2025.09.28 プレミアリーグ観戦記2025-26プレミアリーグ観戦記
【Crystal Palace×Liverpool】スロットの前半の布陣は空転…無敗対決はグラスナーの劇的勝利!

対するリヴァプールは、開幕からのプレミアリーグ、チャンピオンズリーグ、カラバオカップで7連勝。そのうち6つは、ラスト10分以降の決勝ゴールという勝負強いチームです。クリスタル・パレスとの直近の戦績を見ると、昨シーズンの最終節はアンフィールドで1-1ドロー。ウェンブリーのコミュニティシールドは、2-2からのPK戦で敗れています。
今季プレミアリーグの無敗対決は、どちらが制するのか。イーグルスはベストメンバーですが、レッズは不安な布陣です。GKアリソン、DFブラッドリー、コナテ、ファン・ダイク、ケルケズ、2センターにフラーフェンベルフとマック・アリスター、2列めはサラー、ショボスライ、ヴィルツ、最前線はイサク。1億2500万ポンドのストライカーは、トップフォームではないでしょう。
期待のフロリアン・ヴィルツは、プレミアリーグのゴール&アシストは未だゼロ。左サイドで活躍するイメージはありません。ドラムの軽快なリズムと爆音のチャントが聞こえるセルハーストパークのスタンドに比して、立ち上がりのピッチは静かな展開です。サラーのサイドにボールが出ると、ヴィルツは中央のスペースに入ってパスを呼び込もうとしています。
9分に左からCKを蹴ったのは鎌田大地。ファーでマーク・グエイと競ったフラーフェンベルフの頭に当たったボールがゴール前にこぼれ、イスマイラ・サールが右足ボレーでネットに突き刺しました。さらに11分、コナテに詰めた鎌田大地がボールを突き、ショートカウンターが発動。マテタが右のイスマイラ・サールに預けると、縦に突破した7番が鋭いグラウンダーを入れました。
ファーに走り込んだジェレミ・ピノのダイレクトショットは、右に反応したアリソンがビッグセーブ。スタンドで倒れた観客への医療措置の後、18分のサラーのFKは壁に当たり、こぼれ球をトラップしたフラーフェンベルフの強烈なミドルはディーン・ヘンダーソンが素晴らしい反応で右手に当てました。ポストを弾いたボールを拾ったケルケズの左足ボレーは、バーの上です。
22分のホームチームの決定機は、ラクロワのロングフィードをゴールラインまで持ち込んだタイリック・ミッチェルの折り返しが完璧でした。左足で合わせたムニョスの一撃は、またもアリソンが右腕でセーブ。1分後、ウォートンの縦パスを追ったマテタがコナテを抜き去り、絶好調の守護神と1対1になりますが、右隅を狙ったフィニッシュは左足でブロックされました。
リヴァプールの布陣は、イサクが左に流れるシーンが多いため、中に絞るヴィルツが偽9番のように見えます。イサクがセンターに戻ると、ケルケズの前にはムニョスとクリス・リチャーズがいて、攻略は望むべくもありません。ファン・ダイクの速いフィードを、サラーが頭でボックス右に落としたのは28分。GKと1対1になったイサクはかわしきれず、右に外してしまいました。
30分過ぎからは、サラーとイサクが2トップ。ヴィルツが動き回ると、やはり左サイドが手薄になります。38分のCKをニアで合わせたコナテのヘッドは、右にアウト。ヴィルツを前線の手前で活かそうとするシステムは、左のカバーを強いられるマック・アリスターが強みを殺されているように感じられます。イーグルスが5度めのチャンスを創ったのは、追加タイム6分でした。
左からラインの裏に抜けたイスマイラ・サールが中に斬り込み、パスを受けたウォートンがマテタに落とすと、右足のコントロールショットは右のポストにヒット。2分後のロングスローからの二次攻撃で、空中戦で競り勝ったウォートンがボックス左に浮かすと、マテタの左足ボレーはバーすれすれを抜けていきました。
前半のポゼッションは29%対71%ですが、シュート数は10対6でオンターゲットは4対2。アリソンの再三のビッグセーブがなければ、3-0になっていたかもしれません。スロット監督がハーフタイムにブラッドリーをガクポに代えたのは、45分の試行錯誤を失敗だったと認めたからでしょう。ショボスライが右SBに入り、ヴィルツはトップ下のようです。

64分、マック・アリスターのスルーパスでボックス左に入ったイサクは、2人をかわして打ったシュートが右に逸れていきました。直後、マック・アリスターに代わってカーティス・ジョーンズ。70分に左からのクロスがイサクに届くと、ヘディングシュートははクロスバー越え。74分にヴィルツとコナテに代わって入ったのは、フリンポンとフェデリコ・キエーザです。
惜しかったのは、76分の波状攻撃。ケルケズのクロスがファーに流れ、ショボスライの右足のワントラップボレーは左隅へ。サラーがGKの前で触ってクリアしなければ、サイドネットに決まっていたはずです。84分にイサクが下がり、17歳のエングモア。87分にフラーフェンベルフが中央に浮かすと、クリス・リチャーズのクリアがフェデリコ・キエーザの足元に入りました。
好調の14番のダイレクトショットが左隅に決まり、ついに同点。クロスがサラーの左手に当たっていたとジャッジされたら、エースが1試合で2ゴールも台無しにする珍事となるところでした。同点ゴールが認められた瞬間、猛攻が実ったリヴァプールが勝つと思いました。追加タイムは6分。今の彼らにとっては、充分といえる時間でしょう。
序盤に首尾よく先制した後、決定的なシュートを4本放ったチームが最後に逆転されるシーンは、できれば見たくないとも思っていました。両者ともシュートなきまま、タイムアップの時間が近づいています。97分にカウンターを仕掛けたエンケティアが右に出したパスに誰も反応できず、ケルケズがクリア。レルマはロングスローを入れるようです。
ニアでクリアしたのはファン・ダイク。ウィル・ヒューズが頭で中央に送ると、マーク・グエイとカーティス・ジョーンズが競ったボールが左に流れました。胸トラップしたのは、フリンポンの外にいたエンケティア。ワンステップで落ち際を叩いた左足のボレーはパーフェクトで、名手アリソンの股間を抜けてネットを揺らしました。
VARがオフサイドを否定し、キックオフから間もなくタイムアップ。クリスタル・パレスが劇的な勝利で唯一の無敗チームとなり、昨季プレミアリーグ王者との差を3ポイントに詰めました。ポゼッションは28%、シュート数は16対20と劣勢を強いられながら、オンターゲットは7対4。イスマイラ・サールはレッズ戦で3試合連続ゴールで、直近の2勝1分の立役者となっています。
決勝ゴールを生み出したレルマ、ウィル・ヒューズ、エンケティアは途中出場と、グラスナー采配が的中した一戦。シュート36本の激闘は、ホームチームが勝者にふさわしかったというべきでしょう。最終ラインは終始冷静で、ラクロワの地上のデュエルは勝率100%、マーク・グエイは4戦3勝。クリス・リチャーズとWB、セントラルMFも全員50%以上です。
敗れたリヴァプールはサラーが精彩を欠き、前線を動かせなかったヴィルツは自らの決定機も逃してしまいました。来週はチェルシー、その次はマンチェスター・ユナイテッド。イサク、サラー、ヴィルツの連携とセットピースの守備を改善できなければ、ペップとアルテタにかわされてしまう可能性が高まります。課題を認識しているはずの指揮官の対応策に注目しましょう。
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