イングランドのプレミアリーグ(ときどきチャンピオンズリーグ)専門ブログ。マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、リヴァプールetc.

偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

「ボックスに入ったら、デクラン・ライスを信じてる」。左からのCKの凄さを語る3つのランキング!

「クレイジーだ。セットピースのキッカーになるためにここに来たわけじゃない。でも、マネージャーとセットピースのコーチが、僕の才能を見出したんだ。自分よりも彼らのほうが、信じてくれていた気がする。それでも実際に蹴る機会が増えるにつれて、自信がついてきた。彼らの期待に応えられると気づいたんだ」

子どもの頃のアイドルは、デヴィッド・ベッカム。レアル・マドリードの23番のシャツを大事にしていたというMFは、彼の偉大な記録を視界に捉えています。マンチェスター・ユナイテッドにおけるベッカムのCKからのアシストは13。既に10アシストのデクラン・ライスは、今シーズンが終わる前にスリーライオンズのレジェンドを抜き去ってしまうかもしれません。

プレースキッカーとしての能力に着目したのは、ミケル・アルテタかニコラ・ジョバーか。ウェストハムに支払った1億500万ポンドに、セットピースからのキックの価値は入っていなかったはずです。最初の半年は、左右からのボールを決める側にいました。CKを任されたのは、2024年1月。それ以来、アーセナルが左からアウトスイングのボールを入れたことはありません。

デクラン・ライスがコーナーフラッグの脇にボールをセットするようになってから、1年10ヵ月が経ちましたが、この間のアシストランキングを見ると、彼のキックがいかに脅威になっているかがよくわかります。プレミアリーグの10アシストは2位の2倍で、マック・アリスター、アンドレアス・ペレイラ、ブルーノ・フェルナンデス、エランガ、マクニールは5アシストです。

ヨーロッパの主要リーグを見渡しても、モナコのラミン・カマラは8アシスト。プレミアリーグにおけるCKの成功率のデータは、過去20年しか残っていないようですが、ここでもデクラン・ライスは4.9%でランキングのTOPに立っています。2位は3.7%のクリス・ブラントで、3位は3.6%のウェイン・ルーニー。現役ではマクニールの3.1%が2番めです。

CKだけでも秀逸な数字を残しているセントラルMFは、どこからでも危険なボールを蹴れるようになっています。昨シーズンのCLのレアル・マドリード戦で決めた鮮やかな2発や、先日のアトレティコ・マドリード戦でガブリエウに合わせた絶妙なFKなどを加えたら、その価値はさらに膨れ上がります。今やプレースキックだけでも、高額な移籍金は回収したといえるでしょう。

右からのCKを担当するブカヨ・サカとデクラン・ライスは、狙うエリアが異なっています。レフティのキックはニアがメイン。対して41番はセンターとファーが6割で、ショートコーナーが2割弱となっています。当初は「改善」でしかなかったニコラ・ジョバーの緻密な戦術が、世界一の武器に昇華したプロセスは、2人のキッカーを抜きにして語れないでしょう。

「テレグラフ」のサム・ディーン記者が、2人のチームメイトのコメントを紹介しています。「彼がボールにかけるスピンは、これまで見た中でも最も強烈なものだ。圧倒的なパワーが込められている」と激賞するのは、イングランド代表でともに戦うジョーダン・ピックフォード。クラブで同じサイドを担うルイス=スケリーは、「真価は安定感」といっています。

「デックが蹴ると、必ず望むところにいく。自分にとっては当然だけど、それは間違っているのだろう。本来は信じられないことだから」。unbelievableという言葉を使っている選手が、もうひとりいます。「ボックスに入ったら、デクラン・ライスを信じてる。だけど彼は信じられないほどすごい」。左からのボールを何度もゴールに収めてきたガブリエウの言葉はリアルです。

セットピースの王者となりつつあるデクラン・ライスに期待したいのは、プレミアリーグのビッグ6や欧州の強豪との大事なゲームでFKを直接叩き込むこと。伝説と化した2発を再現できれば、その足跡を称える言葉は子どもの頃のアイドルに近づいていきます。週末のバーンリー戦は、そっちに注目しましょうか。ボックスの手前からのFK。脇にいるサカが何かを囁いて…。


おもしろいと思っていただけた方は、お時間あれば、下のブログランキングバナーをクリックしていただけると大変うれしいです。所要時間は5秒です。何とぞよろしくお願いいたします!


コメントを残す