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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

現地の記者たちが「マンチェスター・ユナイテッドは4バックのほうが機能する」と口を揃える理由。

「テレグラフ」のジム・ホワイト記者は率直です。「ルーベン・アモリムが自分の仕事を守りたければ、新たなフォーメーションを採用すべき」「バック4にスイッチして、ブルーノ・フェルナンデスをベストポジションで起用し、新しいGKに信頼を置くべき時が来た」。機能不全に陥っているチームの戦術を調整するだけで、現状の課題の多くが解決すると指摘しています。

彼が発表したベストメンバーは4-2-3-1。GKラメンズ、DFマズラウィ、レニー・ヨロ、デ、リフト、ドルグ。センターはカゼミーロとメイヌー、2列めにエンベウモ、ブルーノ・フェルナンデス、マテウス・クーニャ、最前線にシェシュコという布陣です。ゴールマウスには最も安定感があるGKを配するべきという主張に、異論はないでしょう。議論はここからです。

4-2-3-1にシフトするメリットとして挙げているのは、「マズラウィとドルグはWBに求められるプレイができていないので、SBにすればより機能する」「ブルーノ・フェルナンデスを10番の仕事に集中させられる」「中盤に落ち着きと合理性をもたらすメイヌーを活かせる」。最大の効果は、2人合わせても52試合でノーゴール1アシストのWBを変えられることでしょう。

マンチェスターダービーが決着した直後に「シティ戦での敗北は、ポルトガル人監督のアプローチが根本的に間違っているという懸念を深めた」とレポートした「テレグラフ」のダニエル・ゼキリ記者は、「アモリムに近いシステムでタイトルを獲得したチームを見ると、WBは15~20のゴール&アシストが必要であることがわかる」といっています。

2023-24シーズンにスクデットを獲得したインテルは、ダンフリースとディマルコで19のゴール&アシスト。同じシーズンにブンデスリーガを無敗で終えたシャビ・アロンソのレヴァークーゼンは、フリンポンとグリマルドがトータル39という驚愕のスタッツを記録しています。プレミアリーグを3バックで制した2チームも、WBの攻撃力を強みとしていました。

1994-95シーズンのブラックバーンはリプレーとウィルコックスで15、アントニオ・コンテのチェルシーはヴィクター・モーゼスとマルコス・アロンソで14。アモリムのスポルティングCPも、2023-24シーズンにエスガイオとヌーノ・サントスが18発に関与しています。対してマン・ユナイテッドは、ダロト、マズラウィ、ドルグ、ルーク・ショーを足しても4ゴール4アシストです。

ジム・ホワイト記者はドルグについて、「WBとしてゴールを演出する役割を果たせないなら、スピードとクロスを武器とするSBのほうがベター」とレポート。マズラウィも「鋭いタックルと空中戦を強みとしており、フルバックのほうがはるかに効果的」と評しています。ブルーノ・フェルナンデスがトップ下に戻れば、SBを走らせるボールも増えるでしょう。

キャプテンの問題は、「中盤センターでもパサーとして力を発揮できるが、大事な場面で10番の守備をしてしまう」ことでしょう。セントラルMFは、相手の2列めがゴール前に走り込んだら追わなければなりませんが、トップ下のプレーヤーは後方のMFやSBに受け渡すことができます。スミス・ロウとフォーデンのゴールは、彼がマークを外してフリーにしたのが直接的な原因です。

マンチェスター・ユナイテッド戦を1-1のドローで終えたフラムのマルコ・シウヴァ監督は、「彼らの守備の仕方はわかっていた。5バックからプレッシャーを受ける選手を作らなければ、中盤で優位に立てる。相手の中盤は2人なので、われわれは3人にアレックス(・イオビ)を加えてオーバーロードを狙った。それだけだ」と語っています。

指揮官の指示を受けたイオビも、「中盤と最終ラインの間に入ったとき、CBは詰めてこないとわかっていたのでスペースを狙っていた」と振り返っています。フラムとバーンリーだけでなく、すべてのチームが弱点を突いてくるでしょう。昇格クラブ以外に快勝できないのは、システムの欠陥をカバーするのに苦心し続けているうちに試合が終わるからです。

時折10番のスイッチが入るブルーノは、前に上がって過剰なプレスをかけ、相棒に広大なスペースをカバーさせるシーンもあります。この状態でメイヌーのスピード不足を嘆くのは的外れでしょう。ジム・ホワイト記者は、「スピードがないといわれたMFは他にもいる。ポール・スコールズだ」とひとこと。ダニエル・ゼキリ記者は「バレバが2人いれば解決する」といじっています。

「テレグラフ」が4バックへのシフトを主張した日に、「スカイスポーツ」のニック・ライト記者、アダム・スミス記者、トム・スティットソン記者も「ルーベン・アモリムの3バックへのこだわりが、マンチェスター・ユナイテッドにとって大きな問題になっている」とレポート。こちらも「WBの攻撃力不足」「ブルーノの守備」「詰めてこないCB」を改善ポイントとしています。

3-4‐2-1でも、中盤の負荷や守備の連携、前線への供給力不足といった課題を解決できればOKです。指揮官のなかに「適材適所」「戦術の微調整」といった発想があれば、実現できる可能性があります。とはいえ、記者のみなさんが勧めるフォーメーション変更のほうが早く確実に解決しそうですが…。またも熱くなってしまいました。リヴァプールを見て、リフレッシュします。


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“現地の記者たちが「マンチェスター・ユナイテッドは4バックのほうが機能する」と口を揃える理由。” への1件のコメント

  1. のこ より:

    面白い記事でした。ありがとうございます。
    本来、こういった話はある意味楽しいもののはずなのですが、ファンとしては状況的に全く楽しくないのが辛いところです。
    個人的には大好きなブルーノの良さが活かせず、悪いところが強調されてしまう使い方だけでも早々になんとかしてほしいです…

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