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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

リヴァプールはヴィルツ、チェルシーはデラップ。劣勢だった彼らが争奪戦で勝った決め手とは?

フロリアン・ヴィルツを巡るバイエルンとリヴァプールの一騎打ちは、プレミアリーグ王者の勝利。マンチェスター・ユナイテッドがリードと伝えられていたリアム・デラップは、チェルシーが逆転で獲得に漕ぎ着けました。ドイツ代表のプレーメイカーと、イングランドU-21代表のストライカーが新たな活躍の場を選んだ決め手について、緻密な取材を重ねた現地記者がレポートしています。

「バイエルンの上層部は、懸命に戦った」。ドイツメディア「ビルト」でフットボール部門の責任者を務めるクリスティアン・フォークは、ブンデスリーガ制覇を祝う日に設定された極秘会議の模様を克明に記しています。2025年5月18日、日曜日。ミュンヘンのフランツ・ヨーゼフ・シュトラウス空港に降り立ったヴィルツは、リムジンに乗って市内のホテルに直行しました。

地下の駐車場に到着した22歳のMFは、エレベーターでスイートルームへ。何としても口説き落としたいバイエルンは、錚々たるメンバーを揃えていました。ヴァンサン・コンパニ、スポーツディレクターのマックス・エーベルとクリストフ・フロイント、ヤン=クリスティアン・ドレーゼンCEO。監査役のカール=ハインツ・ルンメニゲとウリ・ヘーネス名誉会長も出席していたそうです。

極上の歓待を受けたレヴァークーゼンの10番は、考えさせてほしいと伝え、ホテルを後にしました。翌日から休暇を取ったヴィルツは、5日後にコンパニに連絡。結論は「ナイン(いいえ)」でした。同じ日に父親は、エーベルSDとヘーネス名誉会長に丁重に断ったといいます。彼らが懸念したのは、ジャマル・ムシアラの存在でした。

ヴィルツがリヴァプールを選んだ決め手は、「10番を託したい」というアルネ・スロットの言葉でした。ミュンヘンの会談の5日前、ヴィルツと父親を乗せたプライベートジェットは、ブラックプールに着陸しました。リヴァプールからもマンチェスターからも1時間。「マン・シティに移籍か」と騒がれたのですが、このとき彼らと会ったレッズの指揮官が素晴らしい仕事をしたのでしょう。

同じくドイツの「キッカー」も、バイエルンが選ばれなかった理由について、「指揮官のトークが選手を混乱させた」と伝えています。「コンパニは明確な戦術を提示できず、彼のポジションも具体的に語れなかった」。AXAトレーニングセンターの最先端の設備に感銘を受け、現地で家探しまでしていたヴィルツにとって、指揮官のプレゼンの差は決定的だったようです。

マンチェスター・ユナイテッドの誘いを断ったリアム・デラップも、監督が重要な決め手だったと報じられています。エンツォ・マレスカ監督にはマンチェスター・シティのユースチームで指導を受けており、当時のチームメイトだったコール・パルマーとロメオ・ラヴィアもいるクラブです。アモリムのチームがCL出場権を獲得できなかったのも大きかったはずですが…。

「テレグラフ」のマイク・マグラス記者とジョン・パーシー記者は、「マンチェスター・ユナイテッド、ニューカッスル、エヴァートン、ノッティンガム・フォレストなどすべてのクラブと交渉し、数日間の検討の末、マレスカ監督のポゼッション重視のプレースタイルで活躍できると信じてチェルシーを選んだ」と伝えています。

フロリアン・ヴィルツもリアム・デラップも22歳。若手の移籍先選びでは、「どんな監督の下でプレイするのか」「自分は何を期待されているのか」「成長できる環境かどうか」がベテラン以上に重要なのでしょう。両者ともに迷いはなく、移籍間近から決定にステータスが変わる日は遠くないはずです。


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