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偏愛的プレミアリーグ見聞録

マンチェスター・ユナイテッドファンですが、アーセナル、チェルシー、トッテナム、リヴァプール、エヴァートンなどなど何でも見てしまう雑食系プレミアリーグファンです。プレミアリーグ観戦記、スタジアム、チーム情報からロンドンやリヴァプールのカルチャーまで、幅広く紹介しています。

大胆に攻めたマレスカ、慎重を期したアルテタ…激戦のダービー、彼らの策は適切だったのか?

欧州最強と喧伝されるバイエルンを屠ったチームに、10人でドローという結果を喜ぶべきなのか。バルセロナに快勝した好調のチームに、負けなかったことに安堵すべきなのか。日曜日のロンドンダービー、首位攻防戦となったチェルシーVSアーセナルは、両者ともに納得感とモヤモヤが同居する結末でした。

エンソ・フェンルナンデスとモイセス・カイセド、デクラン・ライスとマルティン・ズビメンディ。世界で最も高額の中盤のせめぎ合いに、勝者はいませんでした。ミケル・メリノの足首をスパイクの裏で削ったカイセドは1発レッド。数的不利を強いられたため、エンソ・フェルナンデスは前に出る機会を減らさざるを得なくなりました。

ズビメンディが57分という早い時間にピッチを離れたのは、開始早々にもらったイエローを指揮官が気にしたからでしょうか。バイエルン戦で左サイドを制圧したデクラン・ライスは、モスケラとインカピエという急造コンビのサポートを求められ、ノニ・マドゥエケやルイス=スケリーを活かせずに終わっています。

チェルシーのサポーターたちは、「カイセドのチャージがなければ、3ポイントをゲットしていた」と思っているでしょう。片やグーナーの多くは、「レギュラーのCBコンビが不在で、最前線のトップスコアラーとキャプテンが負傷明けという厳しい状況でも勝利に近づいた」と胸を張っているのではないかと思われます。

フラットに見ると、マレスカ監督が「10人でも勝ちにいった」のに対して、アルテタ監督は「10人なのに負けないことを優先した」ように感じられます。チェルシーの指揮官は、4ヵ月でレッドカード7枚という特殊な経験によって進化したといえるでしょう。10人になったマンチェスター・ユナイテッド戦とブライトン戦では、守備的な布陣にシフトしてあっさり負けています。

オールド・トラフォードで、ロベルト・サンチェスがレッドを喰らったのは5分。マレスカ監督はペドロ・ネトとエステヴァンを下げ、ヨルゲンセンとトシンを投入しました。これによって、ルーベン・アモリムのチームが猛攻スタート。前半のブルーノ・フェルナンデスとカゼミーロのゴールは、致命傷となってしまいました。

トレヴォ・チャロバーが53分に退場となったブライトン戦は、1-0でリードしていたのですが、直後にアンドレイ・サントスをアチャンポンに代えると、9分後にはエステヴァンをマロ・グスト。ここからのシュート数は2対8で、ラスト15分から3発のアウェイチームが逆転勝利を決めています。カイセドにレッドが出たとき、指揮官は悪夢の2戦を思い出していたのではないでしょうか。

4-4-1にシフトしたアーセナル戦は、ハーフタイムにエステヴァンをガルナチョ、55分にジョアン・ペドロをリアム・デラップ。守りのカードを使わずに戦い抜きました。印象的だったのは、70分のアーセナルのCKと87分のカウンターです。プレミアリーグNo.1のセットピースに対して、リアム・デラップ、ガルナチョ、ペドロ・ネトを前線に残したのは、逆転の発想ともいえます。

カウンター対策が必要なガナーズは3人に対応したため、ゴール前はいつもより2人少ない布陣となり、ロベルト・サンチェスにプレッシャーをかけられなくなりました。さらに最終盤には、ウーデゴーアのクロスをGKがキャッチしてからのカウンターで、ペドロ・ネトがハーフラインを越えた瞬間、5対3になっています。マレスカ監督は、最後まで勝ちにいっていたのです。

対するアルテタ監督は、前半の5枚のイエローについて、「数的な均衡を取り戻すために狙われた選手もいた」とコメントしています。カラフィオーリとズビメンディの交代に、レッドカード対策という意図が含まれていたなら、代償は大きかったともいえそうです。後半にサカへの依存度が高かったのは、リース・ジェームズがいるサイドで優位に立てなかったからでしょう。

大胆に攻めた監督と、慎重を期した監督は、1ポイントを分け合うことになりました。チェルシーは間違いなく優勝候補であると確認した一戦。アーセナルは、「相手より1日少ない中3日」「スパーズ&バイエルンからの3戦め」「負傷者続出」といった悪条件で、「分けてなお強し」と称えたいと思います。マン・シティを交えた3強のバトルは、予断を許さない展開です。


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