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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Chelsea×Liverpool】18歳の決勝ゴール、5試合で4枚めのレッド…事件だらけのチェルシーが劇的勝利!

追加タイムは7分とアナウンスされると、スタンフォード・ブリッジに詰めかけたブルーズのサポーターから歓声が挙がりました。ラヴィアがバイノー=ギッテンスに通したスルーパスや、カイセドのきわどいミドルなど惜しいシーンが続いており、この展開ならリヴァプールに勝てるという期待と手応えが大きかったからでしょう。

90分を終えて、スコアは1-1。このままタイムアップなら、リヴァプールはアーセナルに首位の座を明け渡し、チェルシーはロンドンのライバルに7ポイント差となってしまいます。カイセドからラヴィア、エステヴァン・ウィリアンと右につながったのは91分。18歳のウインガーが左足に持ち替えてファーに上げると、外から走り込んできたのはエンソ・フェルナンデスでした。

ヘディングがうまい8番は、やや後ろに出たボールをうまく頭に当てたのですが、ボールはニアポストを叩いてゴール裏はため息に包まれました。両者ともにラインは間延びし、オープンな展開となっており、すぐにでもカウンターが決まりそうな雰囲気です。93分にガクポから奪ったエステヴァン・ウィリアンは、エンソ・フェルナンデスへのフィードが長くなってしまいました。

94分に右サイドのサラーが斜めのパスを出すと、エキティケがスルーし、カーティス・ジョーンズがボックス右に抜け出しました。裏を取られたカイセドは追いつけず、しかしフリーで打った右足のシュートはロベルト・サンチェスの頭上にアウト。緊張した面持ちでピッチを見渡すスロット監督に対して、ハイテンションのマレスカ監督は、しきりに大声で指示を出しています。

95分に左サイドでキープしたエキティケが、内側から追い越していったロバートソンに縦パスをフィード。中央のヴィルツにグラウンダーが通れば決定機だったのですが、体を寄せたカイセドがつぶしました。直後、バイノー=ギッテンスのパスが、ボックスの左手前にいたエンソ・フェルナンデスへ。カーティス・ジョーンズとショボスライが2人がかりで対応しています。

これは後ろのラヴィアに戻すしかないかと思った瞬間、遠藤航の裏に入っていたククレジャに絶妙なスルーパスが通りました。日本代表のキャプテンは出し抜かれ、高速のグラウンダーがゴール前を横切ります。逆サイドでパスが出る直前に、両手を膝に置いていたロバートソンも対応が遅れ、外にいたエステヴァン・ウィリアンのスライディングシュートがネットを揺らしました。

スタンフォード・ブリッジは絶叫!殊勲のティーンエイジャーはコーナーフラッグに向かって疾走し、マロ・グストが後ろから羽交い絞めにしています。チェルシーはここからもうひとつ、快挙…いや、怪挙を達成しました。ゴールを見届け、感極まってタッチライン沿いをスプリントしたマレスカ監督が、マロ・グストを抱きしめています。

40分にもらったイエローを忘れていたのでしょうか。戻ってきた指揮官に近づいた主審のアンソニー・テイラーは、容疑者に警察手帳を確認させるのように赤いカードをチラ見せし、トンネルを指差しました。マンチェスター・ユナイテッド戦でロベルト・サンチェス、ブライトン戦はトレヴォ・チャロバー、ベンフィカ戦ではジョアン・ペドロ…5試合でレッド4枚は前代未聞です。

よりによって、向こうのベンチにいるのはアルネ・スロット。カラバオカップのサウサンプトン戦で、決勝ゴールをゲットしたエキティケがシャツを脱いで2枚めのイエローをもらったとき、「愚かな行為」と切り捨てた監督です。敗軍の将は、「2つ年下の愚か者」をどんな思いで見ていたのでしょうか。

2-1の劇的な勝利の後、プレスルームに現れたのはアシスタントコーチのウィリー・カバジェロでした。「50ヤードをスプリントした指揮官は息が上がらなかったのか」と問われ、「大丈夫」と繰り返した腹心は、「彼はとても喜んでいた。記者会見を頼む、選手たちの今日のがんばりをほめてほしいといっていた」と付け加えています。

プレミアリーグでマンチェスター・ユナイテッドとブライトンに連敗したチェルシーも、クリスタル・パレスとガラタサライにアウェイで敗れたリヴァプールも、負けられなかった一戦。14分という早い時間に、カイセドがゴール左上に突き刺さるスーパーミドルを決めたチェルシーは、最初の45分でオンターゲットを許さず、1-0で折り返しました。

ガクポがボックス左を突破した19分のピンチは、ショボスライのボレーをバディアシルがブロック。44分には、サラーが左足アウトにかけたアーリークロスがイサクの頭に届くも、ボールはバーを越えていきました。スロット監督は、ハーフタイムにブラッドリーを下げてヴィルツを投入。後半開始早々のレッズの決定機は、勝負のターニングポイントだったのかもしれません。

左から仕掛けたガクポが中に転がすと、後ろに出たボールをターンしながら右に送ったのはヴィルツ。フリーだったサラーは、ククレジャのスライディングを気にしたのか、右足のダイレクトショットを外しました。プレーメイカーの芸術的なパスをエースが決めていれば、テンションが上がったアウェイチームが一気に逆転する展開もあったのではないかと妄想してしまいます。

立ち上がりの危機を切り抜けたチェルシーは、55分のバディアシルの負傷リタイアをきっかけに、窮地に追い込まれました。63分にゴールライン際からクロスを入れたのはショボスライ。ゴールに背を向けながら右足で引っかけたイサクのタッチが絶妙で、ロベルト・サンチェスの前に落ちたボールをガクポがプッシュして同点となりました。

1-1となった5分後、アチャンポンが負傷でアウト。5人のCBを失ったチェルシーは、リース・ジェームズとジョエル・ハトという急造コンビでラスト20分を過ごすことになりました。この布陣でサラー、エキティケ、ヴィルツ、ガクポのアタックを封じたのが、よほどうれしかったのでしょう。75分のエステヴァン・ウィリアンとバイノー=ギッテンスの投入も最後に結実しました。

公式戦3連敗となったリヴァプールは、これからの4戦がマンチェスター勢とアストン・ヴィラ、ブレントフォードという厳しい相手となります。対してチェルシーは不振のノッティンガム・フォレスト、昇格組のサンダーランド、最下位ウルヴスと与しやすいチームが揃っており、アウェイのスパーズ戦以外はポイントを稼げそうです。

首位に立ったアーセナルは、フラム、クリスタル・パレス、バーンリー、サンダーランド。2試合連続で終了間際に決勝ゴールを喰らったレッズは、不振の前線とコナテを失った最終ラインを改善できなければ、ライバルたちに引き離されてしまう可能性があります。インターナショナルブレイクは、巻き返しのきっかけになるのでしょうか。次節のマン・ユナイテッド戦に注目です。


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