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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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【MAN.UTD×Arsenal】敗戦寸前だったアーセナルを救ったのはダヴィド・ラヤとデクラン・ライス!

マンチェスター・ユナイテッドは14位、アーセナルは2位。オールド・トラフォードのプレミアリーグ28節は、モチベーションを失ったチームと優勝の可能性を残すチームとの対戦です。マグワイア、メイヌー、ウガルテ、アマド・ディアロらを欠いたマン・ユナイテッドは、サブのメンバーで主力といえるのはホイルンドのみという厳しいスカッドです。

GKオナナ、DFマズラウィ、レニー・ヨロ、デ・リフト、リンデロフ、中盤センターはエリクセンとカゼミーロ。WBはマズラウィとダロト、前線はブルーノ・フェルナンデス、ガルナチョ、ザークツィ。対するアーセナルは、マルティネッリがベンチに復帰しており、中盤と最終ラインはベストメンバーを揃えています。

GKラヤ、DFティンバー、サリバ、ガブリエウ、カラフィオーリ、MFトーマス、デクラン・ライス、ウーデゴーア、FWヌワネリ、ミケル・メリノ、トロサール。立ち上がりのアーセナルは、相変わらずの強力なプレスでパスコースを切り、当然のようにポゼッションを取っています。ホームチームの守備陣は、デクラン・ライスの積極的な攻め上がりをケアしなければなりません。

ダロトのパスをヌワネリがカットした3分のチャンスは、ゴール前にこぼれたボールをオナナが押さえました。デクラン・ライスとのワンツーで、ウーデゴーアがボックスに侵入したのは10分。レニー・ヨロがカットした後、こぼれ球を拾ったミケル・メリノのシュートは、惜しくも右ポストの外を抜けていきました。

ガルナチョが右から仕掛けた12分のカウンターは、ニアでパスを受けたマズラウィがハンド。レニー・ヨロがヌワネリから奪い、ブルーノ・フェルナンデスが中央から上がった15分のチャンスは、ボックス右でラストパスをもらったガルナチョのシュートがファーに流れていきました。20分のウーデゴーアのミドルは、オナナががっちりキャッチしています。

28分にラヤのパスを受けたヌワネリが、自陣中央にまわり込んで左に展開すると、フリーだったカラフィオーリがスプリント。ミケル・メリノに送ったアーリークロスは合わなかったものの、可能性が感じられるシンプルなアタックでした。32分に中に絞ったトロサールは、ガブリエウの縦パスのトラップでリンデロフをかわしますが、右隅を狙ったシュートはポストの外です。

アーセナルが執拗にサイドを攻め、マン・ユナイテッドが速攻を繰り出す展開の均衡が崩れたのは、追加タイム4分でした。ガルナチョのカットインから得たFKは、ボックスの右手前から。ブルーノ・フェルナンデスの鋭いキックが壁を越えると、左に飛んだラヤは間に合わず、オールド・トラフォードは歓喜の叫びに包まれました。

1-0で終わった前半は、ポゼッション32%対68%、シュートは2対6、オンターゲットは1対2。引いて速攻に徹していたマン・ユナイテッドがリードしたため、アーセナルはリスクを取って攻めなければならなくなり、赤いシャツのカウンターのチャンスが増えるのではないでしょうか。足を痛めたレニー・ヨロはプレー続行不可能のようで、エイデン・ヘヴンに後を譲っています。

後半立ち上がりの47分、マズラウィとのワンツーで右サイドを突破したガルナチョがグラウンダーを入れると、エリクセンに届かずティンバーがクリア。51分のショートコーナーから、ウーデゴーアが放ったミドルはオナナが指先で上に弾き出しました。直後の右からのCKはサインプレー。ボックスの入り口で待っていたデクラン・ライスは、ボレーを打ち上げてしまいました。

54分のカウンターの起点はザークツィー。縦のスルーパスが左サイドのダロトに通り、アーリークロスがファーに入ると、マズラウィはフリーでした。決定的な右足のボレーは、ラヤが右足に当てるビッグセーブ。マン・ユナイテッドは追加点を奪えそうな雰囲気です。アルテタ監督が動いたのは58分。カラフィオーリとヌワネリに代えて、マルティネッリとルイス・スケリーです。

