2025.09.23 アーセナルの話題
先発はミケル・メリノ、遅かったマルティネッリ、最後にモスケラ…アルテタは勝とうとしていたのか?

「手元に届いたチームシートには、レアンドロ・トロサールとミケル・メリノという素晴らしい選手の名前があった。アンフィールドでも同じことを考えたし、ここ数週間いい続けているのだが、監督の発言ではなくアクションに注目するべきだ。あれは判断ミスだと思う。ハーフタイムに2人も交代をするのは、プラン通りにいってないからだ」(ガリー・ネビル/スカイスポーツ)
プレミアリーグ5節、エミレーツでのマンチェスター・シティ戦は1-1のドロー。リヴァプールの連覇を阻む最大のライバルと目されているアーセナルに、厳しい声が寄せられています。「アスレティック」の記者と「スカイスポーツ」の評論家が「あまりにも保守的」と非難しているのは、デクラン・ライス、ズビメンディ、ミケル・メリノを並べた守備的な中盤です。
「アーセナルは勝つべきだった」と主張するニック・ライト記者は、「昨シーズンは、今より脆弱なスカッドで5-1で勝っている。シティは慎重になると予測できたのに、なぜ自らも慎重な布陣を選んだのか」といっています。「大事な試合で45分もムダにした」というガリー・ネビルも、ガナーズのほうが圧倒的に強いと評価しているからこそ、苦言を呈しているのでしょう。
エゼやマルティネッリをベンチに置いた指揮官への批判は理解できますが、私は中盤の人選は悪くなかったと評価しています。ブライトン戦までは厳しい状況に追い込まれていたマン・シティは、フサノフとニコ・オライリーをサイドに配したマンチェスターダービーからの2試合は、守備の安定感が高まっていました。そして何より、フォーデンとドクがキレキレだったのです。
やばいドリブラーを封じるために、アスレティック・ビルバオ戦の3人をそのまま起用したのは、リスクヘッジとしては妥当でしょう。より気になるのは、左サイドのトロサールのほうです。ミケル・メリノのスペイン代表でのゴールラッシュを見ると、左サイドを攻略した際のボックス内でのポジショニングが秀逸なのがわかります。
高さでも勝負できるレフティを活かすなら、左サイドの活性化は重要なテーマです。トロサールよりスピードで勝負できるマルティネッリや、プレイの幅が広いエゼのほうが、最初から勝負できたのではないでしょうか。先制される展開を嫌った指揮官のメンバー選択は、ハーランドの1発で裏目に出てしまいました。32分までシュートゼロだったチームには、変化が必要でした。
ハーフタイムのエゼとサカの投入は、納得の策です。最初の45分をムダにしたことより、ここからの45分で引っくり返せなかったことのほうが痛恨でした。50分のエゼから、マルティネッリの同点ゴールまでオンターゲットはゼロ。ペップの5バックは成功といわざるを得ません。アルテタ監督の次なる策が80分という遅い時間だったのが、ドローで終わった理由のひとつでしょう。
ハーランドが去ってからマルティネッリという「リアクション采配」と、追いついてからモスケラという「負けないための交代策」には、ニック・ライト記者の言葉が突き刺さります。「5月にアーセナルを優勝に導くのは、必ずしもビッグゲームではない。昨季の彼らの敗戦はリヴァプールと同数だったが、ドローは何と14試合もあった」。追いつくまで圧倒的に優勢だったのに…。
同点ゴールを決めたマルティネッリのゴールセレブレーションを咎める向きもあるようですが、タイムアップの笛は99分過ぎ。ループシュートからVARの審議完了までの90秒と、モスケラが入るまでの20秒は考慮されていました。セットピースから失点をしたくなかったため、191cmの屈強なCBを入れたのだと思われますが、勝ちにいく姿勢を見せるべき時間だったと思います。
マルティネッリのゴールシーンで前線にいたズビメンディは、歓喜に湧くチームメイトに早く戻れといっており、勝ちたい気持ちが伝わってきました。モスケラと代わった彼がピッチから出た瞬間、ガナーズの1ポイント以下が確定したといっても大げさではないでしょう。3年連続2位の指揮官は、ドローを勝利に変えて2ポイント積むより、1ポイントを確保するほうを取ったのです。
ミケル・アルテタは勝ちたいのか、負けたくないのか。リヴァプールより5つ多かったドローを本気で減らそうと思っているのか。記者や評論家と見方が違うといいつつ、結局は私も「アーセナルは、勝てる相手とのゲームでポイントを落とした」と思っていたことに気づきました。ライバルの5連勝のうち、4つは最終盤の決勝ゴール。じわじわと差が開かなければいいのですが…。
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