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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

プレミアリーグ2016-17シーズン総括~(3)感動!天晴れ!事件!なベストマッチ

サッカーを楽しむ情熱だけは今も若い方たちに負けず、プレミアリーグクラスだと自負しているのですが、こと記憶力に関してはリーグ2レベル。せっかく年間250試合以上を観戦してきたのにディテールがあやふやになっている試合もあり、客観的かつロジカルな尺度で今季のベストマッチを選ぶのは、砂漠に落とした1円玉を探すような難作業なのであります。と、言い訳はこのぐらいにして、明るく始めましょう。プレミアリーグ2016-17総括第3弾、ベストマッチ編です。

今季の試合を開幕からあらためてチェックしつつ、「感動編」「戦術編」「事件編」の3つの部門に分けて、それぞれ5試合を選ばせていただきました。マンチェスター・ユナイテッドサポーターですので、最も感動したのは水曜日の試合なのですが、それはさておき。プレミアリーグで感動の一戦をひとつ選べといわれれば、「今シーズンもおもしろくなるぞ、リヴァプールは強いぞ」とその後の展開に期待させてくれた開幕戦のアーセナルVSリヴァプールです。マネとララナが躍動して、15分で3発を立て続けに決めたレッズの怒涛の攻撃は鮮やかでしたが、チャンバースとホールディングというつぎはぎCBで戦いながら、2点を返して追いつく寸前まで巻き返したガナーズの底力にも感服しました。

戦術が天晴れだったのは、年明けのポチェッティーノ監督です。相手の3-4-3に合わせたミラーリング戦術で対抗しながら、「アスピリクエタの高さ」というコンテチェルシーのささやかな弱点を、エリクセンのクロスとデル・アリのヘッドで突いた2発のアプローチは見事。エレーラをアザールにマンマークさせ、枠内シュートを1本も打たせず完勝したチェルシー戦のモウリーニョ監督も素晴らしかったのですが、攻守ともに意志が感じられたスパーズを上としたいと思います。チャンピオンズリーグを年内で終えてしまったスパーズは、この頃はまだ4位で優勝争いにはカウントされていなかったのですが、首位を戦術でねじ伏せた勝利でにわかにスポットライトが当たるようになりました。

事件といえば、あまりにショッキングだったのはあの試合です。ペドロにいきなりビンタを喰らって、後半はボコボコにされた9節のチェルシーVSマンチェスター・ユナイテッド。上位に圧勝したこの一戦が、コンテ監督と選手たちに3-4-3の成功を確信させたのではないかと思います。ちなみに、PFA(選手協会)、FWA(記者協会)、EAスポーツ(プレミアリーグ公式)とMVP三冠を獲得(プロレスみたいですね…)したエンゴロ・カンテは、シーズンを通じて2ゴールしか決めていないのですが、いずれもマンチェスター・ユナイテッド戦です。FAカップ準々決勝では、ドリブルで中央を崩してあっさりデ・ヘアを破る激痛の決勝ゴールを喰らっており、「こんなことができるのに、なぜよそではやらない!?」とTVモニターに向かって悪態をついたのを思い出しました。…すみません。話を戻しましょう。以下、3部門でチョイスした15試合をご覧ください。

■感動のゲーム!編
プレミアリーグ1節/アーセナル 3-4 リヴァプール
プレミアリーグ12節/トッテナム 3-2 ウェストハム
プレミアリーグ17節/エヴァートン 0-1 リヴァプール
プレミアリーグ26節/レスター 3-1 リヴァプール
ヨーロッパリーグ決勝/マンチェスター・ユナイテッド 2-0 アヤックス

