謎のニヤリ、やばいジョーク、指揮官の裏話…エゼのハットトリックに関するエピソードをチェック!
2025年5月11日、トッテナム・ホットスパー・スタジアム。彼の2ゴールでクリスタル・パレスが快勝した一戦です。前半終了間際にムニョスのグラウンダーを無人のゴールに叩き込んだ10番は、駆け寄ってきたタイリック・ミッチェルを一瞥してニヤリと笑いました。ただし、あのとき口元を覆った黒いグローブは、左手でした。
勝負を決するハットトリックのゴールセレブレーションは、シャツの首元に手をやり、「脱ぐぞ、脱ぐぞ…脱がない!」。ダチョウ倶楽部の逆バージョンで、アーセナルでの初めてのイエローカードを回避しました。79分に左足のシュートをヴィカーリオにセーブされ、両手を振り下ろして悔しがる姿を見たときは、「3つじゃ足りなかったんかい!」と突っ込んでしまいました。
ノースロンドンダービーでのハットトリックは、1978年のアラン・サンダーランド以来、史上4人めの快挙。エベレチ・エゼの名前は、ガナーズの歴史に深く刻まれるでしょう。3ヵ月前、スパーズから6750万ポンドのオファーを受けたプレーメイカーは、ミケル・アルテタに入団の可能性を問う電話をしなければ、アウェイチームのメンバーとしてピッチに立っていたはずです。
2025年8月20日、水曜日。午前中にエゼと話した指揮官は、午後の会議で経営ボードに働きかけて獲得を即決。その日の夜に、クリスタル・パレスのパリッシュ会長の承諾を得ています。スパーズとの合意から、24時間で成就したどんでん返しのラブストーリー。入り込める小さなスペースを瞬時に見つけ、振りの速いシュートを決める10番らしい移籍劇でした。
金曜日のプレスカンファレンスで、エゼの獲得を逃した理由を問われたトーマス・フランク監督は、「Who’s Eze?」とジョークで逃げていました。こんなやりとりの後、ハットトリックという流れは記者たちの大好物です。「アスレティック」のアール・ド・ロシェ記者は、「今となっては、彼にあらためて教える必要はないだろう」とさっそくいじっています。
「テレグラフ」のジェイソン・バート記者は、「その後の運命を試されるようなタイミングでのユーモアに、非難めいた対応をするべきではない。それにしても、運命はあまりにも残酷だった」と記しています。いや、われわれも飲み屋で元カノの話を振られたら、「誰だっけ」ぐらいはいいますよね。とはいえ、よりによって…。
「信じられない。スペシャルな日だ。僕も家族にとっても。こんなことは夢にも思わなかった。夢よりもっと特別な瞬間だ。神に感謝するしかない。スタッフの入念な準備のおかげで、相手のどんな布陣にも対応できた。彼らにはとても感謝している。おそらく4点取れたはずだ。常にゴールをめざし、チャンスを逃さないよう心がけている。重要なのは徹底することだ」(エベレチ・エゼ/BBC Match of the Day)
「彼らしいね。イングランド代表のキャンプから戻ってきて、2日間の休みがあったのに、初日が終わったらトレーニングを再開し、追加のプラクティスを求めてきた。そして、あれこれと質問を投げかけてきたんだ。これほどの才能と知性を持つ選手に、向上心と意欲が加われば、こうした成果は必然的に生まれるものだ」(ミケル・アルテタ/Sky sports)
14年越しの再会のストーリーに胸を熱くした後、熱狂の続編を堪能して冷静になった今、難しい問題が目前にあることに気づきます。「彼は真の10番なのか?中盤のサブなのか?」。アーセナルの指揮官は、選手層を厚くしたチームが必ず抱える悩みに直面しています。トロサール、エゼ、ウーデゴーア…誰がベンチにまわっても、驚くべきことというしかありません。物語の第3章のシナリオは、まだ書き上がっていないはずです。
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