2025.10.31 チームの話題(全体・他クラブ)
	
「計画と戦術」…最終ラインの主力4人を引き抜かれたボーンマスが2位にジャンプアップした理由。
 ディーン・ハイセンは5000万ポンドでレアル・マドリード、イリア・ザバルニーは5450万ポンドでパリ・サンジェルマン、ミロシュ・ケルケズは4000万ポンドでリヴァプール。ケパ・アリサバラガはベンチが定位置になるのを承知で、アーセナルを選びました。昨シーズンのプレミアリーグで9位に食い込んだボーンマスは、最終ラインの主力4人を失い、新シーズンに突入しました。
ディーン・ハイセンは5000万ポンドでレアル・マドリード、イリア・ザバルニーは5450万ポンドでパリ・サンジェルマン、ミロシュ・ケルケズは4000万ポンドでリヴァプール。ケパ・アリサバラガはベンチが定位置になるのを承知で、アーセナルを選びました。昨シーズンのプレミアリーグで9位に食い込んだボーンマスは、最終ラインの主力4人を失い、新シーズンに突入しました。ラヤ、サリバ、ガブリエウ、カラフィオーリを一気に売却したら、グーナーは激怒するでしょう。リヴァプールがファン・ダイクとコナテを同時に欠いたら、大ピンチです。チェルシーはレヴィ・コルウィルがシーズンアウトとなっただけで、最終ラインの人選に苦慮しています。アンドニ・イラオラ監督の3年めは、闇夜の船出となってしまいました。フツーなら、降格候補です。
アンフィールドの開幕戦は、リヴァプールに4-2で敗戦。カウンターからのセメンヨの2発で追いついたものの、最終盤にフェデリコ・キエーザとサラーに決められ、不安だらけのスタートとなりました。ホーム初戦はタヴァーニアの4分のゴールで1-0で勝ったものの、相手は戦力不足のウルヴスで、後半は11対10。今後が楽しみといえるゲームではありませんでした。
期待感が高まったのは、3節のトッテナム・ホットスパー・スタジアムでビッグ6を撃破してからです。開始5分にエヴァニウソンが決めてリードしたボーンマスは、ポゼッション39%と主導権を握られながら、カウンターとセットピースから次々とチャンスを創出。マン・シティに完勝したばかりだったチームを、シュート数5対20と圧倒しました。
その後の6試合も着実にポイントを積み上げ、プレミアリーグ9試合で5勝3分1敗。リヴァプール、マンチェスター・シティ、チェルシーをかわして2位にジャンプアップしています。新たな最終ラインは9試合で11失点。昨シーズンの同時期と変わらず、ひとつしかなかったクリーンシートは4試合に増えています。16ゴールは、マン・シティ、チェルシー、スパーズに次ぐ数字です。
最終ラインを破壊されたイラオラのチームが、上位に進出できたのはなぜでしょうか。躍進の理由を探った「テレグラフ」のジェイソン・バート記者は、「planning and strategy(計画と戦略)」といっています。最大のポイントは売却と補強で、成長を遂げた選手を引き留める力はないと自認しているクラブは、1月から後釜探しを始めていたそうです。
ビッグクラブから注目されていたディーン・ハイセンとケルケズの退団を覚悟し、冬のマーケットで20歳のCBフリオ・ソレルを獲得。同時に、レンヌでプレイしていた左SBのアドリアン・トリュフェの交渉もスタートさせています。ハイセン売却が不可避となった4月には、新チームの4バックの主軸となるディアキテの争奪戦にエントリーしました。
最終的にサンダーランドとのバトルとなったディアキテは、移籍金が3460万ポンドまで上がってしまいましたが、唯一の想定外の売却だったサバルニーの収益で相殺。さらに、ツルヴェナ・ズヴェズダで評価を高めていた18歳のヴェリコ・ミロサヴリェヴィッチと、度重なる遅刻でミランに居づらくなっていたアレックス・ヒメネスを獲得して、最終ラインを万全にしています。
ダンゴ・ワッタラを手離せたのは、ロリアンのFWイーライ・ジュニア・クルーピを1月に引き入れていたからです。ブレントフォードから手に入れた4000万ポンドは、レヴァークーゼンのアドリとリヴァプールのベン・ドークを押さえる原資となりました。2024-25シーズンのリーグ・ドゥで30試合22ゴールのクルーピは、直近のプレミアリーグ3試合で4ゴールと絶好調です。
売却OKとNGを明確に分けていたクラブは、タヴァーニアー、デヴィッド・ブルックス、ジャスティン・クライファートへのオファーはすべて拒否しています。マン・ユナイテッドとスパーズの争いとなっていたセメンヨを残留させたのは、「1年後のほうが高く売れるから」。ハーランドに次ぐ6ゴールを決めている快足ウインガーは、既に4000万ポンドでは獲れなくなっています。
主力の離脱は、「ウチで成功すればビッグクラブをめざせる」というアピールに変換されているようです。年明けから8ヵ月がかりのプランで、スカッドの入れ替えを完了。最終ラインを早期に再構築したイラオラ監督は、戦術をバージョンアップさせました。豊富な運動量をベースとしたカウンタープレスと、機敏なトランジションは継続。カウンターからの5ゴールは、今季プレミアリーグでNo.1です。
最終ラインに目を向けると、昨シーズンの後半戦の大半を欠場したセネシのロングフィードが攻撃の起点となっています。総本数128本と成功53本は、いずれも2位を大きく引き離すリーグTOP。前からのプレスで相手のラインを下げて、陣形を間延びさせたところにロングフィードを入れ、セカンドボールを奪ってサイドに展開するのが常套手段です。
「アスレティック」のトム・ハリス記者は、ボーンマス躍進の理由のひとつとして、新戦力の加入と若手の成長によるパスワークの改善を挙げています。ポゼッションが50%を超え、9本以上のパスシーケンスが1試合あたり9.2から11.7に伸びたのは、「冷静にボールをまわせるトリュフェとディアキテに加えて、22歳のアレックス・スコットが中盤に定着したから」だそうです。
ボールをキープする時間を作れるようになり、終盤に追いつかれてポイントを失うゲームが減った結果、2位に食い込むことができたというお話です。イラオラ監督は、本拠地バイタリティの収容人数が11300人という小さなクラブを欧州に導くことができるでしょうか。次節はマンチェスター・シティ。昨シーズンのプレミアリーグは、1勝1敗のイーブンです。
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