アグレッシブなシーズン幕開けと、アヤックスに何もさせなかったモウリーニョサッカーの結実が、私の2大感動ゲーム。さらに挙げさせていただいたのは、劇的な幕切れの2試合と、王者復活の一戦です。デル・アリとソン・フンミンが後半から登場したウェストハム戦のトッテナムは、89分からソン・フンミン&ハリー・ケインのコンビで2発叩き込んで大逆転。グディソンパークのマージ―サイドダービーは、95分にスタリッジのシュートがポストに当たってマネがプッシュするというマンガのようなフィナーレでした。レスターがレッズを破った試合は、ラニエリ監督解任直後で、奇跡のプレミアリーグ優勝を果たしたメンバーが久しぶりに10人揃った快勝劇。ヴァーディの2発で自分たちのサッカーを再確認し、自信を取り戻したシェイクスピア軍団は、この2週間後にセヴィージャを倒すという快挙を成し遂げ、CLベスト8という素晴らしい記録をクラブ史に刻みました。

■戦術に拍手!編
プレミアリーグ4節/マンチェスター・ユナイテッド 1-2 マンチェスター・シティ
プレミアリーグ14節/マンチェスター・シティ 1-3 チェルシー
プレミアリーグ20節/トッテナム 2-0 チェルシー
プレミアリーグ26節/マンチェスター・ユナイテッド 2-0 チェルシー
プレミアリーグ32節/クリスタル・パレス 3-0 アーセナル

厳しいハイプレスとスピーディなパスワークで子ども扱いされた前半、プレミアリーグにとてつもなく強いチームが現われたと震え上がったマンチェスターダービー。ペップとコンテが激突した14節も、マンチェスター・シティが後半途中まで完全にゲームを支配していたのですが、カウンターにやられてホームで敗戦。アグエロとフェルナンジーニョをレッドカードで失ったマン・シティは、次のレスター戦にも敗れて首位に引き離されました。

コンテ監督が、後に重要な戦術のひとつとなるセスクのロングフィードをチームに取り込めると確信したこの試合は、今季最大のターニングポイントだったと思います。57分にクロスバーを叩いたデブライネのボレーが決まっていれば、快進撃を始めてリーグを制覇したのはペップだったかもしれません。「ベンテケにロングボールを当ててサイドに展開する」というビッグサムの「弱者の戦術」が見事にはまり、アーセナルに圧勝したクリスタル・パレスも天晴れでした。この試合とノースロンドンダービーでの完敗が、ヴェンゲル監督に3バックを決断させたトリガーだったのではないでしょうか。

■事件なゲーム!編
プレミアリーグ6節/アーセナル 3-0 チェルシー
プレミアリーグ9節/チェルシー 4-0 マンチェスター・ユナイテッド
プレミアリーグ21節/エヴァートン 4-0 マンチェスター・シティ
プレミアリーグ22節/アーセナル 2-1 バーンリー
プレミアリーグ35節/トッテナム 2-0 アーセナル

アレクシス・サンチェス、ウォルコット、エジルのゴールで快勝したチェルシー戦が、ゼロトップを採用したアーセナルの今季のベストバウト。この試合の事件は、3-0で敗色濃厚となった65分から、コンテ監督が「優勝フォーメーション」の3-4-3を試したことです。マンチェスター・ユナイテッドを完膚なきまでに叩いたチェルシーは、アウェイのマン・シティ戦を逆転勝利で制し、クラブレコードとなる13連勝を達成して首位を快走しました。エヴァートンVSマン・シティは、18歳のトム・デイヴィスと19歳のルックマンというヤングスターが百戦錬磨のブラボから自信を奪ったのが事件です。ペップのチームがこんな負け方をするのかとショックを受けた一戦でした。

アーセナルVSバーンリーは、ヴェンゲル監督のチームがチャンピオンズリーグ出場権を失うきかっけとなった試合でした。ジャカのレッドカード、PKを不服としたヴェンゲル監督の退席処分。98分にアレクシス・サンチェスが決めたPKでかろうじて勝ち点3をキープしたものの、指揮官不在の次戦でワトフォードにホーム敗戦。さらにチェルシー戦の完敗、バイエルン戦の惨敗と、アーセナルは坂を転げ落ちるように勝てない季節に突入してしまいました。4月末のノースロンドンダービーは、21年ぶりに「セント・トッテリンガム・デー(ガナーズがスパーズより上位と確定する日)」がないと決まるのが直接対決とは!というメモリアルゲームです。右サイドを崩したエリクセンとデル・アリによって、スパーズはついに厚かった壁を破りました。

