イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

マンチェスター・ユナイテッドがプレミアリーグで勝てないのは、ELに集中しているからなのか?

4月に入ってからのプレミアリーグは2分4敗。アブラモヴィッチ時代のチェルシーなら、次の監督の人選が完了していたでしょう。「ヨーロッパリーグにシフトしたから」というなら、後付けでしょうと返すしかありません。この時期のスケジュールがタイトになる可能性があるのは、開幕前にわかっていました。4敗のうち2つは、ヨーロッパリーグの直前のゲームではありません

失礼しました。ルーベン・アモリムの就任以降、戦績が悪化しているマンチェスター・ユナイテッドのお話です。1‐0で敗れたノッティンガム・フォレスト戦はインターナショナルブレイク明けで、次のマンチェスターダービーまで中4日でした。オールド・トラフォードで0‐1のウルヴス戦について「リヨン戦の激闘のせいで」といわれると、「確かに!」といいそうになりますが…。

いや、そもそも2‐0から4発も喰らわなければ、劇的な逆転劇は必要なかったのです。百歩譲って、絶好調ウルヴスと疲労困憊のわれわれという対比を認めるなら、1週間後のボーンマス戦のドローにツッコミを入れたくなります。バイエルンやパリから即戦力を獲得したビッグクラブが、ELで勝つために国内で負けていいという話は成立しないのです。プレミアリーグ15位って!

とまあ、あまりにも勝てないチームに怒りと嘆きが止まらず、いかにも負けそうだったブレントフォード戦は当日の朝から憂鬱だったのですが、先発の11人を見た瞬間にテンションが上がりました。チド・オビ=マルティン、プレミアリーグ初先発!左サイドのハリー・アマスとCBのフレドリクソンは、ボーンマス戦も揃って先発でしたが、U-20が6人という若手シフトは初めてです。

この日の平均年齢は22歳270日で、プレミアリーグ史上3番めに若いチームだったそうです。最年少は2005-06年シーズンの最終節、フラムと戦ったミドルズブラの20歳181日。2番めは2008-09シーズンのポーツマスVSアーセナルで、ヴェンゲル監督の11人は22歳237日でした。アーロン・ラムジーは18歳でウォルコットは20歳、ベントナーは21歳。懐かしいですね。

さて、チド・オビ=マルティンのゴールを期待した一戦は惨敗でした。14分にメイヌーの絶妙な浮き球でガルナチョが左サイドを突破し、グラウンダーに走り込んだメイソン・マウントが今季プレミアリーグ初ゴールをゲットしたのですが、27分にロングスローからオウンゴール。メイヌーのクリアが浮き上がり、慌てて対応したハリー・アマスはカヨデに競り負けてしまいました。

ダムズゴーのシュートがルーク・ショーに当たり、逆を取られたバユンドゥルは触れず。37分には、カヨデの縦パスでボックスの右脇に出たノアゴーアのクロスをシャーデがヘッドで叩き込み、ブレントフォードがリードしました。シャーデに上から乗っかられて地面に叩きつけられたフレドリクソンは、70分のエンベウモのクロスにも対応が中途半端になってしまいました。

55番の頭上を越えたボールを頭で叩き込んだのは、またもシャーデ。74分にイエンセンがボックス右に縦パスを転がすと、ハリー・アマスはカヨデに裏を取られ、優しいグラウンダーをフリーのウィサが右足で流し込みました。ウィサに着いていたフレドリクソンが、エンベウモからイエンセンにパスが出た際に詰めようとしたのも、判断ミスというしかないでしょう。

4-1となってから、ガルナチョの美しいミドルとアマド・ディアロの強引な一撃で4-3にしたのですが、一歩及ばず。フル出場のチド・オビ=マルティンはボールタッチ19回に留まり、コリンズをかわして左足を振り抜いた90分の決定機は、ファン・デン・ベルフの必死のスライディングに阻まれています。3人の若手にとっては、苦い経験でした。

プレミアリーグで溜まったストレスは、ヨーロッパリーグで解消させてもらうしかありません。リヨンに勝ってベスト4に進出したことで、4‐1で完敗のニューカッスル戦はうやむやになり、1‐1のボーンマスのモヤモヤは、0-3で勝ったビルバオ戦が忘れさせてくれました。今回も、木曜日のオールド・トラフォードがソリューションとなるのでしょうか。それにしても…。

16位のスパーズとは1ポイント差、17位ハマーズとは2ポイント差です。EL準決勝のセカンドレグの後、日曜日はハマーズとのシックスポインター。負けたら一気に降格ゾーンの真上というポジションに転落する可能性があります。ここまで落ちて、ヨーロッパリーグで勝てなかったら、最終節のアストン・ヴィラ戦をどんな気分で迎えるのでしょうか。

オフシーズンのチームづくりで強くなるかどうかはわからない。即戦力を獲れるともいえない。アモリムは来季も同じように苦しむかもしれない。そんなことを思いながら、敗戦に向かうチームを眺めていました。スパーズのサポーターのみなさんも、似たような悔しさとかすかな希望を抱きながら、プレミアリーグ創設後の最多となる敗戦を記録したチームを見ているのでしょう。

「He’s nobody, I’m the champ!」。キンシャサの奇跡といわれた激闘でジョージ・フォアマンを倒したモハメド・アリが、ジョー・フレイジャーに投げつけた言葉です。オレはチャンプだ、ヤツは何者でもない…。プレミアリーグで負けているのは、ELに集中しているからだと自らをだまし続ける2つのチームが、欧州の頂点と国内の最下層に分かれる日が2週間後に迫っています。


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