2025.03.15 チャンピオンズリーグ2024-25チャンピオンズリーグ
キーマンはホイルンド、ドルグ…スビメンディと久保建英を封じたルーベン・アモリムの戦術に拍手!

敗れれば来季の欧州への道が閉ざされる重要なゲームは、ぎりぎりのスカッドでした。リサンドロ・マルティネス、レニー・ヨロ、マグワイア、ジョニー・エヴァンスが不在で、3バックはエイデン・ヘヴン、デ・リフト、マズラウィ。中盤もメイヌーとメイソン・マウントが離脱しており、負傷明けのウガルテはベンチにいました。
2列めに配したいアマド・ディアロはシーズンアウトで、チド・オビ・マルティンはELには出られません。アモリム監督が交代カードを2枚しか切らなかったのは、トビー・コリアーとエリクセン以外はアカデミーの選手ばかりで、リンデロフを出す必要はなかったからです。ひとりでも機能しない選手がいれば、きわどい展開になっていたでしょう。
そんななかで、マンチェスター・ユナイテッドはポゼッション60%、シュート25本、オンターゲット10本、xG4.25という素晴らしいスタッツを記録しています。最大の勝因は明快だったアモリム戦術で、全員が迷いなく持ち味を発揮できた90分ともいえるでしょう。指揮官の狙いは、後方からのパスのコースを切ってサイドアタックを封じることでした。
ホイルンドのミッションは、ファーストレグは不在だったスビメンディをつぶすこと。ガルナチョとザークツィーは、ナイフ・アゲールとスベルディアに厳しいプレスをかけ、縦のコースを切り続けていました。WBのダロトとドルグは高いポジションを取り、SBにアバウトなボールを出させようとしています。
3‐4‐2-1の両サイドがポジションを上げると、シェラルド・ベッカーと久保建英に裏を突かれてしまいそうですが、マン・ユナイテッドの守備陣が後手にまわったのはPKで先制された10分まででした。アモリムの守備はプレスとリトリートを明確に切り分けており、前からつぶそうとするときは3-2-5で、持たせてパスコースを切ろうとすると4-2-4や4‐4‐2にスイッチします。
ザークツィーとガルナチョが引かされると、攻めに転じたときにホイルンドが孤立するのですが、彼らとブルーノ・フェルナンデスがプレスをかけるシーンが続くと、奪ってからラインの裏を狙いやすくなります。ブルーノの同点PKにつながった13分のアタックは、苦し紛れのクリアをカットした後、カゼミーロのフィードが右から上がったブルーノに通っています。
3バックと4バックを自在に切り替える戦術が機能するようになったのは、冬の新戦力獲得の成果でしょう。ダロトが最終ラインに入る4-2-4は、左のCBのエイデン・ヘヴンがサイドにシフトし、ドルグは前線でSBの動きを封じる構えになります。アーセナルから獲得した18歳のCBは戦術理解度が高く、アモリムのWBをこなせるドルグとともに左サイドを落ち着かせてくれました。
後半立ち上がりの逆転PKも、敵陣での奪取からの波状攻撃でドルグが倒されてゲット。63分のアランブルの1発レッドは、ホイルンドがパスをカットした瞬間に自陣後方にいたドルグがスプリントを始め、ザークツィーのロングスルーパスから決定機阻止を誘発させました。ガルナチョとブルーノで決めた87分のカウンターの際も、ホイルンドはファーの打てるエリアに入っています。
ドルグのサイドにいた久保建英は、先制PKにつながったエルストンドへの縦パス以外に見せ場を作れず、デュエルは2勝7敗。シェラルド・ベッカーは完全に封じられ、56分という早い時間にプッチを去っています。2人合わせてパス16本、ファイナルサードへのボールは2本というプアなスタッツが、マンチェスター・ユナイテッドの戦術の成功を証明しているといえるでしょう。
メイヌー、ウガルテ、アマド・ディアロは、すぐにこの戦術にフィットするはずです。素晴らしい勝利で、ヨーロッパリーグ制覇への期待が膨らみましたが、レアル・ソシエダのラ・リーガでの23ゴールは下から2番めであることを忘れてはいけません。リヨンに勝てたとしても、セミファイナルで当たるであろうアスレティック・ビルバオは、さらに上をいく難敵です。
レアル・マドリードとバルセロナより少ないリーグ戦24失点のチームに勝ち切るまでは、優勝という言葉は封印しましょう。明日のプレミアリーグは、敵地でレスター。ホイルンドが久々のゴールを決めてくれれば、リヨンとの準々決勝が楽しみになってきます。11人のU-23の成長が期待できるマンチェスター・ユナイテッドは、さらなる進化を遂げてくれるはずと期待しています。
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