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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

【Nottingham Forest×Chelsea】決定機を逃し続けたフォレスト、FKとCKから3失点で指揮官解任!

崖っぷちに立っていたアンジェ・ポステコグルーにとって、千載一遇のチャンスでした。コール・パルマーとエンソ・フェルナンデスが負傷欠場で、カイセドはベンチスタート。チェルシーの中盤は、明らかに枚数が不足しています。エンツォ・マレスカ監督は、マロ・グストとラヴィアをセンターに並べ、トップ下にアンドレイ・サントスを配しています。

最終ラインはリース・ジェームズ、アチャンポン、トレヴォ・チャロバー、ククレジャ。CBのバックアッパーはジョエル・ハトだけです。コルウィルはシーズンアウト、バディアシルの復帰は12月で、ウェズリー・フォファナの欠場の理由は不明。まともなのは前線だけで、ペドロ・ネト、ジョアン・ペドロ、ガルナチョという顔ぶれです。

リヴァプール戦でレッドカードをもらった指揮官はサスペンデッド。ポステコグルーの就任以来、2分5敗と苦しんでいるノッティンガム・フォレストは、5-3-2という守備的な布陣で戦うようです。開始1分、マロ・グストのバックパスをさらったアウォニイは、左から打ったシュートがタッチミス。チェルシーは3分のビルドアップでも、自陣でロストしています。

ペドロ・ネトがボックス右に持ち込んだのは4分。3人を引き付け、外にいたマロ・グストがクロスを入れると、GKセルスが弾いたボールに反応したアンドレイ・サントスは打ち上げてしまいました。ドゥグラス・ルイスがラヴィアから奪った7分のショートカウンターは、アウォニイにパスが通らず。トレヴォ・チャロバーがギブス=ホワイトにパスを出してしまったのは9分でした。

10番が左に転がしたラストパスに走り込んだエリオット・アンダーソンは、切り返しで体勢を崩してしまい、打てずに終わっています。攻めあぐんでいたチェルシーは、不安定なビルドアップを修正できず、19分に致命的なミスを犯してしまいました。最後方にいたアチャンポンが左に出したパスを、ラヴィアがトラップミス。カットしたのはアウォニイです。

ダイレクトのラストパスを足元に収めたギブス=ホワイトは、枠に入れれば決まりだったのですが、右足で巻いたフィニッシュは左のポストの外。慌ててしまったとしか、いいようがなさそうです。さらに1分後、高く上がったクリアがバウンドすると、アチャンポンが目測を誤り、つま先で浮かしたボールを追ったドゥグラス・ルイスはフリー。ゴール前は2対1だったのですが…。

ドゥグラス・ルイスが頭で送ったラストパスは、走り込んだギブス=ホワイトがぎりぎりで触れるボールで、右足のジャンピングボレーは枠にいきませんでした。「ボスのクビがかかった一戦」という看板が、彼らから冷静さを奪ったのでしょうか。3-0でもおかしくなかった展開で、ひとつでも決めていれば、違う結果で終わっていたでしょう。

27分、右からのFKを蹴ったのはドゥグラス・ルイス。ゴール前に走り込んだアウォニイはうまくタッチできず、左から上がったムリーリョの折り返しは、ロベルト・サンチェスの守備範囲に飛んでしまいました。チェルシーの最初のシュートは29分、リース・ジェームズのFKはセルスがキャッチ。これが合図だったかのように、ホームチームはチャンスを創れなくなりました。

32分に右から打ったペドロ・ネトのシュートも、セルスの正面。42分にジョアン・ペドロの絶妙な浮き球でラインの裏に出たアンドレイ・サントスは、決定的なシュートを右に外してしまいました。前半のポゼッションは47%対53%、シュートは3対5、オンターゲットは0対2。スタンドで観戦していたチェルシーの指揮官は、チームに関与できる唯一の機会を最大限に活用しました。

ハーフタイムにアンドレイ・サントス、ガルナチョ、ラヴィアを下げ、カイセド、マルク・ギウ、バイノー=ギッテンスを投入。ポステコグルーも、チャンスを活かせなかったアウォニイを諦め、イゴール・ジェズスを送り出しています。カラバオカップのスウォンジー戦で2発、ELのレアル・ベティス戦でも2発のストライカーを、なぜ先発させなかったのでしょうか。

