偏愛的プレミアリーグ見聞録

デブライネ、シュールレが見事なゴール！アメリカで「インターナショナル・チャンピオンズ・カップ」に参加しているチェルシーは、ACミランを問題にせず2-0と下し、プレシーズンマッチ5連勝。新加入の若手選手がフォーメーションのなかで機能し得点を重ねるという、いい形でゲームを終えています。

1点目は、左サイドでのダイレクトのパス交換からアザールが抜け出し、右から走り込んだデブライネに流したラストパスから。今月、22歳を迎えるベルギー代表は、GKの位置と動きを見ながら、もう何年もこのチームにいるかのような余裕あるシュートで確実に先制点をものにしました。2点めのシュールレも文句なし。この試合でF.トーレスとともに、運動量の多さとキープ力で貢献していたモーゼスからのラストパスをダイレクトボレーでズドン。こちらも迷いのないプレーでしっかり機能しています。

チェルシーの攻撃は、モウリーニョ監督のスタイルが浸透しているからか、中盤での手数が減り、より直線的になったように感じます。早いタイミングで足元にボールが入って余裕ができるため、F.トーレスのプレイも粗さはあるもののアグレッシブです。オスカル、シュールレ、アザール、デブライネらが流動的かつスピーディーに前線を動き回るサッカーを展開されたら、かなり脅威ですね。

このチームにおいて、ドリブルがうまく、パスワークで周囲を動かすことができるマタの存在は大きいという認識でしたが、実際にモウリーニョ・サッカーを観て、めざすサッカーが縦に速いショートカウンターを基本とするならば「マタよりアザール、シュールレ、デブライネ、ルカク重視」という考え方もあるのかもしれないと思うようになりました。実際、シーズンが始まった時、前年のチームをある程度踏襲してスタートするのか、思い切って若手中心にするのか、モウリーニョ采配に注目したいところです。この日、指揮官は「プレシーズンマッチで5連勝したが、勝ち点はゼロだ。われわれに必要なのはプレミアリーグでの勝ち点だ」と、この方らしいコメントを残しておりましたが、ハル・シティとの開幕戦に向けて、準備万端といっていいでしょう。

一方、同じロンドンのアーセナルですが、地元で開催されている「エミレーツカップ」で、トルコのガラタサライとの決勝戦に1-2、逆転で敗れました。モウリーニョさんのおっしゃるとおり、この時期の勝敗に拘泥するのはあまり意味がありませんが、とはいえここは完勝で弾みをつけてプレミアリーグ開幕を迎えたかったところ。ウォルコットの左サイドからのクロスが直接ゴールインする、というラッキーなゴールでしか点が獲れず、PKで同点にされた後、メルテザッカーがドログバに完全に振り切られて決勝点を奪われるという嫌な負け方でした。先日のナポリ戦含め、ロングボールへの対応、裏のスペースのケア、GKの判断など、昨季課題だったことが解決できていないような点の奪われ方が続いています。果たして、どこまで修正できるのか。来季こそは久しぶりのロケットスタートが観られそうと期待していたのですが…。アジアツアーでは順調に見えたアーセナルに暗雲が垂れ込め始めています。（ケヴィン・デ・ブライネ　写真著作者/Wayne2435）