2025.04.16 チェルシーの話題
決定力不足で後半戦はTOP10に未勝利…莫大な投資を続けるチェルシーは進化したといえるのか?

降格必至のアウェイチームは、31分に追加点をゲットします。左から上がったクラークが、外にまわったエンシーソに預けると、ふわりと浮いたクロスがファーに上がり、ククレジャと競ったベン・ジョンソンがゴール左に決めました。スタンフォード・ブリッジで18位を相手にハーフタイムで0-2は、既に事件といえるでしょう。
後半開始早々に、ノニ・マドゥエケの高速グラウンダーをククレジャと競ったトゥアンゼベがオウンゴール。79分のショートコーナーから、ボックスの左でキープしたサンチョが美しいシュートを右隅に収めたのですが、あと1本が決まりませんでした。シュート34本、オンターゲット9本でオープンプレーからノーゴールは、決定力不足というしかありません。
ニコラス・ジャクソンは12月16日のブレントフォード戦以来、11試合連続でノーゴール。コール・パルマーの沈黙は、ストライカーを上回る14試合になりました。年明けからのプレミアリーグ13試合で18発。オウンゴールを除けば16発は、CL出場権を獲得するチームの数字ではありません。2025年のリーグ戦の得点王は、3ゴールのマルク・ククレジャです。
チェルシーの停滞がさほど深刻に映らないのは、プレミアリーグでのポイントロストの合間にカンファレンスリーグで勝っているからでしょう。後半戦は5勝4分4敗で、勝利はすべて15位以下のチームです。TOP10との対戦は1分4敗で、4ゴールのみ。ラスト6試合はリヴァプール、ノッティンガム・フォレスト、ニューカッスルを残しており、厳しい戦いとなりそうです。
トッド・ベイリーとクリアレイク・キャピタルのクラブ買収以来、6回のトランスファーマーケットで12億ポンドに届きそうな巨額を投じたチェルシーは、3シーズン連続でCL出場権を逃してしまう可能性が高まっています。先日、UEFAに指摘されたFFP違反の中身を見ると、莫大な投資に無理が生じていたのは明らかです。
2023年には、スタンフォード・ブリッジに隣接するホテルと駐車場を、クラブの持ち株会社であるブルーコ22プロパティーズに7650万ポンドで売却。昨夏は、女子チームをグループ企業のブルーコ22ミッドコ・リミテッドに2億ポンドで売却しています。年間収益が1100万ポンドしかない女子チームの評価額として妥当とはいえず、粉飾決算といわれても返す言葉はないでしょう。
プレミアリーグのクラブの合議でルールが決まるPSRは、いわば詐欺師と警察が同一人格で、ニッポンの連結決算では通用しないグループ企業を使った利益創出がまかり通っていました。しかしUEFAはこれを認めておらず、協議の結果によっては、罰金や欧州の大会における出場停止などのペナルティが課されるかもしれません。
景気よく札束をバラまき、綱渡りを繰り返した結果、12位、6位、6位以下となれば…。「アスレティック」のオリヴァー・ケイ記者は「驚くほど効果がなかった投資」と喝破しています。若い選手たちと結んだ8年以上の長期契約は、単年の減価償却費を抑えるというメリットはあるものの、ムドリクやラヴィアのようにつまずいた選手が不良債権化するリスクがあります。
1年で任を解かれたマウリシオ・ポチェッティーノは、昨季プレミアリーグのラスト15試合を9勝5分1敗で駆け抜けました。ボクシングデーから数えると5勝4分6敗のエンツォ・マレスカは、チームを進化させたといえるのでしょうか。ペドロ・ネト、サンチョなど今季の新戦力は、全員足してもリーグ戦で8ゴール。次の夏もまた、同じポジションに新たな選手が加わるのでしょう。
クロップがいた頃のリヴァプールは、補強のコストパフォーマンスにこだわっており、ひとりあたりの在籍期間が長いチームでした。アルテタのアーセナルは、補強すべきポジションの要件を明確にして戦力を強化しています。対して最近のチェルシーは、チーム作りというより株式の売買で収益を伸ばそうとしているかのようです。
コルウィル、ククレジャ、エンソ・フェルナンデス、カイセド、ノニ・マドゥエケ、コール・パルマーは主軸として活躍してくれそうですが、ウイングとストライカーの決定力と最終ラインの連携は相変わらず課題となっています。3年の試行錯誤を経て、彼らは変わるのでしょうか。まずはTOP5フィニッシュ。ECLから中2日となるフラムとのウェストロンドンダービーは必勝です。
おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!
コメントを残す