもありません。フラーフェンベルフの抜擢、ルイス・ディアスの覚醒、ショボスライの10番へのシフトも多様なゴールシーンにつながったといえるでしょう。残り10戦を7勝3敗でOK。少しビビりながら、いわせていただきます。「もう決まり」と。
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いつもデータを交えた面白いお話をありがとうございます。
Makotoさんに「もう決まり」と言っていただけると、ロマーノ氏の決め台詞並みの安心感があります。
条件をつけるとしたら何でしょうか。
私はこのままサラーとキャプテンが怪我せず好調を維持してくれたらと。
23年度に獲ったショボスライ、マカリスタ、フラフェンベルフ、遠藤が全員主力になっていて、スカウトとチームマネジメントどちらの功績が大きいか分かりませんが、驚愕しています。
中盤を丸ごと入れ替えて勝てるなんて、クラブ全体にスタイル(哲学?)が根付いたのかなと感じています。