2025.05.25 マンチェスター・ユナイテッドの話題
なぜ、わざわざ揉めるようなことを…。アモリムとガルナチョのトラブルの報道について思うこと。

アスレティック・ビルバオとのヨーロッパリーグ準決勝セカンドレグで、43分にアギレサバラと1対1になったガルナチョのチップキックは、運命を変えるミスタッチとなってしまうのかもしれません。右に出てGKを抜いていれば決められたはずのウインガーは、明らかに失敗とわかる弾道で左に逸れてしまいました。
その後のウェストハム戦とチェルシー戦は、ベンチスタート。外からは、欧州制覇に特化するための策に見えていました。しかしスパーズとの決戦で2列めにいたのはメイソン・マウントで、彼が登場したのは残り20分を切ってからでした。この試合でも、ヴィカーリオに止められた74分の一撃が決まっていれば、たった3日で退団確定と報じられるような急展開はなかったはずです。
敗戦の後、ガルナチョではなくメイソン・マウントを起用した理由を問われたアモリム監督は、「今ならいいやすい。アスレティック・ビルバオ戦の前半に、誰が決定機を逃したか? そう、ガルナチョだ」と答えています。ミックスゾーンでこのコメントを知った20歳は激怒したと報じられていますが、インタビューに対しては気持ちを抑え、困惑を伝えるのみに留めています。
「みんな大変だった。今シーズンは最悪だった。今夜のファイナルで敗れ、リーグでも勝てなかった。それが事実だ。ファイナルまでのすべてのラウンドで、ずっとプレイしていたのに、今日は20分しか出られなかった。わからない。夏を楽しんだ後、どうなるか見てみよう」。この発言が指揮官の逆鱗に触れたのか、2人の間に激しい応酬があったのか…。
アトレティコ・マドリードからマンチェスター・ユナイテッドのアカデミーに加わったのは、17歳だった2020年10月。「マンチェスター・イブニングニュース」は、スペインのクラブに支払った補償金は42万ポンドと報じています。プロ契約を結んだのは2021年7月。初年度はプレミアリーグ出場2試合に留まったウインガーは、テン・ハフに抜擢された翌シーズンに急成長しました。
2022-23シーズンは公式戦34試合5ゴール5アシスト。2023年の10月以降、彼が欠場したのは、昨年末のマンチェスターダービーのみです。アモリム監督にトレーニングに対する姿勢を咎められ、ベンチから外されたのですが、その後は新監督のスタイルにはまるように努力し続け、カラバオカップ、FAカップ、ヨーロッパリーグを含む全試合出場を果たしていました。
2024-25シーズンは58試合11ゴール10アシスト。欧州主要リーグのU-20で、ガルナチョよりゴール&アシストが多いのはラミン・ヤマルとドゥエだけです。アモリムの構想に必要かどうかを決めるのは、時期尚早でしょう。ティエリ・アンリ、ファン・ペルシ、クリスティアーノ・ロナウド…ウイングから始めてセンターで輝いたワールドクラスは彼らだけではありません。
金曜日の夜、スコット・マクトミネイとロメウ・ルカクがゴールを決め、カリアリに2-0で完勝したナポリがスクデットを獲得しました。セリエAで34試合12ゴール6アシストのスコットランド代表MFは、中盤の選手として最多ゴールとなり、セリエAの年間最優秀選手に輝いています。移籍金2500万ポンドの補強は大当たりでした。
レアル・ベティスにローン移籍したアントニーは、ラ・リーガとカンファレンスリーグで25試合9ゴール5アシスト。ミッドウィークのチェルシーとのファイナルで、カットインからの豪快なミドルが期待されています。マルセイユに移籍したメイソン・グリーンウッドは、34試合21ゴールでリーグアンの得点王。来季のチャンピオンズリーグの出場権獲得に貢献しています。
彼らがチームを離れた事情はまちまちで、売却を非難するのはアンフェアですが、活躍に見合う移籍金を得ていないのは事実です。今回のトラブルをレポートした「アスレティック」のアダム・クラプトン記者の「これらの事例から学ぶべきは、この夏にアレハンドロ・ガルナチョを売却すると決める際に、慎重に考える必要があるということ」という言葉にうなずくのみです。
クリスティアーノ・ロナウドが20歳になった2004-05シーズンは、公式戦50試合9ゴール9アシスト。ゴールゲッターとして覚醒したのは2年後です。ガルナチョはCR7なのか、あるいはヤヌザイか。その答えがわからない今、指揮官がメディアに余計なことをいって関係をこじらせ、退団一択に追い込んで買い叩かれるといった流れは絶対に避けるべきです。
冬のトランスファーマーケットで、ガルナチョ獲得を目論んだナポリ(マクトミネイで味を占めた?)が提示した移籍金は4000万ポンド。マンチェスター・ユナイテッドは安すぎると拒否していますが、チームに残るという選択肢がなくなったら、減額してくるでしょう。ブライトンやブレントフォードなら、平然と「7000万ポンド」といって争奪戦になるのを待つはずです。
これはアモリムを支持するか、ガルナチョを擁護するかではありません。指揮官の乱暴なコメントと直後の対応で、穏便に話し合えばクラブの顔となった逸材を失ったり、リアム・デラップを獲得できるほどの巨額が飛んでしまったりするリスクがあるというお話です。ラシュフォードとガルナチョを足してもマテウス・クーニャの額に届かないとなれば、ELの敗戦以上に号泣です。
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