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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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次なるチャレンジはブレントフォード!ジョーダン・ヘンダーソンの屈辱と復活の2年を振り返る。

中盤の主軸だったノアゴーアを手離したブレントフォードは、若返りを図るかと思いきや、4つも年上のビッグネームを獲ろうとしているようです。アヤックスとの契約を解除したジョーダン・ヘンダーソンは35歳。リヴァプールで過ごした12年で公式戦492試合33ゴール58アシストのキャプテンは、エールディヴィジでも高く評価されたリーダーシップを求められているのでしょう。

アンフィールドの情熱的なサポーターたちに別れを告げたのは、2023年8月。サウジプロリーグのアル・イテファクへの移籍を決断した理由について、「スティーヴン・ジェラードの下でプレイしたかったから」と語ったヘンダーソンは、異国の気候とライフスタイルの変化に戸惑い、わずか半年で挫折してしまいました。

当時の「テレグラフ」によると、ヘンダーソンは週給35万ポンド(約6600万円)のサラリーを受け取らずに退団したそうです。サウジアラビアに90日以上滞在すると、イギリスの法律で居住者という扱いになり、年間で20日しか母国に帰れなくなります。代表チームと家族や旧友と過ごす時間を大事にしたかったベテランMFは、無給という苦肉の策で制限を回避したようです。

公式戦19試合ノーゴール5アシスト、ラスト8戦は勝利なし。3年契約を解除したヘンダーソンは、再起のステージとしてアヤックスを選びました。イングランドから離れる際に、「スポーツよりマネーを選ぶのか」とメディアの批判を浴びましたが、アムステルダムでも「サッカー後進国で失敗した選手」というネガティブな評判からのリスタートでした。

2023-24シーズンのアヤックスは、10月末にAZアルクマール、ユトレヒト、PSVに3連敗を喫し、エールディヴィジで最下位という信じられないポジションに沈みました。12月のKNVBカップでは、アマチュアチームのヘラクレスに3‐2で敗れ、「史上最悪の結末」と酷評されています。ヨン・ファントシップ監督が求めていたのは、若手に自信をもたらすリーダーシップでした。

「アスレティック」のマイケル・ウォーカー記者は、入団当初のヘンダーソンについて「サポーターからは称賛されていたけど、メディアや評論家からは嘲笑されていた」と振り返っています。11月から巻き返したアヤックスは、何とか5位に食い込んだのですが、オランダでは高額といわれる年俸250万ポンドのMFの評価は高まらず、イングランド代表からも外れてしまいました。

苦境に陥っていた34歳のMFを救ったのは、2024年5月に就任したフランチェスコ・ファリオーリ監督でした。「彼にキャプテンマークを渡すと決めたのは、われわれがめざす価値観を体現しているからだ。ピッチではとてもポジティブで、ピッチの外でもトップクラスのプロフェッショナル。まさに模範といえる」。ひとつ年上の指揮官の信頼を得たベテランは復活しました。

「アスレティック」の記者は、評価が急上昇したのは10月末の4日間だったといっています。半年前に6-0で惨敗したフェイエノールトに2-0で完勝し、PSV戦も3‐2で勝利。現地のジャーナリストたちに最高のパフォーマンスと激賞されたヘンダーソンは、4-3-3のアンカーで中盤に安定をもたらしただけでなく、若手の意識と行動を変えたそうです。

「ドレッシングルームを仕切るリーダーのなかには、毎日成長しようというクラブのカルチャーになじんでいない者もいた。チームを活性化させたジョーダンは、彼らをポジティブな姿勢で指導し始め、ジムに連れていった。多くの若手が、試合後にサウナやプールに誘われたと語っている。これによって彼らはリカバリーの重要性に気づき、考えるようになった」(レンティン・グーダイク/フェトバル・インターナショナル)

アヤックスで過ごした1年半で、57試合1ゴール9アシスト。屈辱的な半年の後、リーダーシップを絶賛されるようになったヘンダーソンは、もう1度プレミアリーグでプレイしたいという思いを抱いたようです。オランダで「退屈だけど安心」と評されたパスワークは、カウンターの頻度を高めたいブレントフォードでは、より必要とされるはずです。

「スカイスポーツ」のライアル・トーマス記者とダルメシュ・シェス記者は、「アヤックスを退団してフリーエージェントとなった元リヴァプールのMFは、2年契約を結ぶ見通し。週末に決定となり、その後正式に発表される予定」と報じています。最後のチャレンジになるであろう彼自身のパフォーマンスとともに、若手の成長にも注目しましょう。


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