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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【MAN.UTD×Chelsea】愚かなカゼミーロ、不可解なアモリム。猛攻から一転、ドロー寸前の辛勝…!

アーセナルとマンチェスター・シティに敗れて1勝1分2敗のマンチェスター・ユナイテッドと、クリスタル・パレスとブレントフォードにドローで2勝2分のチェルシー。オールド・トラフォードのプレミアリーグ5節は、お互いに自らのレベルを測るうえでも大事な一戦といえるでしょう。解任の噂が流れるようになったルーベン・アモリムは、ホームで惨敗するわけにはいきません。

さっそくホームチームから、先発メンバーを確認しましょう。GKバユンドゥル、DFデ・リフト、マグワイア、ルーク・ショー。WBはマズラウィとドルグ、中盤センターはブルーノ・フェルナンデスとカゼミーロ、前線はエンベウモ、アマド・ディアロとシェシュコです。メイソン・マウントとマテウス・クーニャがベンチはいいとして、メイヌーとラメンズは…

対するチェルシーは、ほぼベストメンバーといえる顔ぶれです。ロベルト・サンチェス、リース・ジェームズ、トレヴォ・チャロバー、フォファナ、ククレジャ、カイセド、エンソ・フェルナンデス、エステヴァン・ウィリアン、コール・パルマー、ペドロ・ネト、ジョアン・ペドロ。開始早々から、マンチェスター・ユナイテッドが猛攻を続けています。

3分に左からアーリークロスを入れたのは、パトリック・ドルグ。ファーに入ったエンベウモのヘッドは、ロベルト・サンチェスが左に弾き出しました。マズラウィのクロスのクリアを拾ったデ・リフトがダイレクトで左に上げると、打とうとしたドルグはリース・ジェームズにトラップをカットされました。事件が起こったのは2分後、バユンドゥルのフィードがきっかけでした。

トレヴォ・チャロバーと競ったシェシュコがラインの裏に送ると、カイセドをかわしたエンベウモに向かってロベルト・サンチェスが猛然とダッシュ。ボールを浮かして抜こうとしたエンベウモが腿を蹴られて転倒し、GKは当然のレッドカードです。エステヴァン・ウィリアンは何もせずに下がり、ゴールマウスにはヨルゲンセン。ペドロ・ネトもトシンと代わったようです。

ブルーノ・フエルナンデスのFKは壁に阻まれ、リバウンドを叩いたエンベウモのボレーはリース・ジェームズに当たってCK。5-3-1になったチェルシーは、防戦一方です。マズラウィがファーにクロスを上げたのは14分。ドルグのヘッドは右に外れる弾道だったのですが、トレヴォ・チャロバーと入れ替わったブルーノがスライディングで押し込みました。

余勢を駆って2点めを狙うホームチーム。18分にドルグが左から突破を図り、アマド・ディアロとブルーノを経由したボールが右のエンベウモにまわりました。左足のコントロールショットは、クロスバーの上。雨が降りしきるオールド・トラフォードは、今季最高のハイテンションです。21分にはコール・パルマーもアウトで、アンドレイ・サントス。この時間で3枚は非常事態です。

攻撃の手を緩めないマンチェスターユナイテッドは、ここぞという場面で雑なパスやタッチが多く、打てる形を創れません。33分に右からゴールラインまで持ち込んだアマド・ディアロは、パスのコースを失ってスローダウンした後、ダブルタッチをミス。2分後、マズラウィからパスを受けたシェシュコは4対3を活かせず、アマド・ディアロの後ろに出してしまいました。

37分のショートコーナーから、ボックス左に上げたのはマズラウィ。ドルグが頭で折り返し、リース・ジェームズのクリアが真上に高く浮いたとき、ヨルゲンセンが出てくるものと思いました。しかしGKは持ち場を離れず、ルーク・ショーと重なったマグワイアが頭に当てると、右に出たボールをカゼミーロがヘディングでゴールラインに叩きつけました

40分にフォファナのバックパスを左サイドで奪ったアマド・ディアロは、クロスを味方につなげられず。何でもありの大味なゲームは、小競り合いやレフェリーへの抗議が増えており、勝っているチームのキャプテンが熱くなっています。追加タイム5分、カゼミーロが2枚めのイエローで退場。33歳のベテランは、1枚もらっていたのを忘れていたのでしょうか。

