2025.09.22 選手トピックス
「プレミアリーグで最高のセントラルMFはフラーフェンベルフ」…現地記者の主張にささやかな反論を。

「今シーズンは、中盤における自由度が増した。昨シーズンは6番のような役割で、深いポジションを取っていたけど、今はより前線に上がれる。この試合でも、それが表れていたと思う。自分の強みはそこにあるので、前でプレイできてハッピーだ。ゴールを決められたことにも満足している」(ライアン・フラーフェンベルフ)
モー・サラーがボックス右に落としたボールに走り込み、左隅に決めた先制ゴールはテニスのライジングショットのような難しいプレイでした。エキティケの飛び出しに合わせたスルーパスも、素晴らしいのひとこと。「テレグラフ」の記事は、プレミアリーグとチャンピオンズリーグで5試合2ゴール2アシストのMFを「ライバルより明らかに上」と評しています。
「彼の資質を説明する上で、トラディショナルな6番のコンセプトに縛られるのは限界がある。タフなタックルを繰り出すテリアのようなMFたちは、フラーフェンベルフを獰猛なボールウィナーとする考え方を笑うだろう。あるいはもっと価値を創造するパサーや、頻繁にゴールを決めるMFを挙げようとするかもしれない」
「デクラン・ライスや好調時のロドリは、身体能力とフィジカルの強さを備えているが、フラーフェンベルフのドリブル能力は持っていない。モイセス・カイセドはボールを奪う頻度が異常に高く、ピッチ上に2人いるかと思わせるが、アシストはさほど多くない。ブルーノ・フェルナンデスはチャンスを作りゴールも決めるが、深いエリアからゲームを支配する仕事はしない」
こんな話をされると、「ならば、プレミアリーグで最高のセントラルMFを選んでみましょう」とテンションが上がります。数年前までは「ロドリですけど、何か?」で終わってしまった話は、チャレンジャーが出揃った今なら白熱する議論になりそうです。熱く語るだけでも楽しいのですが、今季のスタッツを添えたほうが建設的な話になるでしょう。
まずは、リーグNo.1候補に壇上に並んでいただきましょう。アーセナルからは入団してすぐにアルテタ戦術にフィットしたズビメンディ、チェルシーの中盤に欠かせないカイセド、イングランド代表の鮮烈デビューが話題になったノッティンガム・フォレストのエリオット・アンダーソン。バルコム記者のイチ推しのフラーフェンベルフも、もちろん候補のひとりです。
トーマス・フランクのチームの守備を落ち着かせているジョアン・パリーニャ、好調クリスタル・パレスの中盤をコントロールするウォートン、カイセドとコンビを組むエンソ・フェルナンデスもエントリー資格があるといえるでしょう。一方、デクラン・ライスはもはや8番で、ブルーノ・フェルナンデスは10番と6番の間で宙吊りになっており、ロドリは回復途上です。
居酒屋のサッカー談義なら、一人ひとりについて心ゆくまで話したいところですが、今回は既に「リヴァプールのMFがNo.1」と主張している記者がいます。これに対して、ポジティブに代案を出させていただくこととしましょう。今季のパフォーマンスとさまざまなスタッツをチェックしていくと、3人が突出しています。最初に、専門サイトのレーティングを紹介しましょう。
「FotMob rating」では、フラーフェンベルフがセメンヨとハーランドに次ぐ全体の3位で8.03。モイセス・カイセドが5位で7.80となっています。ブルーノ・フェルナンデスは7.74で6位。この3人以外は上位におらず、セントラルMFの4番めとなるエリオット・アンダーソンは7.42で33位です。「Whoscored」を見ると、カイセドが7.58で3位。上にいるのはハーランドとトレヴォ・チャロバーだけです。
フラーフェンベルフはカイセドと0.01差の4位。おお、鎌田大地が13位とは…!失礼しました。中盤センターの3位は7.26のズビメンディで、総合ランキングでは25位です。カイセドとフラーフェンベルフの一騎打ちムードですが、レーティングには多分に主観も入っています。ここからは、彼らの特徴が如実に表れるスタッツを見ていきましょう。
トータルのパス本数は、417本のエリオット・アンダーソンがファン・ダイクを抑えてリーグNo.1。カイセドは328本で6位、ブルーノ・フェルナンデスは303本で11位です。スタッツとなるとカイセドとエリオット・アンダーソンの勝負で、デュエル37勝が3位のエリオット・アンダーソンに対して、カイセドはインターセプト15本とタックル成功15回がリーグTOPです。
守備に数字に傾くと、クリス・バスコム記者から「彼の強みはそっちじゃない」と叱られそうです。アタックに関する数字も見ていきたいのですが、こちらはブルーノ・フェルナンデスの得意領域です。チャンスクリエイト15回がリーグ1位、スルーパス5本は2位。シュート7本とxG(ゴール期待値)2.75、xA(アシスト期待値)0.99もセントラルMFではTOPとなっています。
マンチェスター・ユナイテッドのキャプテンは、2列めに上がることも多いので、今回のテーマにおいては割引も必要でしょう。xGでブルーノに次ぐ2位のエンソ・フェルナンデスは、ボックス内でのタッチ数16回がMFの1位で、カイセドと役割分担ができています。1試合あたりのドリブル成功は、ニコ・ゴンザレスが1.7回で全体の12位。フラーフェンベルフは1.5回で19位です。
上位にウインガーがひしめくランキングでTOP20は、中盤ではトップクラスと胸を張れるでしょう。実際のパフォーマンスと客観的な数字を重ね合わせると、フラーフェンベルフが1位という意見に「そうかも」と返しつつ、「あれだけ走って守ってパス出して、2ゴールのカイセドってスゴくないですか?」といいたくなります。
というわけで、プレミアリーグ代表チームの監督として4-3-3で戦うなら、アンカーはカイセド。4-2-3-1ならカイセドの脇にフラーフェンベルフで、サブとしてエリオット・アンダーソンとズビメンディを指名します。みなさんはいかがですか?というと、収拾がつかなくなりそうなので、各自ファミレスや居酒屋で盛り上がれる仲間とどうぞ。いや、ウォートンも捨てがたい…。
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