前線崩壊のアーセナルを救った新ストライカー、ミケル・メリノの6ゴールを振り返る。

「ラ・リーガのクラブから、移籍金最大3200万ポンドでスぺイン代表MFを獲得」と聞くと、狭いスペースを自在に活用するプレーメイカーや、長短のパスでゲームをコントロールする今風のセントラルMFを想像しますが、ドルトムントやニューカッスルでプレイしたこともある28歳のレフティは、なかなかの武闘派です。
レアル・ソシエダでの最後のシーズンは欧州5大リーグのデュエル最多勝で、今季プレミアリーグでは109勝121敗、空中戦は52勝50敗。ファイナルサードでのポゼッション獲得は90分あたり1.2回で、上にいるMFはファビオ・カルヴァーリョ、遠藤航、タヴァーニアーだけです。「デュエルモンスター」「アンチ・ギャラクティコ」といった言葉は、彼の特性を端的に表現しています。
中盤で泥くさいプレイを続けてきたファイターの運命が変わったきっかけは、ドバイ合宿でのアクシデントでした。カイ・ハヴェルツがハムストリングを痛め、シーズンアウト。「8番として獲得したカイ・ハヴェルツ」の後継者だったはずのミケル・メリノは、ストライカーと化したドイツ代表に負けないヘディングの強さを買われて、最前線を引き継ぐことになりました。
9番デビューのレスター戦は69分からの出場で、ヌワネリのクロスをヘッドで押し込んだ後、カウンターからトロサールのアーリークロスを右隅に流し込みました。アルテタの試験に1発で合格した元MFは、チャンピオンズリーグのPSV戦で最終ラインのミスを突いて3点めを決めると、チェルシーとのロンドンダービーではCKからのバックヘッドで決勝ゴールをゲットしています。
フラム戦の先制ゴールを見たときは、「ストライカーかよ!」とツッコミを入れてしまいました。ヌワネリの折り返しをトラップした瞬間、前に4人のDFがいたのですが、狭いスペースを通した右足のシュートに迷いはありませんでした。圧巻だったのはレアル・マドリード戦で、ルイス=スケリーのスクエアのパスを直接叩いた一撃は、左のサイドネットに一直線でした。
ハーランドやサラーでも、枠に収められるかどうかわからない繊細なタッチ。プレミアリーグとチャンピオンズリーグで9試合6ゴール1アシストは、リーグ屈指のストライカーと表現したくなるスタッツです。アーセナルがプレミアリーグでポイントを失うたびに、「カイ・ハヴェルツとサカの負傷で」と報じられましたが、新ストライカーに責を負わすのは的外れでしょう。
昨季王者を沈黙させる3-0完勝で、19年ぶりとなるベスト4への道が明確に見えてきました。サンティアゴ・ベルナベウのセカンドレグでは、前線でのチェイシングとセットピースのターゲットという役割が重要になってきます。キャリアにおいて最も多くのゴールを決めた相手はレアル・マドリードというアンチ・ギャラクティコに、さらなる歓喜の瞬間を期待しましょう。
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