その1分後、マズラウィが右のガルナチョにパスを通すと、クロスがトーマスに当たってゴール前へ。最終ラインの間から抜けてきたザークツィーがヒールで合わせると、またしてもラヤがぎりぎりでセーブしてピンチを脱しました。66分のショートコーナーから、ウーデゴーアが中央のトロサールに預けると、右足のミドルはうまくミートせず、左に逸れていきました。

71分、ボックスの手前で得たFKのキッカーは、ウーデゴーア。左足のキックにアイデアはなく、壁に阻まれてしまいました。74分に右からドリブルで仕掛けたのはティンバー。縦にいくと見せかけてマズラウィをかわし、ニアのデクラン・ライスの足元に転がすと、右足のダイレクトショットがファーのサイドネットに決まりました。

1-1となった直後、アモリム監督はザークツィーとエリクセンを下げ、トビー・コリアーとホイルンド。アルテタ監督はトーマスをティアニーです。77分のFKの二次攻撃で、ガルナチョのクロスがデ・リフトに届きますが、体が伸びきったヘッドはラヤの正面。82分にミケル・メリノが右のマルティネッリに長いボールを入れると、ニアに打った強烈な一撃はオナナがセーブしました。

アーセナルがビルドアップでミスを犯したのは84分、ガブリエウのパスを受けたミケル・メリノがカゼミーロに奪われ、ホイルンドはラヤと1対1。打てば決まっていたはずですが、必死のスライディングでクリアしたデクラン・ライスがプレイしながらガッツポーズを見せています。アーセナルのラインが間延びしたこの時間帯は、完全なるマン・ユナイテッドペースです。

ブルーノの縦パスでトビー・コリアーがボックス左を突破し、ニアのホイルンドにグラウンダーを入れた87分のチャンスも、ガブリエウがカバーしてCK。90分のガルナチョのミドルは、オナナの頭上を越えていきました。ルイス=スケリーが内側にいたトロサールにつないだのは92分。19番が右に出したパスを直接叩いたウーデゴーアは、オナナにセーブされました。

このゲームの最大のハイライトは、93分のマンチェスター・ユナイテッドのビッグチャンスでしょう。右サイドのガルナチョがニアにグラウンダー。トラップでデクラン・ライスをかわしたマズラウィが折り返すと、左に走り込んだブルーノはフリーでした。ダイレクトショットを足に当てたラヤは、ゴールに向かって浮いたボールを左手で掻き出す神セーブでチームを救いました。

マズラウィ、ホイルンド、ホイルンド、ブルーノ。後半の決定機をラヤ、デクラン・ライス、ガブリエウに阻まれたマンチェスター・ユナイテッドにとっては、悔しいドローでした。ミケル・メリノとヌワネリを封じられたアーセナルはボールの奪われ方が悪く、カウンターを喰らう流れを修正できなかったのが、敗戦寸前のポイントロストという着地につながってしまいました。

まずは、右サイドからチャンスを創り続けたガルナチョとマズラウィに拍手です。勝てる展開を生んだブルーノ・フェルナンデスのFKは見事。デビュー戦のエイデン・ヘヴンは、自信を高めたのではないでしょうか。チャンスを活かせなかったホイルンドは、スペースに入るべきシーンでウォッチャーになる悪癖を改善しなければ、ノーゴールの記録を更新し続けてしまうでしょう。

アーセナルのMVPは超絶セーブ連発のラヤか、同点ゴールと必死のチャージでチームを鼓舞したデクラン・ライスか。気になるのはウーデゴーアで、下がってもらいにいくと、プレーメイカーではなく「スローなつなぎ役」になってしまいます。アタッキングサードへのパスは、デクラン・ライスの15本に対して5本。彼が前線を動かせなかったのも、苦戦の要因のひとつでしょう。

首位リヴァプールと15ポイント差のアーセナルは、4位チェルシーとの6ポイント差のほうを気にしなければなりません。次節のシックスポインターで勝てなければ、CLの出場権争いに呑み込まれてしまうでしょう。一方、14位をキープしたマン・ユナイテッドは、とにかくEL。今日の後半のテンションを常にキープできれば、結果は自ずとついてくるはずです。惜しかった!


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