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偏愛的プレミアリーグ見聞録

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ヌーノ・エスピーリト・サント、不可避の解任!フォレストが選んだ後任は真逆のポステコグルー!

「世界で最も過酷なリーグでプレイするのに、理想からほど遠い状態」と嘆いたのは8月15日。ブレントフォードとの開幕戦を控えたプレスカンファレンスでの発言でした。8月22日には「今はオーナーとうまくいっていない」。ノッティンガム・フォレストを欧州に導いた功労者、ヌーノ・エスピーリト・サント監督のこの言葉は、終わりの始まりだったようです。

解任が発表されたのは9月8日。事の顛末を追跡した「テレグラフ」のジョン・パーシー記者によると、オーナーとの会話がなくなったと赤裸々に語ったその日、関係者は電話でのやりとりに追われ、指揮官は即日で切られる可能性もあったそうです。会見の最後に「仕事を続けたいので話し合う」といっていたのですが、ついぞその機会は得られず、最後のボタンが押されました。

エヴァンゲロス・マリナキスオーナーと指揮官の関係が急速に悪化するきっかけとなったのは、7月8日にグローバル・ヘッド・オブ・フットボールに就任したエドゥ・ガスパールでした。ギリシャの海運王と意気投合し、アーセナルとの契約を打ち切ってノッティンガムにやってきた敏腕ディレクターは、個人的な理由でヌーノと険悪な関係になっていました。

ピッチでは守備を重視するヌーノは攻撃的な発言を繰り返し、エドゥは彼がいる場所に近づかず、開幕の直前になっても主力候補の獲得はダン・エンドィエのみ。クラブレコードとなる3450万ポンドでボローニャから獲得した高速ドリブラーによって、アンソニー・エランガの穴は埋まったものの、層が薄い中盤を放置するわけにはいかない状況でした。

エドゥの就任でショックを受けたヌーノは、選手が気づくぐらい落ち込んでおり、チームの雰囲気は最悪だったようです。プレシーズンマッチは7試合のうち5試合がスコアレスドローで、わずか1ゴール。「スカッドがどうなるかわからず、絆を深める機会を得られなかった」といいながら、原因は自らの状態にあるとわかっていたのでしょう。

片やエドゥはクラブのトレーニンググラウンドに姿を見せず、トランスファーマーケットのデッドラインデーまでに開催された会議の多くを欠席していたそうです。親しい友人には「孤立している。サポートがほとんどない」とこぼしており、何かを変えなければならないのは明らかでした。マリナキスオーナーのなかには、指揮官を切るという選択肢しかなかったのでしょう。

開幕直前に戦力不足を憂いたヌーノに対して、クラブは24時間以内にオマリ・ハッチンソン、ジェームズ・マカティー、アルノー・カリムエンドを獲得したのですが、総額9000万ポンドの補強に指揮官の意向は反映されていませんでした。その翌週にローン移籍が決まったドゥグラス・ルイスは、エドゥの側近のジュラブチアンがハッチンソンと並行して進めたディールです。

8月末のプレミアリーグ3節は、ウェストハムとのホームゲーム。ジョラブチアンがディレクターズボックスで見守るなかで、指揮官はドゥグラス・ルイスをベンチに固定し、移籍金のクラブレコードを更新したハッチンソンも90分まで起用しませんでした。0-3の完敗という結果は、指揮官の去就には無関係でしょう。それは既に、検討事項ではなく決定事項だったはずです。

後任がアンジェ・ポステコグルーと聞いて、驚きました。公式サイトのステートメントにある「ポステコグルーは豊富なフットボール経験とトロフィーを携えてトレントサイドに到着した」という言葉に、選んだ理由が込められているのでしょう。マリナキスオーナーにとっては、オーストラリアとギリシャの二重国籍も重要だったのかもしれません。しかし…。

重心を後ろに置いたトランジション志向のフットボールから、ゴリゴリのプレスとハイラインへのシフトは、「テン・ハフからアモリムの恐怖」をトレースするリスクがあるように感じます。「ヨーロッパリーグにチャレンジするシーズンに、スパーズでトロフィーを獲得したばかりの監督って運命の出会い?」とテンションが上がったのでしょうか。

EL制覇ならジョゼ・モウリーニョという選択肢もあり、ヌーノ戦術との相性はこちらのほうがよさそうです。マリナキスやエドゥとうまくいくかといわれると、「人格者のポステコグルーのほうがいいかも」と日和ってしまいそうですが…。決まった以上は、さまざまな環境で指揮を執った経験を信じましょう。初陣は、昨季までライバルだったアーセナル。健闘を祈ります。


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