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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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「移籍を確約したことはない」イサクの批判にニューカッスルが反論。現地記者が一連の騒動を検証!

「約束が破られ、信頼が失われたら、関係は続けられない」。ストライカーが強い言葉で経営ボードの姿勢を非難した3時間半後、ニューカッスルは公式サイトでステートメントを発表しました。「アレクサンデル・イサクがソーシャルメディアに投稿した内容について報告を受け、失望している」という書き出しで始まった短いテキストには、静かな怒りが漂っていました。

「アレックスはわれわれとの契約の下にあり、この夏にニューカッスルを離れられるとクラブ関係者が確約したことは一度もないと明確に答えたい。最高の選手を引き留めたいと考えているものの、選手にも要望があると理解し、その意見に耳を傾けている。アレックスと代理人には、われわれは常にニューカッスル・ユナイテッドとサポーターの利益を最優先に考えており、売却の条件は満たされていないとはっきり伝えてきた」

「われわれは、条件が満たされる見込みはないと考えている。この誇り高きフットボールクラブには偉大な伝統があり、家族のような雰囲気を大切にしている。アレックスはこれからもわれわれファミリーの一員であり、チームメイトと再び合流できる準備が整えば、復帰を歓迎されるだろう」

リヴァプールに移籍したいイサクは、「彼らは、自らの言葉が密室で語られた真の合意や発言を反映していないとわかっている」といっており、ニューカッスルは「約束は存在しない」と返しています。一見すると「いった・いわない」の話で、エースを残留させたかったクラブが「来年は移籍できるから」となだめたのではないかと邪推しそうになります。

しかし、今までの複数の報道を振り返ると、リヴァプールからの誘いを受けたイサクと代理人が、それらしいストーリーをこしらえたように見えます。2024年の春、当時は共同オーナーだったアマンダ・ステイブリーが交わした新たな契約の約束は、7月に就任した元SDのポール・ミッチェルがPSRの遵守を理由に先送りしました。

これについては「約束を反故にした」という言い分はあるものの、あくまでも契約延長の話であり、移籍を容認するといったわけではありません。イサクとクラブは、サラリーなどの条件交渉を夏に再開する予定だったのです。2025年3月には、ヤシル・アル・ルマヤン会長と経営ボードのメンバーが、満場一致で「イサクの残留に尽力する」と決議したと伝えられています。

選手の将来を考える代理人が、この報道を知らないわけがないでしょう。とはいえ、ここまでの話からも「誰かがイサクに移籍できると耳打ちしたのに、後に全員で握りつぶしたのでは?」といった声がありそうです。これに対しては、「テレグラフ」のルーク・エドワーズ記者が「リヴァプールからオファーがあるまで、彼は残留も考えていたはず」と状況証拠を並べています。

簡単にいうと、イサクは移籍を視野に入れた人間がやらないことをやっていたのです。この夏の移籍が認められると確信していたなら、クラブの新たなユニフォームのプロモーションには参加しないでしょう。自身が去る気満々なら、スウェーデン代表でチームメイトのエランガを説得してニューカッスルに移籍させたのも奇妙な話です。

代表チームにおけるインタビューでは、「タインサイドでの生活に満足している。落ち着いて過ごせている」とコメントしています。「テレグラフ」の記者は、「関係が破綻したという表現は大げさだ。イサクは騒動の間ずっと、エディ・ハウ監督と共同オーナーのジェイミー・ルーベンと話し合っており、監督の外交のおかげで良好な関係を維持している」と指摘しています。

クラブはイサクの希望を突っぱねるのではなく、むしろ叶える方向で動いていました。ジョアン・ペドロ、ウーゴ・エキティケ、ベンヤミン・シェシュコのいずれかを獲得できていれば、リヴァプールとの交渉を進めたはずです。ステートメントにある「選手たちの要望に耳を傾けている」という言葉に、偽りはなかったのでしょう。

彼と代理人はなぜ、経営ボードを悪者にして強引に話を通そうとしたのか。「残ろうと思っていたけど、リヴァプールに行けるチャンスは無視できない」と率直にいえばよかっただけです。アーセナルに移籍したギョケレスを見て、シナリオを思いついてしまったのか。あちらは紳士協定自体は存在し、移籍金の額で揉めていたのですが、こちらには約束などないように見えます。

事実はどうあれ、自らの欲望に多くの人々を巻き込んだストライカーは、ヴィラパークでスコアレスドローを嘆いたサポーター、後釜獲得に奔走したスタッフ、そして言葉を慎重に選んでメディアに対応したエディ・ハウ監督に頭を下げるべきでしょう。移籍するためにクラブのスケジュールをキャンセルするというファン軽視の行為が、当たり前にならないよう願っています


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