あれほど押しながら、前半のシュートは9本でシェシュコはゼロ。アモリム監督は、8回のタッチとパス成功3本というプアなスタッツしか残せなかったストライカーを下げ、ウガルテを投入しています。10人対10人となった後半は、アウェイチームのペース。どちらが勝つか、まったくわからない展開といっていいでしょう。

最前線のエンベウモに長い縦パスが入ったチャンスも、スルーパスで左のドルグが抜け出したシーンも、次のプレイの判断ミスでシュートを打てずに終わっています。63分の右からのCKをトシンがニアでフリックすると、ゴール前で押し込んだフォファナはオフサイド。マレスカ監督の最後のカードは64分、ククレジャとフォファナをタイリーク・ジョージとマロ・グストです。

アモリム監督も、マズラウィに代えてマテウス・クーニャを投入。69分にはエンベウモとマグワイアが下がり、メイソン・マウントとレニー・ヨロが入りました。80分のショートコーナーから、美しいクロスを入れたのはリース・ジェームズ。レニー・ヨロの対応が遅れ、プレッシャーがなかったトレヴォ・チャロバーがヘッドで右隅に決めました。

2-1になり、マンチェスター・ユナイテッドは5-2-2で逃げ切ろうとしています。83分、リース・ジェームズがハーフライン付近でタッチミス。奪ったブルーノは単独でボックス手前に上がり、右足でミドルを放つと、ヨルゲンセンが右に飛んでセーブしました。87分にブルーノ・フェルナンデスが下がり、コビー・メイヌー。追加タイムは7分です。

94分のリース・ジェームズの高速クロスを、バユンドゥルがジョアン・ペドロの前に弾いたときはドローを覚悟しました。ストライカーの足に当たったボールは後ろに逸れ、アンドレイ・サントスのシュートはウガルテにヒット。こう書くと25番がチームを救ったみたいですが、「ジョアン・ペドロを見失ってフリーにしたMFが、かろうじて足に当てた」という表現が妥当でしょう。

開始6分でGKと左右のウイングが消え、21分には絶対的エースがいなくなったのに2-1とは…!「昇格チームに終了間際のPKって」と唇をかんだバーンリー戦に続き、素直に喜べない勝利でした。とはいえ、デュエル全勝で12本のパスをファイナルサードに送ったマズラウィ、気迫のこもったプレイを見せたデ・リフト、序盤の猛攻をリードしたドルグを称えましょう。

彼がアンドレイ・サントスを後ろから羽交い絞めにしたとき、3バックは戻っており、前線にいたのは右サイドで出せと叫んでいたリース・ジェームズだけでした。早い時間にイエローをもらっているのにあんなことをしたら、どうなるかはわかるでしょう。ティーンエイジャーでもやらない愚かなファールが、ポイントのロストにつながらなかったことを喜ぶしかありません。

チェルシーの21分までに3人チェンジは、プレミアリーグの最短レコード。エステヴァン・ウィリアンはタッチ6回、コール・パルマーとペドロ・ネトは2回触っただけで終了となりました。GKを入れるために経験が浅いエステヴァン・ウィリアンを外したのは納得ですが、ペドロ・ネトは残したほうがよかったのではないでしょうか。

ドリブルで勝負できるウインガーがいれば、ポゼッション72%の後半はシュート3本では終わらなかったのではないかと思います。エンベウモに無謀なチャレンジをしたロベルト・サンチェスの判断ミスが最大の敗因ですが、バイノー=ギッテンス、ガルナチョ、マルク・ギウを起用できなくなったのも惜敗の要因のひとつでしょう。

アモリムのプレミアリーグ9勝のうち、PK、オウンゴール、レッドカードなしで勝ったのは2つだけです。序盤のラッシュを見て、今日こそは快勝と思ったのですが…。GKのチョイスに始まり、カゼミーロ退場後の状況を確認せずにいきなりウガルテなど、疑問が増殖する采配だらけの一戦でした。ボールタッチ9回とパス成功5本のメイソン・マウントは、何を託されたのか?

カゼミーロが去るまでの45分はひとり多かったのに、シェシュコは1本も打てず、タッチはわずか8回でした。攻撃の構造と戦術を変えなければ、どんなストライカーを獲ってきても、ホイルンドのように自信を失うだけのようです。マンチェスター・ユナイテッドは、このまま戦い続けるのか。次節はアウェイでブレントフォード。ピッチに11人を揃える難敵です。


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