2025.06.27 移籍ニュース2025-26移籍ニュース
トーマスとは異なる守備に長けたファイター…アーセナルはなぜ、ノアゴーア獲得を急いだのか?

2023年1月には、ミハイロ・ムドリクをチェルシーにハイジャックされた直後にレアンドロ・トロサールを獲得。昨年の夏も、ニコ・ウィリアムズやアデモラ・ルックマンを引き入れられず、29歳だったラヒム・スターリングをローン移籍で加えています。トーマス・パーティーを残留させられず、ノアゴーアという今回のプロセスは、これまでのセカンドチョイスと似ています。
前例と大きく異なるのは、トランスファーマーケットの残り時間です。トロサール獲得は冬のマーケットが閉まる10日前で、スターリングはデッドラインデーでした。「なぜ、今なのか?」と思ったのは、新戦力登録の締め切りまで2ヵ月という長い時間が残されているからです。これぞトーマスの後継者、ジョルジーニョっぽい!といえる選手ならわかります。
「BBC」のサミ・モクベル記者が、トーマスとノアゴーアの昨シーズンのスタッツを比較しているのですが、31歳のデンマーク代表MFはアーセナルがほしがるタイプには見えません。1試合あたりのパス成功本数は55.4対37.7、成功率は87.8%対80.5%、ボールを前に運ぶプログレッシブキャリーは8.0対2.9で、いずれもトーマスの完勝です。
ブレントフォードの重心が後ろにあるのを考慮したとしても、中盤のコントロールにおいてはトーマスが上といわざるをえません。ノアゴーアが勝つのは守備に関する数字で、ポゼッション勝利は6.7対7.5、タックル成功は2.4対2.8、インターセプトは1.1対1.8。アーセナルの補強を「賢明な契約」と称えた記者は、ノアゴーアの強みはリスクを察知する能力と評しています。
ブレントフォードがプレミアリーグに昇格した2021年以来、ノアゴーアのインターセプト201回はリーグ最多で、リカバリー844回は2位、タックル成功189回は3位だそうです。こういうタイプが必要になる試合もあるとは思いつつ、トーマス退団の前に急いで決めにいった理由がわかりません。プレミアリーグの経験があるアンカーで、フィットしそうな選手は他にもいるでしょう。
アストン・ヴィラで出番が減りそうなブバカル・カマラ、バイエルンで苦しんでいるジョアン・パリーニャ、実はスゴいルイス・クック、ブライトンで頭角を現したカルロス・バレバ、クリスタル・パレスで攻守のハブとなっているアダム・ウォートン。「930万ポンドで獲れる選手はいるの?」といわれると、「それな!」と返すしかありませんが…。
カイセドとラヴィアをチェルシーに持っていかれたリヴァプールが、遠藤航を獲得したときの驚きと戸惑いを思い出します。移籍金や獲得難易度といったコスパ・タイパ重視の補強なのか。開幕直後に厳しい相手が続くので、早期獲得は必須と考えていたのか。もしかすると、アルテタ就任以降の「人間力採用」「学級委員長タイプ歓迎」という視点で最適だったのかもしれません。
グエンドゥジやオーバメヤンが早々に去り、ウーデゴーア、冨安健洋、デクラン・ライス、ミケル・メリノ…。近年の補強は、リーダーシップ、ポジティブ思考、意識高い系といった言葉がぴったりのキャラ重視にシフトしています。ブレントフォードのキャプテンは、この観点で得がたい存在だったので、早々に押さえたといわれれば納得です。
妄想が膨らんでしまった感がありますが、バレンシアのDFクリスティアン・モスケラやセヴィージャのMFルシアン・アグメも獲得したかったので、「アンカーのバックアッパーはお手頃価格で」という単純な話なのかもしれません。決断が速すぎると感じただけで、ノアゴーアはいい選手であり、「賢明な契約」になる可能性は充分にあると思います。さて、次なる一手は…!(クリスティアン・ノアゴーア 写真著作者/Ardfern)
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