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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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開幕戦は前線が不発でドロー!今のチェルシーにニコラス・ジャクソンは不要なのか?

「アスレティック」でチェルシーを担当しているリアム・トゥーミー記者が、「過去10年でプレミアリーグを制したチームのうち、9チームはオープンプレーから15ゴール以上の選手がいた」といっています。唯一の例外はハリー・ケインを獲り損ねた2020-21シーズンのマン・シティで、ギュンドアン、スターリング、マフレズ、フォーデン、ジェズスと9発以上が5人の共和国でした。

彼がなぜ、こんな話をしているのかというと、チェルシーが最後にリーグを制覇した2016-17シーズン以降、15ゴールを決めたアタッカーがひとりしかいないからです。アントニオ・コンテのチームで20ゴールをゲットしたジエゴ・コスタがトロフィーを置き土産に退団すると、絶対的エースを求めるチェルシーの長い旅が始まりました。

モラタ、ジルー、プリシッチ、イグアイン、カイ・ハヴェルツ、ヴェルナー、ツィエク、ルカク、スターリング、オーバメヤン、ジョアン・フェリックス、ムドリク、ノニ・マドゥエケ、ニコラス・ジャクソン、コール・パルマー、エンクンク、ペドロ・ネト、サンチョ。外から連れてきたFWのなかで、大成功といえるのは、2シーズンで37発のコール・パルマーだけでしょう。

今やアンタッチャブルな存在となったコール・パルマーも、オープンプレーだけとなると、2023-24シーズンの13ゴールが最高です。15ゴールを積み上げた唯一の選手は、2019-20シーズンのタミー・アブラハムで、移籍金ゼロのアカデミー出身のストライカーでした。これに迫るのが、入団初年度の2023-24シーズンに14ゴールのニコラス・ジャクソンです。

さまざまなデータを並べたリアム・トゥーミー記者の問題意識は、「今のメンバーは若いので、数年後に化ける選手がいるのかもしれないが、15ゴールを期待できるワールドクラスはいないのではないか?」。私が抱いている懸念は「ニコラス・ジャクソンを手離すと後悔するのでは?」と、少しずれています。チェルシーの問題は、獲得した選手の能力ばかりではないでしょう。

ゴールを量産するストライカーやアタッカーが少ないのは、「監督も選手も在籍する機関が短く、エースの強みを活かす戦い方をする前にいなくなるから」ではないでしょうか。ハーランド、サラー、イサク、オリー・ワトキンスは、指揮官と周囲のチャンスメーカーたちが彼らを活かす術を把握しています。

エンツォ・マレスカ監督が、1974年に任を解かれたデーヴ・セクストン以来、半世紀ぶりとなる「チェルシーで4年めを迎えた指揮官」になれるなら、まだ1年しかともに戦っていないニコラス・ジャクソンは大化けする可能性があるのではないでしょうか。コール・パルマーとカイセドは、15番の活かし方を心得ているように見えます。彼に足りないのは、自信でしょう。

ポチェッティーノ監督の下で最前線に入った2023-24シーズンは、xG(ゴール期待値)が18.6で14ゴール。決定機でのミスが多いと批判されています。昨シーズンは、開幕からの15試合で9ゴールと順調だったのですが、12月のエヴァートン戦以降は12試合連続ノーゴール。好不調の波が激しいストライカーという印象を与えてしまいました。

最終ラインと駆け引きができ、プレス、ポストプレー、カウンターでもチームに貢献できるニコラス・ジャクソンは、昨季のイプスウィッチで37試合12ゴールという単年の実績しかないリアム・デラップを凌駕する存在になる可能性があります。獲得したばかりの若いストライカーが空転するリスクを考えると、手離すとしても1年先にしたほうがよさそうです。

クラブワールドカップ2025で大活躍のジョアン・ペドロは、セカンドストライカーやトップ下で真価を発揮するタイプで、デラップと彼だけで最前線をまわすのはギャンブルでしょう。リアム・デラップがGKの正面に打ったシュート以外に、まともなオンターゲットがなかったクリスタル・パレスとの開幕戦を見て、15番は必要なのではないかとあらためて感じた次第であります。


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