勝負のターニングポイントは、後半開始直後の7分間でした。FKの二次攻撃から、ペドロ・ネトが左サイドを突破したのは49分。クロスが上がった瞬間、中央のマークはずれていました。フリーだったアチャンポンのヘッドがネットに突き刺さり、チェルシーが先制。指揮官に高く評価されている19歳のCBは、プレミアリーグ初ゴールです。

さらに50分、ボックス手前でパスをもらったマルク・ギウの足をモラトが引っかけてFK。リース・ジェームズが角度を変えるために触ると、4枚の壁が分裂してしまい、ペドロ・ネトのシュートの強烈なシュートが間を抜けてきました。虚を突かれたセルスは弾き切れず、0-2。スタンドにいたエヴァンゲロス・マリナキスオーナーは、表情を変えずにピッチをにらんでいます。

ドゥグラス・ルイスに代わってハドソン=オドイ。今のフォレストに、2点差をひっくり返すパワーはないでしょう。いいプレイに盛大な拍手を送っていた誠実なサポーターたちは、静かになってしまいました。57分にモラトに体をぶつけ、GKと1対1になったマルク・ギウは、笛が鳴った後にムリーニョに突き飛ばされても冷静でした。負傷者が続出しているなかで、レッドカードでチームを苦しめるわけにはいきません。

61分、ジンチェンコの素晴らしいクロスがファーのネコ・ウィリアムズへ。右足インサイドのボレーはバーを越え、SBは頭を抱えています。65分のCKから、ミレンコヴィッチのヘッドが左隅に向かうと、ロベルト・サンチェスがビッグセーブ。こぼれ球に先着したサンガレのシュートも、プレミアリーグ屈指のショットストッパーが上に弾き出しました。

スタンドを後にしたエヴァンゲロス・マリナキスは、指揮官の解任を決断したのでしょうか。ハドソン=オドイが中央にクロスを入れたのは70分。イゴール・ジェズスが右足を伸ばして叩きつけると、ボールはバーとポストを次々に叩いて戻ってきました。クリス・ウッドが登場したのは74分。ヌーノのチームで絶対的エースだった11番は、新監督の下ではノーゴールです。

78分にペドロ・ネトが下がり、絶賛売り出し中のエステヴァン・ウィリアン。81分には殊勲のアチャンポンに代わり、トシンが最終ラインに入りました。時折静寂が訪れるシティ・グラウンド。勝負が決したのは84分でした。右からのCKをセルスがパンチすると、落下点にいたリース・ジェームズが難なくど真ん中に叩き込みました。

3つめの失点を見届けたサポーターが、続々とゲートに向かっています。86分、ネコ・ウィリアムズをスライディングで倒したマロ・グストに2枚めのイエロー。3点リードで、敵陣でドリブルを始めたSBに必要な対応ではありません。プレミアリーグで4試合連続、チャンピオンズリーグも入れると5戦連続のレッドカードは、ネタがほしいメディアと次の相手を喜ばせるだけです。

追加タイムは5分。赤いシートが目立つスタジアムは、チャントのボリュームが上がっています。次のゲームはないと悟っていたはずのポステコグルー監督は、最後までピッチの脇で指示を送っていました。タイムアップとともにブーイング。xGは2.35対1.67とホームチームが上回っていたのですが、3回のセットピースを活かしたアウェイチームが3ポイントを積み上げました。

ピッチに立ち尽くし、スタンドを見つめていたポステコグルー監督は、何を思っていたのでしょうか。クラブが解任を発表したのは、戦いの終わりを告げるホイッスルから18分後でした。「一連の残念な結果」「即時解任」といった強い表現を見ると、「ヌーノと真逆の戦術を用いる監督を選んだオーナーのほうが残念では?」とツッコミを入れたくなります。

「千載一遇のチャンス」を得たのは、これほど厳しい布陣でも勝てる相手と戦ったチェルシーのほうだったようです。1億ポンドのコンビを欠くと、こうなるのかと思い知らされた一戦。シュートをことごとく外した相手に助けられた感はありますが、後半開始直後の2ゴールを生み出したペドロ・ネトと、自らの役割を果たしたククレジャ、キャプテン、守護神を称えましょう。

コール・パルマー、エンソ・フェルナンデス、リアム・デラップ、バディアシルらを欠いたチェルシーは、次節のサンダーランド戦も、今日のメンバーをベースとして戦わなければなりません。マレスカ監督は、ぎこちなかったビルドアップと中盤のパスワークを修正できるでしょうか。目下の推しは、マルク・ギウとエステヴァン・ウィリアンです。次こそ、ゴールを!


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