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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

マンチェスター・ユナイテッドやクリスタル・パレスが徹底的に狙った「リヴァプールの弱点」とは?

ユナイテッドと対戦するとしよう。クオリティが高い選手を揃えているにもかかわらず、ローブロックを敷いてロングボールを多用してこられたら、1-0でリードされる展開は最悪だ。彼らにさらなる自信を与えてしまう」。マンチェスター・ユナイテッド戦の試合後に、相手の戦い方を嘆いたアルネ・スロット監督は、リヴァプールの現状の弱点を認識しているようです。

プレミアリーグ開幕から5連勝の後、4連敗。リヴァプールの突然の変調について、多くのメディアがその要因をレポートしています。イサク、ヴィルツ、ケルケズら新戦力の停滞、サラー、コナテ、マック・アリスターの不振…さまざまな指摘がありますが、「アレクサンダー=アーノルドの離脱」「ロングボール戦術への対応」は、事実ベースで説明できる弱点です。

2024-25シーズンのプレミアリーグで、アレクサンダー=アーノルドがサラーに通した147本のラインブレイクパスは、ヨシュコ・グヴァルディオルからジェレミー・ドクへの108本を大きく上回るリーグTOP。相手の守備ラインを完全に崩した37本も、イオビからアントニー・ロビンソンの29本を凌駕するぶっちぎりの1位です。精度の高いフィードは、エースの量産の源でした。

対して今季は、SBからのフィードが激減しています。自らが前にいきたがるフリンポンはゼロ、ショボスライもSBに入るとゼロ。ブラッドリーのパスの大半はサラーを縦に走らせるボールで、ヴィルツとの連携はうまくいっているとはいえません。それでもアレクサンダー=アーノルドの弱点だった守備が強化されていればいいのですが、9節までで既に14失点を喫しています。

失点の要因を探ると、指揮官の言葉にある「ローブロックとロングボール」が浮かび上がってきます。2025-26シーズンのリヴァプールは、リーグ最多の571本のロングフィードを入れられています。2位のボーンマスは525本で、3位ニューカッスルは495本、4位マンチェスター・シティは475本。2位以下との差は大きく、対戦相手が意図的に活用しているのは明らかです。

試合別のランキングを見ると、1位がリヴァプールVSマンチェスター・ユナイテッドの75本で、2位はクリスタル・パレスVSリヴァプールの71本。3位はボーンマス戦の70本で、TOP3はすべて「リヴァプールが被害者」です。チェルシー戦の67本も7位に食い込んでおり、厳しいプレスを無力にする対抗策として定着しつつあります。

アンフィールドでのマンチェスター・ユナイテッドは、294本のパスのうち75本が30メートルを超えていました。ロングボール比率25.5%は、過去7シーズンで最多となっています。ファン・ダイクは今季プレミアリーグの空中戦46勝が最多で、コナテは35勝で3位。勝率が70%を超えるCBコンビがいるのに、前線へのフィードを繰り返すのは「セカンドボールを奪えるから」です。

このあたりも、SBのリニューアルの影響が大きいようで、ケルケズとフリンポンはクロスへの対応も課題となっています。ニューカッスル戦でヘッダーを決めたブルーノ・ギマランイスに対してケルケズは何もできず、クリスタル・パレス戦ではフリンポンがエンケティアをフリーにしてしまいました。セットピースから7失点、ロングスローから3失点も改善すべきポイントです。

セットピースは失点に直結しているのですが、ロングボールからガンガン決められているわけではなく、リヴァプールの攻撃のリズムを壊す効果のほうが大きいと見るべきでしょう。1-5で圧勝したフランクフルト戦は、ロングボールを38本しか受けておらず、最終ラインは守りやすかったようです。次節のヴィラも、マン・ユナイテッドやクリスタル・パレスの戦い方を参考にするでしょう。

サラーの停滞やイサクとヴィルツのノーゴールが目を引きますが、プレミアリーグの16ゴールは、最多ゴールのマン・シティ、スパーズ、チェルシーとひとつしか差がありません。僅差の敗戦をできるだけ早く減らすなら、14失点のほうに着目したほうがいいでしょう。セットピースとロングフィード。スロット監督の改善策に注目しましょう。


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