以上、2016-17シーズンのベストマッチ15戦でした。こうして振り返ると、数々の感動的なシーンが蘇ってきます。今季も、おもしろいですね!過去形にしなかったのは、今夜、もうひとつベストマッチが増えるかもしれないからです。FAカップ決勝のアーセナルVSチェルシーに、ここに挙げた試合に負けない感動的な展開を期待しています。

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“プレミアリーグ2016-17シーズン総括~(3)感動!天晴れ!事件!なベストマッチ” への5件のフィードバック

  1. nyonsuke より:

    更新お疲れ様です。

    私のベストゲームはやはり第1節のアーセナルvsリヴァプールです。
    ハラハラドキドキの展開とこれぞクロップ!という攻撃力。
    今季は違う!優勝もいけるぞ!と過分に感じた試合でした。
    昨季のELドルトムント戦も歴史に残る試合でしたが、クロップ監督の色が本当にチームに浸透したのだと初めて感じた試合でもあったと思います。
    このあと、1月2月でどん底に落とされるとは微塵も思いませんでしたが、レッズがクロップのチームとなり、クロップ監督ならタイトルを狙えるチームになると思えるいいシーズンの幕開けでした。

  2. イレブン より:

    僕の今年のPLベストゲームは、ブリタニアでのストークvアーセナルです。
    アーセナル目線での一戦ですが、トップ4を巡る争い、そしてヴェンゲル監督、サンチェス、エジルの残留条件を満たせるかどうか、試合前から緊張感が溢れてました。

    なかでもスコア1-2後のサンチェスのゴールは胸を打ちます!既に交代のシグナルを出しているサンチェスに対し、アクションを起こさないヴェンゲルに、負けられない一戦の緊迫感がTV画面を通して伝わってきました。

  3. yuto より:

    更新お疲れ様です。
    私の16-17シーズンで印象的だった試合は第4節のマンチェスターダービーですね。
    3連勝で今シーズンはいけると思っていた勢いがペップによって見事にへし折られたことを未だに覚えています。
    話は変わりますが、今日のFAカップもヴェンゲル監督の境遇を考えると、とても気になる一戦ですね。
    アーセナルの選手たちの感情の部分でも興奮・感動するものが見られると期待しています。

  4. NORI より:

    更新お疲れ様です。
    同じスパーズの逆転劇なら31節のスワンズ戦がより印象的でした。
    88分から3発叩き込んだあの試合からは、優勝を諦めないという選手達の強い気持ちを感じて感動しました!

    後はWHL最後の2試合はスパーズファンにとっては一生忘れられない試合になりましたね。

    スパーズ以外では筆者様も挙げられてるトムデイビスとルックマンの2発は衝撃を受けました。

    今シーズンも本当に楽しいシーズンでしたね!!
    本ブログも毎日楽しく拝見させて頂きました。
    シーズン終了後も面白い記事を期待しております。

  5. makoto より:

    nyonsukeさん>
    その後の37節を見ても、開幕戦のあの試合はおもしろかったですよね!クロップ監督のサッカーに期待を膨らませた一戦でした。

    イレブンさん>
    NGサイン出してた選手が、その直後にゴールを決めるというのは珍しいシーンでしたね。気迫がこもったいい勝利でした。

    yutoさん>
    今日のアーセナルは、おっしゃるとおり感動的でした。シーズンの最後にふさわしい試合だったと思います。

    NORIさん>
    ありがとうございます!逆転の鮮やかさでいえば、スワンズ戦ですね。個人的な感覚なのですが、ハマーズ戦は試合自体もスリリングでハラハラドキドキ、スワンズ戦は絶対勝てる相手なのにとやきもきしてたんですよね…。

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